トランプ米政権、温室効果ガス排出を抑制するパリ協定を脱退へ(2017/06/01)
5月31日の
『Reuters』 、
『The Washington Post』 はトランプ米大統領のパリ協定脱退を巡る動きについて以下の通り報じている。情報筋によればトランプ米大統領は2016年の米大統領選挙期間中の公約であり、気候変動問題に対応する世界的な協定である195カ国が締結したパリ協定から米国を脱退させることを決定した。トランプ米政権当局者は脱退に関する決定はまだ検討中だが近いと述べた。これまで地球温暖化をインチキだとしていたトランプ米大統領は5月31日Twitterへ今後数日中にパリ協定について発表するつもりだと投稿した。トランプ米大統領は現在米環境保護庁(EPA)のプルート長官や石油業界関係者と、パリ協定脱退計画を策定しているとの情報もある。トランプ米大統領はパリ協定がはっきりした利益が出ないのに米国経済に何兆ドルもの費用負担が発生するとしている。
地球温暖化、海面上昇、干ばつ、凶暴な嵐の原因となると科学者が指摘する化石燃料の燃焼から生ずる二酸化炭素などの温室効果ガスの世界的排出抑制を目指して、パリ協定の下で自主的にすべての国が気候変動対策に取り組んでいるが、この協定は法的に拘束力のある世界的な気候対策の第一歩であった。
パリ協定はあらゆる国が特定の排出数値の削減目標を達成することを強制するものではないところが柔軟な協定である。...
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地球温暖化、海面上昇、干ばつ、凶暴な嵐の原因となると科学者が指摘する化石燃料の燃焼から生ずる二酸化炭素などの温室効果ガスの世界的排出抑制を目指して、パリ協定の下で自主的にすべての国が気候変動対策に取り組んでいるが、この協定は法的に拘束力のある世界的な気候対策の第一歩であった。
パリ協定はあらゆる国が特定の排出数値の削減目標を達成することを強制するものではないところが柔軟な協定である。むしろ、協定に参加する国が排出数値の削減目標に日頃から関心を高めていく過程が重要としている。
パリ協定の最終目標は1800年代後半の工業化以前の気温よりも2度高い水準以下に保つことだ。科学者たちは、地球はすでにその時代よりも約1度ほど高く、今後数十年で更に1.5度高くなるとしている。最近の研究では2度以上上昇すると、サンゴ礁や広大な氷山に至る地球のエコシステムに大きな影響が出ると指摘されている。もし米国が脱退すればシリア、ニカラグアと共に3番目のパリ協定非参加国となる。
トランプ米大統領は5月27日のG7首脳会合でパリ協定の推進について熟考したいとの理由で断った。パリ協定脱退は 米国の同盟国との亀裂を深めるのは必至で、すでにトランプ米大統領を警戒しているヨーロッパの同盟国はさらに遠ざかり、世界のリーダーとしての米国の指導力や信頼性が疑問視されることになると共に、トランプ米大統領の前任者であるオバマ前米大統領の遺産をまた一つ壊すことになる。トランプ米大統領は大統領令を通じて、オバマ米政権での重要な政策であった米環境保護庁の推進した、パリ協定の要となるクリーン・パワー・プランを廃止している。
パリ協定推進のためには大規模な二酸化炭素排出国の協力が必要だが、米国の脱退は大きな影響を与える可能性がある。米国は中国に次ぐ世界第2位の二酸化炭素排出国である。近年石炭から、よりクリーンで安価な天然ガスへの転換により、米国エネルギー情報管理局によれば米国の二酸化炭素炭素排出量は過去30年の最低水準に削減された。
パリ協定で化石燃料の燃焼による二酸化炭素およびその他の排出を削減することによって、地球温暖化を部分的に抑制することを目指している。パリ協定の下で米国は2025年までに二酸化炭素排出量を2005年の水準から26~28%削減することを約束している。2015年時点では排出量は12%減少した。環境団体はパリ協定からの米国の脱退計画を歴史的な間違いとし、地球を化石燃料産業に犠牲にして米国を世界一の気候変動の悪人にすると批判した。この数日間でダウ・ケミカル、エクソンモービル、ユニリーバ、テスラ等、数十の企業の最高経営責任者(CEO)がトランプ米大統領にパリ協定に留まるよう訴えた。
