政府は昨年12月、「防衛装備移転三原則と運用指針の改正」(注1後記)を行った。その勢いを駆ってか、国際協力機構(JICA、注2後記)が、東南アジア諸国連合(ASEAN、1967年設立)のうち中国と領有権問題を抱える4ヵ国向けに、向こう十年で無人機やレーダーシステム等の防衛装備品を提供する計画を策定していると米メディアが報じている。
2月15日付
『ラジオ・フリー・アジア(RFA)』(1996年開局の短波ラジオ局、米議会出資)は、日本がASEAN 4ヵ国に対して、中国対峙のための海上安全保障支援を行うと報じている。
『NHK』等の報道によると、JICAがASEAN加盟国のインドネシア・マレーシア・フィリピン・ベトナムに対して、向こう十年にわたって南シナ海における海上安全保障強化のための支援計画を策定しているという。
上記4ヵ国はいずれも、南シナ海において中国との間で領有権問題を抱えていることから、東シナ海で同様の問題を抱える日本にとって、中国対抗という共通認識があり、かつ、日本としては最優先順位の協定先と考えられている。...
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2月15日付
『ラジオ・フリー・アジア(RFA)』(1996年開局の短波ラジオ局、米議会出資)は、日本がASEAN 4ヵ国に対して、中国対峙のための海上安全保障支援を行うと報じている。
『NHK』等の報道によると、JICAがASEAN加盟国のインドネシア・マレーシア・フィリピン・ベトナムに対して、向こう十年にわたって南シナ海における海上安全保障強化のための支援計画を策定しているという。
上記4ヵ国はいずれも、南シナ海において中国との間で領有権問題を抱えていることから、東シナ海で同様の問題を抱える日本にとって、中国対抗という共通認識があり、かつ、日本としては最優先順位の協定先と考えられている。
支援の具体案としては、無人機・レーダーシステム・監視船及びその他防衛機能機器の提供とされている。
JICAが策定している支援計画は来年3月には明らかにされる見込みで、その調査・検討の一環で、先月にはフィピンとインドネシアに専門家等を派遣しており、また4月にはマレーシアとベトナムにも派遣する予定である。
かかる報道に関し、国際基督教大学(1953年設立の私立大)教養学部のスティーブン・ナギ教授は『RFA』のインタビューに答えて、“日本は、南シナ海における安全保障を強化する一環で、これらの国々に船舶の提供、防衛機能強化や訓練等を今後も継続していこう”とコメントした。
同教授は更に、“日本の防衛重視の自衛アプローチと日米同盟の重視は、南シナ海でより強い地位を持てるよう、東南アジア諸国の能力を個別に強化する方が良いと日本政府が考えていることを意味する”とも分析している。
また、米NGO国際危機グループ(1995年設立)アジア担当のフォン・レトゥ副局長は、“ASEAN加盟国から最も信頼の高い日本は、同地域における安全保障分野で更に重要な役割を担おうとしている”とコメントしている。
なお、日本はこれまで、上記4ヵ国と以下のような提携を行っている。
● フィリピン
・岸田文雄首相(66歳、2021年就任)が昨年11月に訪比した際、6億円(400万ドル)相当の沿岸監視レーダー設備を提供することで合意。
● マレーシア
・昨年12月に東京で開催された日本・ASEAN交流50周年記念サミットにアンワル・イブラヒム首相(76歳、2022年就任)が出席した際、4億円(260万ドル)相当の海洋装備品・救助船の提供を記した安全保障支援協定に署名。
・更に、両国関係を包括的戦略パートナーシップに格上げ。
● インドネシア
・90億5千万円(6,020万ドル)相当の日本製大型巡視船をインドネシア沿岸警備隊に供与することを記した覚書を締結。
● ベトナム
・2020年に、6隻の海上巡視船を建造するための資金3億4,800万ドル(約522億円)を融資することで合意。
・昨年には、両国関係を包括的戦略パートナーシップに格上げ。
