日本の新型コロナウィルス(COVID-19)感染者数が、欧米諸国に比して非常に低いが、以前からのマスク着用習慣が奏功している可能性は高い。しかし、直近の感染者急上昇より、それだけに頼るだけでは、実質的な感染抑え込みは難しいだろうと米メディアが報じている。
12月18日付
『ニューヨーク・ポスト』紙(
『AP通信』配信):「日本の低いCOVID-19感染者数はマスク着用習慣のお陰もあろうが、本質的な問題解決を遅らせる恐れ」
日本に最初にCOVID-19感染をもたらしたのは、2月初めに寄港したクルーズ船“ダイアモンド・プリンセス号”であった。
当時はまだ、現在のような世界的大流行となるとは考えられておらず、同船の乗船客・乗組員合計3,711人のうち、感染者712人、死者12人を出したことから、厚生労働省等関係当局への非難の声は強かった。...
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12月18日付
『ニューヨーク・ポスト』紙(
『AP通信』配信):「日本の低いCOVID-19感染者数はマスク着用習慣のお陰もあろうが、本質的な問題解決を遅らせる恐れ」
日本に最初にCOVID-19感染をもたらしたのは、2月初めに寄港したクルーズ船“ダイアモンド・プリンセス号”であった。
当時はまだ、現在のような世界的大流行となるとは考えられておらず、同船の乗船客・乗組員合計3,711人のうち、感染者712人、死者12人を出したことから、厚生労働省等関係当局への非難の声は強かった。
しかし、12月中旬現在、日本の人口10万人当りの感染者数(注後記)は138人と、欧米諸国に比べて遥かに低い。
これについて考えられる要因は、日本では以前からマスク着用習慣が根付いていて、風邪、花粉症等に備えて多くの人がマスクを着用しており、今回のCOVID-19問題において、義務化されなくとも抵抗なく公共交通機関、学校、店舗等でマスク着用が励行されている。
また、握手、ハグ、キスよりお辞儀という習慣であることも、感染リスク低減に貢献していよう。
更に、当局が推進した、4月7日から5月25日の間に導入した緊急事態宣言に伴う外出や経済活動の自粛指令、また、その際に喧伝された“3密回避(密閉、密集、密接)”も奏功してか、国内感染状況は抑えられた。
安倍晋三首相(当時、66歳)は、“日本モデル”の成功だと胸を張っていた。
しかし現在では、冬の到来とともに、いずれかの都道府県で感染者最多記録を更新する事態が起こり始め、日本全体でも最多記録を更新し、毎日2,500人以上が感染する程状況が悪化している。
そこで当局としては、“マスク着用の静かな会食”、“最多4人までの会食”等を推奨するインターネット・メッセージを発出している。
西村康稔COVID-19対策担当相(兼経済再生担当相、58歳)も、“危険度が最も高いレベル”になりつつあり、緊急事態宣言再発出を避けるためにも、マスク着用の励行、忘年会等の会食の自粛等を強化するよう求めるコメントを出した。
しかし、東京大学医科学研究所の河岡義裕教授(65歳、ウィルス学者)は、“確かにマスク着用が感染防止に一役買っていることに疑いはないが、それで十分と過大評価するのは危険”だと警鐘を鳴らしている。
(注)人口10万人当りの感染者数:12月17日現在、世界全体では961.6人で、最多国は、①米5,198.3人、②フランス3,804.8人、③アルゼンチン3,372.8人、④ブラジル3,345.2人、⑤イタリア3,153人、⑥英国2,878.8人、⑦トルコ2,318.8人、⑧ロシア1,875.3人、⑨ドイツ1,735.4人、⑩南アフリカ1,505.3人。一方、主要国で少ないのは、①中国6.6人、②韓国92.7人、③オーストラリア110.2人、④日本151人、⑤インドネシア235.3人、⑥インド723.2人。
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国連環境計画(UNEP)のために働く団体「プラン・ブルー(青い計画)」は、「地中海における環境と開発の状況に関する報告書(RED 2020)」を18日に発表した。報告書は、地球温暖化と汚染による地中海沿岸地域に住む人々の「健康と生活を脅かす」被害への懸念を表明している。
『フランス3』によると、「地中海における環境と開発の状況に関する報告書(RED 2020)」は、地中海沿岸は地球温暖化と汚染に対して特に脆弱であると指摘しており、今後数十年の間に、その地域に住む人々に大きな脅威をもたらす可能性があると警告している。
11年ぶりに発表された報告書は、地中海に面した21ヵ国の専門家達が待ちわびていたものであったが、「資源と生物の搾取、汚染、気候変動は、既存の脆弱性を悪化させ(…)、健康と生活を脅かすことが予想される」という非常に厳しい結論を出している。...
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『フランス3』によると、「地中海における環境と開発の状況に関する報告書(RED 2020)」は、地中海沿岸は地球温暖化と汚染に対して特に脆弱であると指摘しており、今後数十年の間に、その地域に住む人々に大きな脅威をもたらす可能性があると警告している。
11年ぶりに発表された報告書は、地中海に面した21ヵ国の専門家達が待ちわびていたものであったが、「資源と生物の搾取、汚染、気候変動は、既存の脆弱性を悪化させ(…)、健康と生活を脅かすことが予想される」という非常に厳しい結論を出している。
報告書は、地中海地域は特に気候変動の影響を直接受けていると指摘している。気温、水温ともに「世界平均より20%速く」上昇しており、このような変化が、地域に劇的な影響を与えている。降水量は2080年までに最大30%減少すると予測されている。火災シーズンもより長くなり、外来種の増殖が生物多様性と漁業を脅かすことになると予測されている。
報告書の中で最も注目されたのは、海面上昇の問題。今世紀末には0.5から2.5メートル上昇する可能性があると推測されている。海面の上昇は、地中海沿岸地域の住民、約5億1千万人の住民の3分の1を脅かしている。地中海沿岸地域は世界有数の観光地であるが、文化遺産の大半は沿岸部や低地にあることが課題となっている。
『レゼコー』によると、気温の上昇によって雨量が減少し、地中海沿岸地域のすべての国で作物の生産性が「2080年までに21%低下」し、特にマグレブで顕著になっているという。
しかし夏以外は逆に大雨が多くなり、洪水を引き起こすような激しい大雨が定期的に発生する可能性があると見られている。
また、気温の上昇は酸性化を引き起こし、海洋生物多様性に負の影響を与えることが予想されている。こうした見通しは、漁業が沿岸地域で22万7千人以上の人々を雇用し、年間24億ドル以上の収入を生み出している「地域全体で大きな社会経済的役割を果たしている」を考えると、地域経済への影響がいっそう懸念される。
さらに地中海は、「世界で最も海ごみの影響を受けている地域の一つ」となっている。この汚染は、地域の廃水の8%未満のみが三次処理されていることで悪化し続けている。農業活動による栄養素や農薬、重金属、炭化水素、プラスチックなどが主な汚染物質となっている。報告書は「毎日730トン以上のプラスチックが地中海に入ってきており」、浜辺で発見された使い捨てのプラスチックの多くが余暇活動からのものだと指摘している。
なお、まとめられたデータによると、地中海流域の死亡者数の15%は、すでに予防可能な環境原因に起因すると推測されている。報告書を作成した団体の代表は、「地中海の未来は転換点にある」と述べている。
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