コロナ禍の米国では、IT企業を中心にリモートワークが急拡大した。一方、対面式の重要性も見直され、各社で様々な体制がとられているが、現在では週に数日勤務とするなど、リモート継続を含め柔軟な働き方を可能とするハイブリッド型が最も理解を得られているという。
4月3日付米
『CNBC』:「慎重にオフィス回帰のIT企業、従業員はリモート継続希望」:
今月4日から、Googleはほぼ全ての社員を週3日出勤体制に戻す。同社はコロナ禍が過ぎ、いずれは出勤体制に戻す意向であることを公言してきた。一方、「コロナ禍においても記録的利益を上げた」同社の多くの社員は納得これにしていない。
天然ガスの値段高騰により、Google社の折衷案は他企業の間でも一定の理解が得られている。...
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4月3日付米
『CNBC』:「慎重にオフィス回帰のIT企業、従業員はリモート継続希望」:
今月4日から、Googleはほぼ全ての社員を週3日出勤体制に戻す。同社はコロナ禍が過ぎ、いずれは出勤体制に戻す意向であることを公言してきた。一方、「コロナ禍においても記録的利益を上げた」同社の多くの社員は納得これにしていない。
天然ガスの値段高騰により、Google社の折衷案は他企業の間でも一定の理解が得られている。通勤で車や交通機関を使うことは魅力がない。2年前と比べ、コロナ禍においてIT企業は、クラウドベースのツールが使える点などから、他業種から見ると特に効率性に優れていた。社員たちは柔軟な働き方や家族との時間にすっかり慣れている。各企業は、労働者が不足する状況下で、働き方の一部強制化にどう社員が反応するかが問われている。
コンサルティング会社「ロバートハーフ」によると、企業の 3分の2は、「フルタイム体制に近い状態に戻したい」と考えている一方、社員側では、半数がそうなると転職したいと考えているという。
オフィス再開に向け、既に何度かポリシーを変更をしている企業もある。Amazon社は昨年6月、以前立てた方針であるフルタイム回帰に代わり週3日勤務に変更すると発表。しかし10月には個々のチームの決断にゆだねるとの方針を示した。MicrosoftとGoogleは、新たな体制に戻すため、1か月の猶予期間を設けている。
昨年春、Googleは、感染再拡大の直前、オフィス再開に踏み切ったのだが、12か月間は「非常に例外的な場合のみ」リモートが許可されるとの厳しい方針を示した。その後、経営側はトーンを和らげ、移動希望やリモートの永久継続要望の85%を受け入れてきたとする。
先月には、2020年時点では、希望すれば永久に在宅勤務が可能だとしていたTwitter社までもが、「分散型勤務は非常に難しい」とし、対面型ワークは「非常に有効に企業文化を育てる」としている。企業の中には、大きな決断に踏み切る前に、社員の反応を先に見たいという企業も多く、例えば、Amazonはオフィス勤務再開の日程をまだ公言していない。
社員間の勤務日のすり合わせも課題で、Apple社は、月曜、火曜、木曜を平日勤務日と定めているが、他のIT企業では、今後の方針を公言せず曖昧にしたままとなっている。
4月2日付米『Hobble』:「オフィス回帰の企業リスト」:
全ての企業に当てはまる1つのソリューションはない。コロナ禍で、オフィスへの考え方、リモートワーク、会社の必要性に革命が起きた。働き方に標準はもはや存在しない。企業により対策は様々。AmazonからTwitterに至るまで、世界的企業でも違ったポストコロナの戦略をとっている。
中でも出社とリモートのハイブリッド型が最もトレンドで、そして企業間の違いも大きい。各社ユニークな体制をとり、社員が働く場所を選択できる自由がある一方、組織的対策をとる企業もあり、オフィスへの出社曜日や回数を定めそれ以外をリモートとするやり方もある。
主なハイブリッド型はAdobe、Amazon、Appleなど。Adobe社は2021年6月オフィスと自宅で半分の時間とするハイブリッド対策を発表し、順調に進んでいるとみられる。
Amazon社は、昨年4月に今年秋からフルタイムに戻す方針を発表するも、方針転換。最初は週2勤務としたが、曜日はまだ決めかねている。また、フレキシブルな対面式ワークスペースを設ける方針だが、出勤の義務はない。このサイズの企業になると、全てのチームにフィットする方針は難しいという。
Apple社は、昨年コロナ禍でフレキシブルなリモートワークが未来の働き方だとしたが、対面のチームワークの大切さも重視している。そこで昨年6月、「ビデオ会議で距離は縮まったが、どうしても再現できないことがある」とし、週3日勤務の方針を通達したが、社員が反発。ケースバイケースとして、リモートを認めているのが現状である。週3日勤務は昨年9月までの予定だったが、延期が相次ぎ、更にオミクロン株の感染拡大により、リモート縮小を無期限に延期している。またワクチン接種を積極的に受けるよう奨励している。
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