中国共産党第十九次全国代表大会(十九大、注後記)が、北京において10月18日に開幕する。中国は目下、10月1日からの国慶節の長期休暇に入っている。旅行や帰省中の市民は10月9日から通常業務に戻る予定であるが、工業生産などの主だった事業などは、当該十九大が終了する10月下旬まで滞る可能性があり、また、北京周辺は厳戒態勢に入る。なお、習近平(シー・チンピン)国家主席による2期目の指導体制はいよいよ盤石となり、専門家の中には、3期目もあり得るとみる声がある。
10月6日付米
『CNBCニュース』:「中国、重要会議開催前に“厳重警戒態勢”」
中国は目下、1週間の国慶節休暇中であり、国民の半数(6億人余り)が旅行・帰省に出ている。市民は10月9日から通常業務に戻るが、十九大開催を控えて、主な事業活動は抑制され、北京は厳戒態勢に入るとみられる。
10月18日に開幕する十九大を経て、習主席の2期目の指導体制が決まる。しかし、世界第2位の経済大国となったものの、これまで三十有余年にわたる大規模経済成長からの落ち込みを迎えている現在、今後の舵取りが重要になってくる。...
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10月6日付米
『CNBCニュース』:「中国、重要会議開催前に“厳重警戒態勢”」
中国は目下、1週間の国慶節休暇中であり、国民の半数(6億人余り)が旅行・帰省に出ている。市民は10月9日から通常業務に戻るが、十九大開催を控えて、主な事業活動は抑制され、北京は厳戒態勢に入るとみられる。
10月18日に開幕する十九大を経て、習主席の2期目の指導体制が決まる。しかし、世界第2位の経済大国となったものの、これまで三十有余年にわたる大規模経済成長からの落ち込みを迎えている現在、今後の舵取りが重要になってくる。
中国は昨年、経済規模を梃子に、海外投資や海外企業買収に注力してきたが、習指導部にとっては、国内の基盤固め、特に共産党の支配体制の強化が重要となっているとみられる。
なお、スモッグで覆われる北京においては、これまで重要会議などが開催される度に、市内の空気の清浄化のための施策が実施されてきた。今回も、スモッグ発生を極力抑えるため、その1ヵ月前から北京近郊の鉄鋼会社の生産活動が抑制されている。また、中国海事局は、揚子江(ヤンツェー)流域の港において、10月11~28日の間、化学薬品等の物資の積み降ろし業務を制限する意向である。
10月4日付アイルランド『アイリッシュ・タイムズ』紙:「中国メディア、党大会を前に習主席を称賛」
5年に一度の中国共産党大会を控え、国営メディアは挙って、習主席の技術革新、環境保護対策等の政策を称賛している。これは、党大会で同主席の2期目が確定されることを見越しての対応とみられる。
例えば『新華社通信』は、習主席が中国南西部の雲南省(ユンナン)にある洱海(イーライ、高原地帯にある淡水湖)を訪れ、地元政府の幹部らに環境保護対策を指示し、浄水対策を軌道に乗せたことや、また、北部の干ばつ地帯へ南部から水を補給させることで5千万人以上の生活を守ったことを報じた。
また、『チャイナ・デイリィ』紙も、同主席が2015年1月に洱海のある大理ベー族自治州を訪問して以来、厳しい浄水政策が取られて地元を潤した記事を掲載した。
なお、南部から北部への水の補給については、急激な発展・都市化や干ばつなどで、深刻な水問題を抱える北京、天津(テンチン)、河南省(ホーナン)、河北省(ホーペイ)地域に、揚子江から100億立法メーターの水を補給することで、同地域の5,310万人の住人に恩恵を与えた大治水プロジェクトを指している。
更に、国営テレビも、習主席指導の下、人民解放軍が増強かつ最新鋭化されていることを称賛している。
一方、10月6日付香港『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』オンラインニュース:「習近平主席、2期目どころか10年以上君臨することになる3期目もある?」
10月18日から北京で開催される十九大において、習主席の2期目が確定することは自明のことである。しかし、多くの専門家は、これが最後ではなく、3期目もあり得るとみている。
何故なら、これまでの動静で、後継と目される幹部が次々に失脚や配置転換(左遷)されているからである。従って、十九大直後の会議で、中国の最高意思決定機関である中央政治局常務委員会に、習主席の後継者と目される人物の昇格が決定されないと、習主席が2022年以降の3期目も狙っているとみられることになる。
なお、習主席が“党の核心”に選定される前の昨年10月に『人民日報』は、強いリーダーがいて初めて国民の団結力は高まり、共産党の統治がより効果的となるとし、さもなくば、中央の決定・指示は無視され、結果として国は衰退していくとのレポートを掲載している。
(注)十九大:最高指導部(政治局常務委員)の人事や党の基本路線を決める最重要会議で、5年に一度開催される第19回大会。会期は1週間で、党トップ200にあたる中央委員を選出し、大会直後の会議でその中から最高指導部メンバーを選ぶ。習主席の2期目(任期5年)が確認される見込み。
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