11月1日付Globali「習近平国家主席;米中貿易戦争では形勢不利な状況だが、南シナ海領有権では戦争も辞さじと強気発言」で触れたとおり、同国家主席は、かつて“領土問題は1ミリたりとも妥協しない”と宣言したとおり、米軍艦による度重なる挑発行為に対して、戦争も辞さない覚悟で臨むよう軍関係者に指示している。このような中国による武装強化に直接的に対抗しようとした訳ではないだろうが、この中国トップの発言時期に合せたかのように、自衛隊として今年最大規模の日米共同実戦演習(Keen Sword 2018、注後記)が実施されている。
11月3日付
『ロイター通信』:「日本の自衛隊が参加する最大規模の日米共同実戦演習が米空母を中心に展開」
日本の自衛隊が参加する今年最大規模のKeen Sword 2018に、米原子力空母“ロナルド・レーガン”が参加し、自衛隊の駆逐艦やカナダの軍艦を率いて共同実戦演習が11月3日に実施された。
Keen Sword 2018には、日米併せて5万7千人の将兵が参加しているが、前回2016年時より1万1千人以上多い。...
全部読む
11月3日付
『ロイター通信』:「日本の自衛隊が参加する最大規模の日米共同実戦演習が米空母を中心に展開」
日本の自衛隊が参加する今年最大規模のKeen Sword 2018に、米原子力空母“ロナルド・レーガン”が参加し、自衛隊の駆逐艦やカナダの軍艦を率いて共同実戦演習が11月3日に実施された。
Keen Sword 2018には、日米併せて5万7千人の将兵が参加しているが、前回2016年時より1万1千人以上多い。
空母“ロナルド・レーガン”乗船のカール・トーマス海軍少将は11月3日、日本周辺海域の安全保障の確保、その防衛能力の確認・実践のために本共同実戦演習を実施していると述べた。
米インド太平洋軍からは、空母“ロナルド・レーガン”の他、8隻の戦艦が参加して、中国の軍事的影響力が増してきた海域において、対潜水艦攻撃訓練などが実施された。
海上自衛隊の江川宏少将も、日米共同防衛はインド太平洋海域の安定に必要不可欠なものだとコメントした。
今年のKeen Swordには、カナダ軍艦艇も初めて参加した。
在日本カナダ大使館付武官のヒューグ・カニュエル大尉は、カナダにとってもアジアにおけるプレゼンスを示すため、Keen Sword 2018に参加することは意義があるとしている。
英国やフランスも既に、南シナ海における中国の軍事力拡大がインド太平洋海域にまで及ぶことを懸念して、同海域での安全保障維持のための活動を繰り広げている。
なお、豪州、カナダ、フランス、英国及び韓国の軍事関係者もオブザーバーとして同演習に参加している。
一方、中国は今年、国防費として1兆1,100億人民元(1,600億ドル、約18兆円)を投じる計画で、これは日本の防衛費予算の3倍以上にもなる。
米インド太平洋軍のジョン・リチャードソン司令官は11月1日、Keen Sword共同演習は、日本を含めた米同盟国とともに、インド太平洋地域の平和と安定を担保していく上で重要なものとなっていると語っている。
(注)Keen Sword 2018:Keen Swordは、日米共同統合演習・実動演習のコードネーム。同演習は、1986年以降隔年で、日本の沖縄周辺の海域および空域を演習場所として行われる海上作戦の訓練。自衛隊と米軍による共同訓練であり、日本の防衛にとって強い意味を持つ演習であり、かつ、自衛隊と各地方隊の共同演習の意味合いも持つ。今年は10月29日~11月8日の間、自衛隊員約4万7千人及び艦艇・航空機、米軍兵約1万人及び空母打撃群などに加えて、カナダ軍艦艇も参加して実施される。
閉じる