バイデン政権の移民政策のリスク(2021/01/25)
バイデン米大統領は就任してすぐ、トランプ前大統領の強硬な移民政策を転換し、約1100万人の不法移民に市民権獲得への道を開く対策を行っている。民主党の政策を進めるためには、ラテン系有権者の期待に応えることが急務となっている。
1月24日付
『AP通信』は「バイデンの移民政策が民主党にとってのリスクとなる理由」との見出しで以下のように報道している。
バイデン政権の移民政策は、大きな期待の裏で政治的リスクに直面している。先週、移民政策の見直しとして、米市民権を取得するプロセスを短縮し、不法滞在者約1100万人への市民権付与する法案を提出。これはトランプ元大統領の強行政策を一掃し、幼少期に帯同した多くの移民に法的権限を保障しようというもの。...
全部読む
1月24日付
『AP通信』は「バイデンの移民政策が民主党にとってのリスクとなる理由」との見出しで以下のように報道している。
バイデン政権の移民政策は、大きな期待の裏で政治的リスクに直面している。先週、移民政策の見直しとして、米市民権を取得するプロセスを短縮し、不法滞在者約1100万人への市民権付与する法案を提出。これはトランプ元大統領の強行政策を一掃し、幼少期に帯同した多くの移民に法的権限を保障しようというもの。
この政策は他のバイデンの看板政策である新型コロナ対策やグリーンエネルギー関連のインフラ法案、保険の対象者拡大などとは相容れぬものとなる。これを実現できなければ、ラテン系有権者の期待を裏切りることとなり、支持を失うことは民主党の政治的リスクに尾を引くこととなる。
APの全国有権者調査によると、トランプとの選挙戦でバイデンはラテン系から63%(トランプは35%)の支持を獲得したが、ネバダ州他の激戦州ではトランプが差を縮め39%に躍進。共和党の移民政策に反対してきたメキシコ系米国人を基盤とするアリゾナ州では、バイデンが1996年以来の民主党大統領となった。一方、ヒスパニック系が国内最大のフロリダではトランプの反社会主義思想により負けた。
バイデン大統領は、ラテン系活動家からオバマ元大統領との繋がりが懸念されて、急務として過去数ヶ月、移民活動家に向かい、移民改革を優先事項とするようアピールを重ねてきた。しかし、共和党員からの支持は期待以下となるとみられ、通過の60票の壁を越え支持を得るのは非常に高いハードルだ。米国労働者の雇用を奪う安価な労働者の流入に対し、民主党は一枚岩とはいかず、一分の上院議員は共和党に流れている。
古くヒスパニック系の多くは民主党を支持してきたが、過去の移民政策の失敗を忘れておらず、共和党より民主党に責任があると考えている。 だが、ここ数十年は無党派に流れており、彼らの支持を少しでもつなぎとめることが重要といえる。
同日付米国『フィラデルフィア・インクワイアラー』は「不法滞在者1100万人(フィラデルフィアは5万人)にバイデンが自立の機会を与える」との見出しで以下のように報道している。
バイデン大統領が1100万人の不法移民に市民権への道を開く画期的法案を提出した。移民に攻撃的だったトランプ前大統領とは反対で、これは劇的な変化である。民主党の過半数がやや上回る程度の両院議会で承認を得られるかは不透明であり、時間も要するものとなる。
これは暫定的に仮市民のステータスを与えようとするもので、納税や犯罪歴審査を経ると、5年後に永住権の対象となり、更に3年以上経つと審査の上に市民権の申請が可能となるという。
フィラデルフィアには5万人の不法滞在者がいる。(外国人の4人に1人)先週ジム・ケニー市長は、「フィラデルフィアは寛容な都市。大切な住人を守り、彼らの権利と家族のため闘う」、「バイデン政権は、米国の移民制度の近代化へのコミットメントにトランプが残した混乱を直ちに取り除いているのだ」と述べている。ケニーのチームは2018年、法廷でトランプ政権から聖域都市、不法市民に司法制度において同等に扱われる権利を勝ち取った。
閉じる
米、新聞のオピニオン面に関する論争で揺れる大手新聞(2020/07/31)
ウォール・ストリート・ジャーナル紙の280人以上のジャーナリストが、同紙上での「記事」と「オピニオン面」とのより明確な分離を求めた。「ニューヨーク・タイムズ」をはじめ、米国の大手新聞社では「オピニオン面」の在り方をめぐり議論や辞任が続いており、欧州メディアも関心を寄せている。
アメリカの最大手の新聞社ではここ数ヵ月間、新聞のオピニオン面(論説欄)の扱い方について議論が続いている。この議論の波は、ウォール・ストリート・ジャーナルにも及んでおり、英
『デイリーメール』によると、同紙の記者280人以上が21日、発行者のアルマー・ラトゥール氏宛てに同日報が掲載するオピニオン面の記事に対する戸惑いや不快感を書簡の形で表明した。
記者達は書簡を通して、「言論の自由」の条項である米国憲法修正第1項を支持する記者として、情報発信におけるオピニオン欄の価値を認識しているものの、寄稿文の事実確認と透明性が欠如していることや証拠への明らかな無関心は、読者の信頼を損ない、情報源に対し信頼を獲得することをも損なっていると訴えている。...
