オバマ大統領は、大統領退任前にレガシー(功績)作りの一環で、核兵器の先制不使用政策を検討していると言われている。しかし、特に米国の“核の傘”で守られている日本は、この考えに異議を唱え、安倍首相が米軍高官を通じて懸念を伝えている。また、米国の庇護の下にある韓国のみならず、同盟国の英国、フランスも同様に反対を表明している。
8月14日付米
『ワシントン・ポスト』紙:「米同盟国が一致して、オバマ氏の核兵器に関わる“レガシー”作りに反対」
「●オバマ大統領は任期中のレガシー作りに懸命のようであるが、核兵器の“先制不使用”政策については、米同盟国が一斉に異議申し立て。
●米政府関係者によると、日本、韓国、英国、フランスがそれぞれの外交ルートを通じて、オバマ大統領の政策によって、米国の核抑止の影響力が削減されることを懸念している旨表明してきているとの情報。...
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8月14日付米
『ワシントン・ポスト』紙:「米同盟国が一致して、オバマ氏の核兵器に関わる“レガシー”作りに反対」
「●オバマ大統領は任期中のレガシー作りに懸命のようであるが、核兵器の“先制不使用”政策については、米同盟国が一斉に異議申し立て。
●米政府関係者によると、日本、韓国、英国、フランスがそれぞれの外交ルートを通じて、オバマ大統領の政策によって、米国の核抑止の影響力が削減されることを懸念している旨表明してきているとの情報。
●特に安倍首相は、米太平洋軍のハリー・ハリス司令官と会談した際、同政策が決定されると、例えば北朝鮮の核の脅威が増大する等、日本の安全保障に重大な影響が出るため、同首相の個人的な意見として、オバマ氏の翻意を望む旨伝達。
●一方、米国とともに国連安全保障理事会の常任理事国であり、かつ核保有国である英国とフランスとしては、緊急事態の場合を想定して、両国と米国の核政策が異なることに非常に懸念を有することになるとして反対。
●なお、野党共和党も一斉にオバマ氏の政策に反対を表明。」
8月17日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「安倍氏、オバマ氏の核先制不使用政策に異議表明」
「●日本の政府関係者は、日本側が同政策についてまだ公式に意見表明はしていないとコメント。
●しかし、多くの関係者は、オバマ氏がかかる政策を宣言しても、他国が追随する保証はなく、核抑止の国際基準作りに結び付くことはないと懸念表明。」
8月16日付中国
『環球時報』:「安倍氏の核兵器への本意が明らかに」
「●
『ワシントン・ポスト』紙によると、米政府が核兵器の“先制不使用”を検討していることに対して、安倍首相が異議を唱えたと報道。
●多くの専門家は、オバマ氏の政策は議会からも支持を得ることはできず、実現には疑問視。
●それよりも注目すべきは、世界で唯一原爆被害を受けた広島と長崎を抱え、両市含めた多くの国民から核兵器廃止のアピールが出され、かつ、日本は“非核三原則”を有しているにも拘らず、安倍首相がオバマ氏の政策に反対していること。
●すなわち、本来ならば、オバマ氏の政策を支援すべきなのに異議を唱えるということは、安倍氏の本意は米国の核兵器使用を頼みにしているか、あるいは将来核保有国になることを考えているものと推測。
●なお、中国は、数多の核保有国の中で唯一、最初の核実験実施後に“先制不使用”を宣言しており、米国が同様の宣言をすることによって、多くの核保有国が追随することを余儀なくされ、結果として愚かな核開発競争が勢いをなくすものと期待。」
なお、日本の多くのメディアが報じた、バイデン副大統領の日本の憲法発言(注後記)に
ついて、今のところ米国メディアは、「トランプ候補は、大統領権限である核兵器使用を許
可する暗号を知らされることはない、すなわち大統領の資格はない」、と発言したことは伝
えているが、日本の憲法発言については詳しく報じていない。
(注)バイデン副大統領の日本の憲法発言:バイデン氏が8月15日、トランプ候補が先に、日本などに核兵器保有を容認する考えを示したことに対して、核保有国になれないという日本の憲法は、米国が草案を作成したものだと発言したこと。
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