(注1)防衛装備移転三原則と運用指針の改正:以下6項目について改正-①ライセンス生産の装備品・完成品の輸出、②戦闘機のエンジン・翼等の輸出、③5類型(救難・輸送・警戒・監視・掃海)ならば条件付きで殺傷能力のある武器を搭載しての輸出、④ウクライナ以外でも侵略受ける国向けへの防弾チョッキ等の輸出、⑤他国と共同開発の装備品・維持整備の部品や技術の第三国への輸出、⑥民間の装備品修理について米軍以外の装備品も対象。
(注2)JICA:外務省所管の独立行政法人で、1974年前身設立(2003年、国際協力事業団から改称)。日本国政府の政府開発援助を執行する実施機関として、対象地域や対象国、開発援助の課題などについての調査や研究、JICAが行う政府開発援助事業(ODA)の計画策定、国際協力の現場での活動を行う人材の確保や派遣、事業管理、事業評価などの役割を担う。
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既報どおり、米ホワイトハウスが今月初め、北朝鮮が国連制裁を破って、ウクライナ戦争を続けるロシア軍に弾薬や砲弾を供給していると非難した。北朝鮮は全否定しているものの、今度は、冬に備えてウクライナ派遣のロシア兵用軍服等をロシアに密輸しているとの告発がなされている。
11月8日付
『ラジオ・フリー・アジア(RFA)』(1996年開局の米議会出資のラジオ短波局)は、「北朝鮮、国連制裁を無視してウクライナ派遣のロシア兵用軍服を密輸」と題して、北朝鮮が、国連制裁に違反して、ウクライナ派遣のロシア兵の冬用軍服等を密輸していると報じている。
北朝鮮在の情報提供者によると、北朝鮮が国連制裁に違反して、来るべき厳冬に備えて、ウクライナ派遣のロシア兵用の軍服等を生産してロシア向けに密輸しているという。
同事情通が『RFA』韓国支部の照会に対して、“平壌(ピョンヤン)北部の牡丹峰区域(モランボン)にある少なくとも3つの縫製工場で、ここ1ヵ月ほど、ロシア軍向けの冬用軍服・下着等を作っている”とし、“ロシアから供給された生地で作られたこれらの衣類は、ウクライナ派遣のロシア兵用のものである”と打ち明けた。
経済制裁に喘ぐ北朝鮮は、この密輸によってしっかり外貨を稼いでいるという。
ただ、『RFA』韓国支部は在北朝鮮ロシア大使館が11月4日に出したコメントとして、“ロシア政府は北朝鮮製衣類や靴を購入する意図を持っているが、国連制裁対象となっている禁輸製品には当たらない”との声明文を掲載している。
しかし、2017年9月に採択された国連制裁決議2375(注後記)は、北朝鮮の全ての繊維製品の輸出を禁じている。
同事情通の情報によると、これらの製品を積んだ貨物列車が11月2日から運送を始めたという。
同貨物列車は、北朝鮮豆満江(トゥメンジャン)~ロシア・ハサンを経て沿海州まで繋がる鉄道で、新型コロナウィルス感染流行問題で2年8ヵ月間輸送が中断していたものである。
更に、同事情通は、“ウクライナ・ロシア戦争が長引くに連れて、ロシア・北朝鮮間友好関係は深まっていき、かかるロシア兵用軍服等の貿易に繋がった”と語った。
その上で、同事情通は、羅先特別市(ラソン)在の羅津港(ラジン)にも、多くの繊維工場があり、今後そこからもロシア兵用軍服等が生産・輸出されるとし、近い将来、軍靴も生産・輸出されることになるという。
(注)国連制裁決議2375:2017年9月3日の北朝鮮による6回目の核実験に対する国連安全保障理事会決議。過去5回の核実験の際に採択された決議1718、決議1874、決議2094、決議2270、決議2321、弾道ミサイル発射に際して採択された決議2356、決議2371に引き続き、国連憲章第7章に基づく制裁行動として具体的に経済制裁に関する行動を定める第41条が言及された。この中で、繊維製品の全面禁輸、北朝鮮労働者の受け入れ停止等が付加されている。
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