全部読む
アメリカの最大手の新聞社ではここ数ヵ月間、新聞のオピニオン面(論説欄)の扱い方について議論が続いている。この議論の波は、ウォール・ストリート・ジャーナルにも及んでおり、英
『デイリーメール』によると、同紙の記者280人以上が21日、発行者のアルマー・ラトゥール氏宛てに同日報が掲載するオピニオン面の記事に対する戸惑いや不快感を書簡の形で表明した。
記者達は書簡を通して、「言論の自由」の条項である米国憲法修正第1項を支持する記者として、情報発信におけるオピニオン欄の価値を認識しているものの、寄稿文の事実確認と透明性が欠如していることや証拠への明らかな無関心は、読者の信頼を損ない、情報源に対し信頼を獲得することをも損なっていると訴えている。
そもそも多くの読者は報道と意見の区別がついておらず、この違いを認識している読者からは、投稿されたオピニオン記事の中の誤りのために、報道記事自体の正確性と公平性に疑問を持たれてしまうという。
記者達はこの問題の解決のために、厳密にジャーナリズムの視点で書かれた記事と、意見を述べるオピニオン面をより明確に分離し、意見の投稿は報道記事編集部とは独立していることをより明確に示すことを提案し、外部投稿の事実誤認を指摘する読者から編集部が「叱責」を受けることのないように求めた。
仏『レゼコー』は、ウォール・ストリート・ジャーナルの記者たちは、視点の多様性の原則に同意しているが、今回の書簡は、米国の他の新聞社での編集者に対する批判に反応したものだと指摘している。
ニューヨーク・タイムズでは、オピニオン面の編集長であったジェームズ・ベネット氏が6月初旬に読者や編集部からの圧力を受けて辞任に追い込まれている。アフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイド氏が警察の手で死亡した後に抗議行動が続く中、アーカンソー州の上院議員の「軍隊を送ろう」と題した論説を掲載することを許可したことが原因だった。
フィラデルフィア・インクワイアラー紙の幹部も、ブラック・ライヴズ・マター運動に言及した「建物も大切」と題された論説を発表した後、同じ運命をたどった。
またニューヨーク・タイムズでは、2016年のトランプ大統領の奇襲当選後、オピニオン面での視点の幅を広げるために採用された編集長が先週、民主党寄りであることを公然と認めている同紙が実際には議論に対して開かれていないと感じ、辞職している。
ウォール・ストリート・ジャーナルの編集委員会は「読者のみなさまへ」という投稿の中で、「記者達の不安は我々の責任ではない」と記者の批判に厳しく反論した。投稿された意見の誤りやミスを糾弾する「キャンセル・カルチャー」の波が同社に押し寄せてきたことは、おそらく他のほとんどすべての文化、ビジネス、学術、ジャーナリズム機関でそうなっているように、避けられないものであったが、同社は『ニューヨーク・タイムズ』ではない、と反論している。
閉じる
その他の最新記事