イギリスでは差別的または不愉快だと感じるあらゆる見解を容認することを拒否する、いわゆる「WOKE(ウォーク)」運動の出現によって、英国教育機関が抑制されているとの懸念が高まっている。そうした中、英シンクタンクの「CIVITAS」は大学での言論の自由に関する調査を行った。調査の結果、イギリスの大学の中で言論の自由が最も低い大学としてケンブリッジ大学が選ばれた。
『ロシアトゥデイ』によると、ロンドンに本拠地を置く市民社会研究所(CIVITAS)が発表した「言論の自由に関するイギリスの大学ランキング」で、ケンブリッジ大学がワースト1位の座を獲得した。大学ランキングでは、オックスフォードを含む計48大学が順位付けされた。
CIVITASは、2017年から2020年までの3年間に、英国内の137のキャンパスでどのようなキャンパス内検閲があったのかを分析した。...
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『ロシアトゥデイ』によると、ロンドンに本拠地を置く市民社会研究所(CIVITAS)が発表した「言論の自由に関するイギリスの大学ランキング」で、ケンブリッジ大学がワースト1位の座を獲得した。大学ランキングでは、オックスフォードを含む計48大学が順位付けされた。
CIVITASは、2017年から2020年までの3年間に、英国内の137のキャンパスでどのようなキャンパス内検閲があったのかを分析した。例えば、学生会がどの程度言論の自由を阻害しているか、言論統制やハラスメント行為が、どの程度開かれた議論を制限しているかなど、多くの変数が評価された。調査対象となった教育機関のうち、言論の自由に関して「最も制限的」と評価されたのは35%だった。反面、言論の自由に対して「ほぼ友好的」とされたのは14%にすぎなかった。
同シンクタンクは、自由な意見交換に対する敵意が高まっている要因として、「キャンセル文化」の台頭を挙げている。なお、多くの大学で、検閲を正当化する理由として「トランス批判」は危険思想であると指摘している。
英『デイリー・エクスプレス』は、シンクタンク「CIVITAS」によると、800年の歴史を持つケンブリッジ大学は、ここ数年の間にキャンパス内の検閲、請願書、公開書簡、そして学生が不適切だと判断する見解を持つ講演者の講演会キャンセル運動などをめぐって、数十件の論争が起こってきたと報じている。
講演会のキャンセルは、「ノー・プラットフォーム」化とも呼ばれており、自分たちと異なる見解を持つ人は危険思想の持ち主だとして、特定の著名人に対して自らの考えを公にする機会を与えないようにするという運動である。この「ノー・プラットフォーム」運動は、言論の自由を損なっていると主張する人々に対し、運動の支持者は、弱いマイノリティを守り、受け入れることになると主張している。
なお、ケンブリッジ大学以外にも、セント・アンドリュース、オックスフォード、リバプール、シェフィールド大などが、言論の自由が制限されている大学としてランクインしている。
また「CIVITAS」は、言論統制の強い大学では、公開書簡や請願書を用いた「キャンセル・カルチャー」運動による言論の自由への圧力が特に顕著であると指摘している。言論の自由が低い大学では69%、言論の自由がより高い大学では48%報告されているとして、警告している。
調査によると、言論の自由が最も低いもしくは低めの大学のうち、5分の1弱が、異なる見解を持つ人の講演会のキャンセルや、講演会に意図的に招待しないという問題に直面したことがあると報告している。
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