ロシアの侵攻を受けたウクライナのゼレンスキー大統領が、リモート形式で、12分間に及ぶ国会演説を行い、日本の原発や化学兵器事件に触れ、ロシアへの制裁継続を訴えかけた。
3月23日付米
『ニューヨークタイムズ』:「ゼレンスキー氏、福島やサリン事件を織り交ぜ国会演説」:
今月23日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、12分に及ぶ日本の国会での演説で、原子力発電所の事故や化学兵器事件を回想することで議員へ支援強化を求めた。
演説では、ロシアが占領するチェルノブイリ原発への被害について、数千人の避難者を出し、ドイツ等が原発を再検討することに繋がった2011年の福島第一原発のメルトダウンの記憶を思い出させると言及。...
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3月23日付米
『ニューヨークタイムズ』:「ゼレンスキー氏、福島やサリン事件を織り交ぜ国会演説」:
今月23日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、12分に及ぶ日本の国会での演説で、原子力発電所の事故や化学兵器事件を回想することで議員へ支援強化を求めた。
演説では、ロシアが占領するチェルノブイリ原発への被害について、数千人の避難者を出し、ドイツ等が原発を再検討することに繋がった2011年の福島第一原発のメルトダウンの記憶を思い出させると言及。「侵攻により、チェルノブイリは戦闘地域に変わった。戦争終結後に、環境ダメージの範囲を調査に何年も要するだろう。ウクライナ国内4か所15の原子力高炉が危険な状態になるだろう」と述べた。
また、ロシアがサリンガスなど神経系の化学兵器を使用する懸念についても、1995年カルト集団が地下鉄で化学兵器使用したサリン事件を例に挙げた。一方で、アジアで最初に支援の手を差し伸べた日本に感謝し、ロシアへの制裁継続を求めた。
日本政府は、ウクライナ支援に前向きだが、平和憲法により対応が制約されるため、今後の追加政策はまだ不透明。ウクライナ軍へは、ヘルメットなどの防衛装備品を提供している。日本の迅速な対応は、以前ロシアがクリミア、ジョージア、ウクライナに侵攻し、その弱腰対応で批判された時とは対照的である。
日露間には長年の領土問題があり、安倍元首相は、領土主権問題解決に向け、プーチン大統領との関係構築に尽力してきたが、今月21日、ロシアは平和条約締結の中断を宣言している。
同日付中国『The Straits Times』:「ゼレンスキー大統領、ウクライナの原発危機に触れロシアへの圧力を求める」:
ゼレンスキー大統領は、ロシアが化学兵器の準備をしているとし、日本にロシアへの圧力強化を求めた。
西欧や米国の国会に向け、数々の情熱的な演説を行ってきたがアジアでの演説は初。日本に「侵攻の津波を止めるため」ロシアとの貿易を停止し、国連安保理(UNSC)等の機能していない国際機関の改革を日本がリードするよう求めた。
緑のオーバーオールと髭姿の同氏は、ウクライナへのサリン攻撃への注意を促し、原発が危険な状態にあると警告した。「責任のある国家が平和を守るため団結しなければならない。これからも戦争をしたいという侵略者に対して、非常に強い注意が必要」だとし、歴史的な時に重要な役割を果たす日本に感謝を述べた後、スタンディングオベーションが起きた。またロシアについて、「最大国が戦争を始めた訳だが、その能力は決して大きくない、モラル面では最小国だ」と述べた。
様々な感情に訴える演説をした同氏だが、今回も過去の出来事を思い出すよう訴えかける手法となった。米国では真珠湾攻撃を、英国では、戦時下のチャーチル首相を、ドイツでは冷静とベルリンの壁崩壊に言及してきた。日本では、このようなはっきりとした言及はなかったが、チェルノブイリを包囲したロシアが原発事故への可能性や、西欧最大の原子力発電所であるザポロジエ原発に言及。広島や長崎は世界唯一の被爆地であり、福島は世界最悪の原発事故としてチェルノブイリと並ぶ。
また、演説ではロシアによる侵攻が、世界で前例のない食糧危機、供給問題につながっているとも述べた。同日フランスでも演説が行われる。
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中国のサイバー規制当局が、7月に建党100周年となる中国共産党への批判を取り締まるホットラインを開設した。中国のインターネットはこれまでも厳重な検閲体制にあり、運営サイト側も、批判への検閲を怠ると罰則対象となる。
4月12日付英国
『ガーディアン』は「中国共産党への違法コメント通報回線開設」との見出しで以下のように報道している。
中国のサイバー規制当局が、与党中国共産党への批判を報告できるホットラインを開設した。7月に建党100周年記念を迎えることで、歴史的ニヒリズムへの取り締まり強化を目的とする。サイバースペース管理局(CAC)の発表では、ネット上で党の歴史を歪めたり、指導者や政策を批判したり、国家的英雄を侮辱することや先進的社会主義文化の素晴らしさを否定するような有害なネットユーザーを報告できるという。...
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4月12日付英国
『ガーディアン』は「中国共産党への違法コメント通報回線開設」との見出しで以下のように報道している。
中国のサイバー規制当局が、与党中国共産党への批判を報告できるホットラインを開設した。7月に建党100周年記念を迎えることで、歴史的ニヒリズムへの取り締まり強化を目的とする。サイバースペース管理局(CAC)の発表では、ネット上で党の歴史を歪めたり、指導者や政策を批判したり、国家的英雄を侮辱することや先進的社会主義文化の素晴らしさを否定するような有害なネットユーザーを報告できるという。
中国でいう「歴史的ニヒリズム」は、中国共産党に対する懐疑論として使われる。中国のインターネットは厳重な検閲体制にあり、殆どの海外ソーシャルメディアや検索エンジン、ニュースは規制されている。インターネット当局はしばしば、記念行事や政治会談、スポーツイベント等大きな行事の際に検閲を強化している。
罰則については明記されていないが、中国のネット民が国の指導者や政策等を批判したコメントで、逮捕されるケースはすでに発生している。先週、中国東部江蘇省では19歳の男性が南京事件に関する侮辱的なコメントをしたとして拘束された。中国のSNS運営サイトも、批判への検閲を怠った場合、業務停止や経済的制裁対象となる。
4月11日付『The Straits Times』は「中国が歴史への“不正な”コメントを通報できるホットラインを開設」との見出しで以下のように報道している。
中国のサイバー規制局が中国共産党への批判コメントを報告できるホットラインを開設。9日のサイバースペース管理局(CAC)の発表では、「意図的目的で、歴史的ニヒリズムを誤って広めようとしている人々が、悪意を持って党の歴史を歪め、侮辱し否定しようとしている」としている。
今年初旬の法改正では、中国の国家的英雄や殉職者の記憶を侮辱し批判する行為は、最大3年の禁固刑となっている。
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