5月31日、米国の石炭会社と再生可能エネルギー会社の株価は共に下落した。株式市場はパリ合意からの米国の脱退が石炭会社の業績に世界的な悪影響を引き起こす可能性があると懸念している。セフコヴィック欧州委員会副委員長は、米国の撤退は残念だが、EUはこの問題について世界的なリーダーシップを発揮するとし、EUと中国は気候とエネルギー政策へのコミットメントとパリ協定実施を再確認する共同宣言に取り組んでいると述べた。パリ協定脱退の決定は、ティラーソン米国務長官のようなパリ協定残留を主張する国際派と対立するトランプ米政権内高官との関係を深く分裂させている。保守派のシンクタンクで影響力を持つヘリテージ財団はパリ協定を条約とみなし、米上院で承認を得るべきだと主張している。
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世界が見る北朝鮮の瀬戸際外交(2014/11/24)
11/21付「世界が見る北朝鮮の核実験示唆」で、対話路線から瀬戸際外交に戻る動きを見せているとお伝えしたが、北朝鮮自身が瀬戸際外交に戻ることを明確に宣言した。北朝鮮は、「米国と追従勢力が、わが国の権威を傷つけた決議を全面的に否定する」と、国連総会第三委員会での北朝鮮への人権侵害非難決議を全面否定し、超強硬対応路線を採用するとした国防委員会声明を発表。この中で日本も、超強硬対応路線の対象となると明言し、韓国については核戦争にまで言及した。各国は「北朝鮮の瀬戸際外交」について、以下のように報じた。
11月23付
『アルジャジーラ』 (カタール)は「国連人権委員会の非難決議を受けて、キムジョンウンを委員長とする国防委員会(NDC)が戦争宣言を発表した」と報じ、「NDCは、朝鮮半島で核戦争が勃発した場合、日本も安全ではなくその攻撃で、日本が世界地図から消える可能性もあるとしている」と報じた。11月23付
『統一ニュース』 (韓国)は「北朝鮮が国連決議を全面否定、超強硬路線に突入」との見出しで、北朝鮮が国連の人権侵害非難決議について、「何人かの人間の屑が、偽りのゴミデータに基づき作成した捏造品」であると断定、「すべての国の主権尊重と内政不干渉を、根本原則に掲げた国連憲章さえ無視し、北朝鮮の主権転覆を狙って、米国主導ででっちあげられた政治的でいかさまな決議」とこれを全面否定したことを伝えた。...
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11月23付
『アルジャジーラ』 (カタール)は「国連人権委員会の非難決議を受けて、キムジョンウンを委員長とする国防委員会(NDC)が戦争宣言を発表した」と報じ、「NDCは、朝鮮半島で核戦争が勃発した場合、日本も安全ではなくその攻撃で、日本が世界地図から消える可能性もあるとしている」と報じた。11月23付
『統一ニュース』 (韓国)は「北朝鮮が国連決議を全面否定、超強硬路線に突入」との見出しで、北朝鮮が国連の人権侵害非難決議について、「何人かの人間の屑が、偽りのゴミデータに基づき作成した捏造品」であると断定、「すべての国の主権尊重と内政不干渉を、根本原則に掲げた国連憲章さえ無視し、北朝鮮の主権転覆を狙って、米国主導ででっちあげられた政治的でいかさまな決議」とこれを全面否定したことを伝えた。一方で「理にかなった行動をしてくれた国々もあったとして、修正案を発議したキューバや、反対票を投じた中国とロシアなどの名前を上げ、謝意を表した」と報じた。瀬戸際外交に戻った北朝鮮に、国際社会はどう対応していくべきなのかについて11月23付
『RFA』 (韓国)は、「キムジョンウンの政権掌握力は強く、気まぐれで予測不可能なため、前政権よりも(国際社会の)大きな脅威になっていく可能性がある」との、米国ヘリテージ財団のブルースクリングナーの分析を紹介した。また、「キムジョンウン政権は、かつての政権と比較すると自信が持てていない。北朝鮮による偽造紙幣の作製や麻薬売買などの違法行為に対し、さらに制裁を強め、圧力をかけていくことが有効だろう」との、フレッドプレイツ韓米経済研究所副会長の発言を紹介した。
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