14日、「サイエンス」に発表されたこの研究は、動物は人間を恐れて夜間に活動するようになったという強力な証拠を示している。
「地球がますます混み合うにつれ、人間と共存するために動物が適応していることの現れである。」と研究の筆頭著者カイトリン・ゲイナー氏(カリフォルニア大学環境科学政策管理学部博士課程在学)は述べる。しかし、これにより生態学的に深刻な影響を与えるかもしれないと警告した。
人間が動物の生息場所の変化を引き起こしていることはよく知られている。...
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14日、「サイエンス」に発表されたこの研究は、動物は人間を恐れて夜間に活動するようになったという強力な証拠を示している。
「地球がますます混み合うにつれ、人間と共存するために動物が適応していることの現れである。」と研究の筆頭著者カイトリン・ゲイナー氏(カリフォルニア大学環境科学政策管理学部博士課程在学)は述べる。しかし、これにより生態学的に深刻な影響を与えるかもしれないと警告した。
人間が動物の生息場所の変化を引き起こしていることはよく知られている。哺乳類の多くは、人間との接点を避けて、より奥地に移動して生活する。
今回の大規模研究は、6大陸の62種の大型哺乳類に関する76の研究を分析し、野生動物の日常的なルーティン(餌付け、交尾、子育て)に、人類の影響がどのくらいあるかを定量化した初の取組みである。
研究では、GPS追跡装置や動きに反応するカメラなどを使用して動物の活動を監視した。研究者は、この情報から人間の妨害が多い季節と少ない季節におけるそれぞれの種の夜間活動を比較した。
その結果、人間との共存が必要な地域では、哺乳動物は平均して1.36倍夜行性であった。元来昼夜の行動が半々の動物は、夜間の行動を68%に増やし、昼間の行動を32%に減らしていた。肉食・草食動物を問わず2.2ポンド(約1kg)以上の動物では結果は一貫していた。
「人間の活動地域が世界的に拡大するなか、研究は適時であり、昼行性、薄明り時行動性、夜行性の野生動物に人間が与える影響を理解するために重要な示唆を与える」とオランダのラドバウド大学環境科学学部のアナ・ベニテス・ロペス氏は「サイエンス」の付随論評に記した。
共著者のカリフォルニア大学のジャスティン・ブラシェアズ教授は、動物の行動のシフトは人間と動物の共存を助けるというポジティブな側面があるかもしれないが、十分ではないと指摘する。本来、動物の活動パターンのシフトは何百万年もかけて変わっていくためだからだ。
昼行性から夜行性への行動シフトは、動物にストレスを与え、用心深さの増幅や食欲低下を招く可能性があるという。生化学および生殖行動にも影響が及べば、生存率や絶滅への懸念も出てくる。
ここでいう人の妨害には、狩り、ハイキング、マウンテンバイクでのサイクリング、キャンプ、道路建設、住宅地建設、農業などが挙げられるが、いずれの場合も研究結果は同じと見出すことができた。
今回の研究結果は、人間が自然とどう接するべきかということに深い考察を与えるとゲイナー氏は述べる。特定の公園が人間やそのペットを完全に立入禁止にしたり、人間の入ってもよい時間帯を制限したりすることを提案している。
ゲイナー氏は次のように述べる。「野生動物の夜行性への傾向が世界的にみて一貫していた点、またハイキングなど人間が動物への直接的な脅威を示していないように見える行動にも、動物が強い反応を示した点に驚いている。」
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