アルコール:中所得国の富裕化により、世界的に消費量が増加(2019/05/10)
医学誌「ザ ランセット」で発表された調査によると、世界のアルコール消費量は約30年で70%増加した。現在アルコール消費量トップはヨーロッパ。しかし、インド、中国、ベトナムなど、中所得国の国々でアルコール消費量が増えており、2030年には、世界のトップアルコール消費地域はヨーロッパではなくなる可能性が高い。
今回の調査結果を主執筆したドレスデン工科大学の臨床心理学研究者Jakob Mantheyは、
『The Independent』で、「アジアの大部分でアルコール飲料の摂取が急増している一方で、ヨーロッパの多くの人々は消費が落ちている」と述べている。
「1990年以前は、ほとんどのアルコールは高所得国で消費されていた。最も消費が高かったのはヨーロッパだった。しかし、このパターンが大きく変化した。...
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今回の調査結果を主執筆したドレスデン工科大学の臨床心理学研究者Jakob Mantheyは、
『The Independent』で、「アジアの大部分でアルコール飲料の摂取が急増している一方で、ヨーロッパの多くの人々は消費が落ちている」と述べている。
「1990年以前は、ほとんどのアルコールは高所得国で消費されていた。最も消費が高かったのはヨーロッパだった。しかし、このパターンが大きく変化した。東ヨーロッパ全体で大幅な消費量減が見られ、中国、インド、ベトナムなどの中所得国で大幅に増加している。」
そして「この傾向は2030年まで続くと予測され、ヨーロッパではもはやアルコール消費量トップではなくなると予測される。」
『BFMTV』によると、189カ国からのデータを分析した結果、世界の成人は、1990年には1人当たりの純アルコール年間消費量は平均5.9リットルだった。しかし、2017年には1人当たり年間6.5リットルに増加している。そして2030年までには年間7.6リットルに達すると予想されている。
地域別に数字を見ていくと、現在1人当たりのアルコール消費量トップのヨーロッパは、実は27年間で20%減っている。反面、現在1人当たりの年間消費量が7.4リットルの中国は、いくつかのヨーロッパの国よりも高い消費量となっている。
東南アジア全体では、年間消費量は1990年から2017年の間に倍増し、1人当たり4.7リットルに達している。また中国、日本、オーストラリアを含む「西太平洋」地域では54%増加した。北アフリカと中東では消費量の推移は安定しており、成人1人当たり年間1リットル未満と限られた消費量となっている。
また『AFP』によると、2030年には、世界人口のほぼ4分の1(23%)が月に1回以上、大量アルコール飲酒(少なくとも標準的コップ6杯、つまり少なくとも60gの純アルコールの飲酒)を経験すると予測されている。 2017年には20%、1990年には18.5%であった。
この傾向は、2025年までに「有害なアルコールの使用」を10%削減するという世界保健機関(WHO)の目標を損ねている、と主執筆者のJakob Manthey氏は警告している。 そしてアルコールの健康上の負担は「他の危険因子と比較して恐らく増加する」と述べた。
WHOによると、年間300万人がアルコールの有害な摂取により死亡しており、その4分の3以上は男性である。 この数字には、アルコール飲酒による交通事故で死亡した人、または暴力的行為で死亡した人が含まれている。
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アイルランドで中絶合法化へ(2018/05/28)
先週、アイルランドで人口妊娠中絶合法化の是非を問う国民投票が行われ、賛成多数(支持票66.4%)の結果となり、今後法改正へと向かう。英国ではこの結果を受け、北アイルランドの中絶禁止改革への動きが活発化するとみられている。
5月27日付
『ロイター通信』は「アイルランドで中絶を巡る国民投票により静かな革命」との見出しで以下のように報道している。
中絶が禁止されている厳格なカトリックの国アイルランドで金曜国民投票が行われ、中絶賛成票が大多数の結果となった。これまで同国では、年間3千人の女性が中絶目的で英国に渡航しており、今では国内では違法なピルが出回っている現実があった。日曜には多くの人が中絶合法化運動の契機となったインド人女性(2012年中絶を拒否され感染症で亡くなった)の追悼に訪れた。...
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5月27日付
『ロイター通信』は「アイルランドで中絶を巡る国民投票により静かな革命」との見出しで以下のように報道している。
中絶が禁止されている厳格なカトリックの国アイルランドで金曜国民投票が行われ、中絶賛成票が大多数の結果となった。これまで同国では、年間3千人の女性が中絶目的で英国に渡航しており、今では国内では違法なピルが出回っている現実があった。日曜には多くの人が中絶合法化運動の契機となったインド人女性(2012年中絶を拒否され感染症で亡くなった)の追悼に訪れた。禁止法撤廃を指揮したレオ・バラッカー首相が次週から今年末までに妊娠12週未満までは制限なく中絶を認める法律原案を作成する。
アイルランドでは、1995年に離婚が合法化、2015年には同性婚が合法化された。
世界の一面記事を飾ったこの国民投票に、フランスのマクロン大統領は、ツイッターで「女性の自由の象徴となる歴史的革命。」とした。
一方、英国のメイ首相は、英国保守政権内で北アイルランドの中絶禁止法改正への圧力が高まると懸念。アイルランドのカトリック教会は投票結果は教えを無視するものだとし遺憾を示している。アイルランドでは80年代教会の児童への性的虐待が問題となり、教会の影響力は弱体化した。教会側は今後も改めて人命尊重を提唱していくとしている。一方、別のカトリック教国ポーランドでは今だに中絶はほぼ禁止である。
同日付英国『Independent』は「北アイルランドの中絶禁止法改正により英国政府内対立に懸念」との見出しで以下のように報道している。
アイルランドでの中絶憲法廃止(中絶禁止法改正へ66.4%が賛成)で、英国では北アイルランドでの中絶禁止改革への動きが活発化するとみられている。多くの保守議員は同件での投票を求めるとみられるが、メイ首相と北アイルランドの民主統一党(DUP)は中絶禁止の改正に強く反対しており、メイ首相は厳しい状況に立たされる。
政府筋によると、メイ首相は北アイルランドに決定をゆだねるとしてこの要求に抵抗すると見られている。
だが、改革への声が高まるにつれ130人以上の議員は投票に賛成するとみられている。ジャスティン・グリーン元教育国務長官は、「今こそ議論と行動すべき時」としている。一方、ロリー・スチュワート司法大臣は、これに反対し、英国政府が北アイルランドの自治に口をはさむのは危険」等としている。北アイルランドでは、母体の生命の危険や精神上健康が理由の場合にのみ中絶を許可している。
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