中国の上海にある復旦大学の高分子研究グループが、次世代型の電子布地を発表した。柔軟性と通気性のある導電性の繊維は、着用したり、洗濯したりすることができる。人々が近い将来、衣服上でメッセージを送受信したり、情報を読んだり、メモをとったりできるようになる可能性が見えてきた。
中国英字新聞
『チャイナディリー』によると、復旦大学高分子科学部の研究グループは、独自の研究開発により、発光活性物質を担持した高分子複合繊維と透明導電性高分子繊維という2つの新しい機能繊維を開発した。そして織物を織る際、縦糸と横糸の織り方によって、デジタル表示画面上の画素配列のようなドットマトリックスを自然に形成することができたという。この開発について11日、学術誌「Nature」に論文が掲載された。
チームの主任研究員で同学部の教授Peng Huisheng氏は、「この新素材で織られた生地は、人体の不規則な輪郭にぴったりと沿うことができ、通常の布地と同じように軽くて通気性があり、着心地も快適である。」と述べている。実験では、折り曲げたり伸ばしたりを繰り返しても、ディスプレイ上で安定した性能を維持できることが確認されたという。また、洗濯機で500回洗っても、明るさや安定性はほとんど変わらなかったと報告している。
英『インデペンデント』は、新しく開発された生地は、普通の繊維と変わらない一方で、布製のタッチセンサー付きキーボードと電源を組み込むことで、布そのものをコンピューターに変えることが可能だと伝えている。
研究者たちは、この布を使ってインタラクティブな地図を表示したり、ブルートゥースで接続されたスマートフォンを使って音声メッセージを送受信したりすることが可能であることを説明している。
これまでも、センサー付きや導電性繊維など、さまざまなスマート機能を備えた繊維が開発されてきた。しかし、今回開発された布は、着用可能で、衣類に簡単に組み込むことができる大型で機能的なディスプレイを備えた初めての布であり、画期的なものであるという。
中国の研究チームは、この技術の主な用途はヘルスケアであり、例えば、通常ではコミュニケーションをとることが困難な人々が、服を着用することで意思疎通ができるように助けることが出来ると説明している。服を着用した人の脳からの信号を分析して、その人の気持ちを理解し、服の前面に表示することができるのである。
フィリピン放送局『ABS-CBN』は、この生地はバッテリーまたは、太陽エネルギーを利用することも可能であるため、例えば、腕にGPSマップを表示させて、ドライバーをサポートするなど、さまざまな用途が考えられるだろうと伝えている。
閉じる