先週、主要20ヵ国・地域首脳会議(G20サミット)の議長国となる中国は、同会議を成功に導き大国の威信を内外に示すため、南シナ海問題で責められないよう日米を牽制するだけでなく、東南アジア諸国連合(ASEAN)も懐柔しようとしている。そして、同会議の開催が間近に迫り、いよいよ各国の思惑がぶつかり合う様相を呈する一方、中国側は国営メディアを使って、自国の喧伝に躍起になっている。
8月29日付米
『ロイター通信米国版』:「中国はG20の成功を欲するも、西側諸国が中国の思惑通りに行動しないことに懸念」
「●中国は、9月4~5日に杭州(浙江省)で開催されるG20サミットを、大国の威信にかけて成功させようとしているが、西側諸国が中国イズムに抗う行動に出てくることを懸念。
●すなわち、外交筋によれば、中国は世界経済成長に寄与する中国の姿をアピールする機会だと考えていようが、日米初め西側諸国は、領有権問題から保護貿易主義まで中国の好まない議題を持ち出す見込み。...
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8月29日付米
『ロイター通信米国版』:「中国はG20の成功を欲するも、西側諸国が中国の思惑通りに行動しないことに懸念」
「●中国は、9月4~5日に杭州(浙江省)で開催されるG20サミットを、大国の威信にかけて成功させようとしているが、西側諸国が中国イズムに抗う行動に出てくることを懸念。
●すなわち、外交筋によれば、中国は世界経済成長に寄与する中国の姿をアピールする機会だと考えていようが、日米初め西側諸国は、領有権問題から保護貿易主義まで中国の好まない議題を持ち出す見込み。
●習近平(シー・チンピン)主席としては、同会議で強いリーダーシップを内外に示したい考えだが、日米等が、南シナ海領有権問題に関わる常設仲裁裁判所(PCA)裁定後の問題、米軍による韓国配備の最新鋭ミサイル防衛システムの話、更には、中国を除外して話が進む環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などの話題で中国が責められる恐れ。
●また直近では、豪州が、中国企業による豪州発電所事業の100億豪ドル(77億ドル、約7,700億円)買収取引を差し止め、更に、英国の新政権が、中国公社による240億ドル(約2兆4,000億円)の原子力発電所建設・運営プロジェクト参画の話を延期させる等、中国にとって逆風の動き。
●一方、東・南シナ海問題他で何かと対立する日本を牽制するため、中国の外交トップが日本側に対して先週、G20サミットにおいて“建設的な”行動を取るよう注文。」
同日付香港
『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』オンラインニュース:「中国がG20
開催時に青空を取り戻すため工場操業停止を求めたことから、中国鉄鋼業界にとって予想
外の市場価格上昇」
「●中国政府は、G20サミット開催に当ってスモッグの発生を抑えて青空を取り戻すため、杭州周辺の工場や建設現場の一時操業停止を厳命。
●同地域の32の製鉄所は7月以来、操業を半減させたりして100万トン近く生産量削減。
●この動きに伴い、鉄鋼製品
市場価格が一挙に42%も上昇。
●欧米諸国は、中国の鉄鋼業界が生産調整をしないで、国内消費できない余剰分をダンピング価格で輸出攻勢をかけてきたために世界の鉄鋼製品市場価格が下落して自国の鉄鋼業界が被害を受けているとして、中国側に生産能力削減を強く要求。
●これに応えて中国は、今年4,500万トン生産調整すると決定し、7月までで年率で47%生産量削減。
●この成果もあってか、過去6年連続して下落傾向にあった中国の鉄鋼製品価格は、今年だけで51%持ち直し。
●なお専門家は、赤字続きだった中国鉄鋼業界が、これ程の好調期を迎えて大きな収益を上げるとは、誰も予想していなかったとコメント。」
同日付中国
『中央テレビ』ニュース:「中国、世界経済成長に貢献」
「●G20サミットを前にして、中国の楼継偉(ロウ・チーウェイ)財政部長(財務相に相当)は、中国は2009年・2010年と世界経済成長率上昇の50%以上も貢献し、現在でも25%以上貢献していると発表。
●経済規模としては世界の15%程度なのに、経済成長で25%以上貢献しているにも拘らず、以前より中国経済が鈍化して問題だと非難するのは間違いとも付言。
●一方、G20サミットは2008年に開始されたが、その当時より世界経済や金融形態が変化してきており、同サミット自身も、危機回避の国際組織より、技術革新等に焦点を当てる長期的戦略組織に変革していく必要があり、中国はこれを目標に国際社会をリードしていくともコメント。」
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