1948年に米国で生まれた玩具量販店“トイザらス”は、アマゾンをはじめとするインターネット通販の台頭や、ウォルマート・ストアーズなど大型量販店の安値攻勢に押され業績不振に陥り、ついに2018年に倒産してしまった。しかし、如何に顧客をつかむかの時代に合った戦略次第というべきか、米中貿易紛争の最中であっても、中国版“トイザらス”は健在である。なお、日本には1991年に進出しているが、現在168店舗を抱え、当地でも依然健闘している。
12月25日付
『デンバー・ポスト』紙:「“トイザらス”、戦略次第で中国では健在」
ニュージャージー州で立ち上げられた米玩具量販店大手の“トイザらス“は2017年9月、米連邦倒産法第11章(通称チャプター11、日本の民事再生法に相当)適用を申請したが再生は叶わず、今年3月に倒産した。
その結果、米国内の数百店舗が閉鎖され、約3万3千人の従業員が解雇された。
しかし、その“トイザらス”は、中国含めたアジアで健在である。...
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12月25日付
『デンバー・ポスト』紙:「“トイザらス”、戦略次第で中国では健在」
ニュージャージー州で立ち上げられた米玩具量販店大手の“トイザらス“は2017年9月、米連邦倒産法第11章(通称チャプター11、日本の民事再生法に相当)適用を申請したが再生は叶わず、今年3月に倒産した。
その結果、米国内の数百店舗が閉鎖され、約3万3千人の従業員が解雇された。
しかし、その“トイザらス”は、中国含めたアジアで健在である。
“トイザらス”債権管理団体は先月、香港企業の馮(ファン)・リテーリング社(香港複合企業馮グループ傘下の小売事業会社)と提携して、中国・日本及び東南アジアで展開する“トイザらス”を運営していくことで合意した。
中国での成功例は、米国で展開された孤立大型店舗ではなく、都市のショッピングモール等複合施設内に小型店舗を構えて営業する戦略であると言えよう。
すなわち、大都市近郊に暮らす多くの中国人ファミリィは、狭いアパートでの生活を余儀なくされているが、休日等にショッピングモール等複合施設に出掛けることを楽しみにしている。
そこに安全で信頼性の高い、“トイザらス”玩具売場があれば、多くが立ち寄って子供用玩具を購入していくからである。
トイザらス・アジアのアンドレ・ジェブス社長は、中国及び東南アジアにおいては、従来方針と違う営業戦略(売り場面積で言えば、米国内店舗の4分の1以下)を取っていると明言した。
そして同社長は、2017年1月末時点の中国及び東南アジアでの総売上高が3億7,500万ドル(約412億5千万円)と、前年度比+3%上昇しているとし、同時期の米国売上高は▼3%下落していたと付言した。
その他の中国での成功例は、レゴ(デンマークの玩具会社で1934年創業)及びFAOシュワルツ(1862年創業の米老舗玩具店)で、中国の子供の玩具・ゲーム需要を正確につかんでいるからだと分析される。
習近平(シー・チンピン)指導部が2016年に一人っ子政策を止めただけでなく、女性にもっと子供を産むよう方針転換したことから、同国の玩具・ゲーム市場は激変しており、『ブルームバーグ』によれば、2022年までには中国が世界最大市場になると予想している。
更に、これまでしばしば中国国内でスキャンダルとなった安全性の問題、また、悪名高い模造品の流通より、中国の親たちは益々、品質の安全性・信頼性の高い西側諸国製品を強く好んでいるとの背景がある。
但し、西側名門企業なら必ず成功するとは言えない。
例えば、英国のハムリーズ(1760年創業の世界最古の玩具店)は中国東端江蘇省南京(ナンチン)含めて大型店舗を展開したが、僅か3年で縮小を余儀なくされている。
また、米マテル(1945年創業の世界最大規模の玩具メーカー)は、上海で6階建てのバービー・ストアを開いたが、僅か2年後に閉店しているからである。
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