英国選手団、冬季オリンピックでの中国によるスパイ行為のリスクについて警告を受ける
北京冬季オリンピックに向かう英国チームの選手たちは、中国政府によって監視される危険性があるため、個人の携帯は自宅に残すように勧告されており、大会期間中に使用できる携帯電話が提供される予定となっている。
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『インデペンデント』によると、英国代表団はこの申し出を受ける必要はないものの、英国オリンピック委員会(BOA)は、中国政府が選手の個人用デバイスにスパイウェアをインストールし、個人情報を引き出したり、今後の活動を追跡したりすることを懸念しているという。
BOAの広報担当者は、「我々は選手とスタッフに実用的なアドバイスをし、彼らがゲームに個人のデバイスを持って行くかどうか、彼ら自身の選択をすることができるようにした。...
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『インデペンデント』によると、英国代表団はこの申し出を受ける必要はないものの、英国オリンピック委員会(BOA)は、中国政府が選手の個人用デバイスにスパイウェアをインストールし、個人情報を引き出したり、今後の活動を追跡したりすることを懸念しているという。
BOAの広報担当者は、「我々は選手とスタッフに実用的なアドバイスをし、彼らがゲームに個人のデバイスを持って行くかどうか、彼ら自身の選択をすることができるようにした。自分のデバイスを持って行きたくない選手には、代理で一時的に使用するための器機を用意している。」と説明している。
英『ガーディアン』によると、オランダオリンピック委員会(NOCNSF)は、中国が大会中に電子機器の監視を行うことが予想されるため、さらに一歩進んで、選手たちに個人の携帯電話やノートパソコンを持ってこないように指示したという。オランダの新聞「フォルクスクラント」は、NOCNSFが選手やサポートスタッフに、帰国後に破棄される携帯電話やノートパソコンを渡すと伝えている。NOCNSFのスポークスマンは、具体的な対策については言及を避けたが、「サイバーセキュリティーの重要性は年々高まっている。中国はインターネットを完全に遮断していて、特殊なケースである。」と説明している。
米紙『USAトゥデイ』は、米国を含む数カ国のオリンピックチームが、北京大会でのサイバー監視の懸念から選手に対して、個人の携帯電話やラップトップを自宅に置いておくよう奨励していると報じている。
米国オリンピック委員会(USOPC)が配布したパンフレットには、レンタルか使い捨てのパソコンやプリペイド式携帯が推奨されると書かれている。米国オリンピック委員会は、「コンピュータと同様に、携帯電話上のデータやアプリケーションは、悪意のある侵入、感染、データ侵害の対象となる」と勧告している。
なお、北京大会に先立つ各国オリンピック委員会の指導は、各国政府が通常、中国を訪れる旅行者に行っている勧告に沿ったものだという。例えば、米国務省は中国への渡航勧告の中で、中国の「警備担当者は外国人訪問者を注意深く監視している」と書いている。また、「ホテルの部屋(会議室を含む)、オフィス、車、タクシー、電話、インターネット使用、デジタル決済、ファックスが現場または遠隔で監視され、ホテルの部屋にあるパソコンなどの個人の持ち物が、同意や通知なく捜索されることがある」と勧告している。
豪紙『ジ・エイジ』によると、オーストラリアオリンピック委員会(AOC)の広報担当者は、豪選手やサポートスタッフには大会におけるサイバーセキュリティーの潜在的リスクについて教育を行うが、個人所有のデバイスを持ち出すかどうかは個人の判断に任せると述べている。
全選手には国際オリンピック委員会からサムスンの携帯電話と現地のSIMカードが配布され、スタッフは割り当てられたエリアでAOC専用のWi-Fiを利用することができる。また、スタッフは割り当てられた場所でAOC専用のWi-Fiを利用し、ソーシャルメディアやその他のコミュニケーションアプリにアクセスすることが許可される予定となっている。
中国共産党が発行する新聞「環球時報」は論説で、「こうした告発はフェイクニュース、無知、そして西側諸国自身の行いに基づいている」と非難し、反中感情を鼓舞する試みであると書いている。
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オーストラリア、中国投資に対抗するために太平洋地域に3億豪ドルのインフラ融資へ
オーストラリア政府は、太平洋地域における中国の長年に渡る融資に対抗する手段として、太平洋地域のインフラプロジェクトに3億豪ドル(約254億円)を支出することを発表した。
豪
『シドニー・モーニング・ヘラルド』や
『ジ・エイジ』によると、オーストラリアは今後数ヶ月の間に、太平洋地域の戦略的に重要なインフラ整備に数億ドルを投じる予定だという。これは、10年以上にわたる中国の財政支出に対抗し、小国が中国に対し負債を抱え込まないようにすることを目的としている。
このインフラ整備は、太平洋地域が新型コロナウイルスによる経済的ダメージからの回復を目指す中、オーストラリアの太平洋地域における影響力拡大政策の一環として行われ、再生可能エネルギープロジェクト、通信、輸送、医療施設などへの融資や補助金が含まれる。...
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豪
『シドニー・モーニング・ヘラルド』や
『ジ・エイジ』によると、オーストラリアは今後数ヶ月の間に、太平洋地域の戦略的に重要なインフラ整備に数億ドルを投じる予定だという。これは、10年以上にわたる中国の財政支出に対抗し、小国が中国に対し負債を抱え込まないようにすることを目的としている。
このインフラ整備は、太平洋地域が新型コロナウイルスによる経済的ダメージからの回復を目指す中、オーストラリアの太平洋地域における影響力拡大政策の一環として行われ、再生可能エネルギープロジェクト、通信、輸送、医療施設などへの融資や補助金が含まれる。
国家安全保障の専門家の間では、パプアニューギニアに計画されている中国の漁業施設や、地域全体の携帯電話ネットワークなど、太平洋地域における戦略的に重要な資産に中国政府の支援を受けた企業が資金を提供し、購入することへの懸念が高まっている。こうした中、スコット・モリソン首相が2018年に「太平洋諸島地域のためのオーストラリア・インフラ融資ファシリティ(AIFFP)」の設立を発表した。2019年7月に運用を開始したが、最初の3つの主要プロジェクトであるパラオ向けの海底ケーブル、ソロモン諸島の水力発電システム、パプアニューギニアの太陽光発電所の資金調達を承認するのに昨年末までかかってしまった。
2011年から2017年の間に、中国は太平洋地域へのドナーによる融資の37%を担い、総額約17億米ドル(約1856億円)の資金を提供した。2018年以降、中国政府の融資は減少傾向にあるものの、過去3年間、融資対象となるプロジェクトの拡大に積極的に取り組んでおり、中国企業はこの地域での足場を確実に固めている。
米メディア『エポックタイムズ』によると、中国の習近平国家主席は2013年に、中国を世界のインフラ投資の中心に据えるためにアジアインフラ投資銀行(AIIB)を立ち上げた。AIIBは、米国と日本が最大の株主となっている世界銀行やアジア開発銀行に代わるものとして発足された。AIIBには85の加盟国が出資しており、中国が主な資金源となっている。
ニュージーランド・マッセイ大学の防衛安全保障研究センター上級講師であるアナ・パウレス氏は、ロイター通信に対し、AIIBからの融資は一帯一路構想と同様に参加国に負債の罠をもたらす可能性があると指摘している。「AIIBが太平洋地域への主要な融資先となり、地域の経済回復が中国の融資に牽引されるようになった場合、経済的な依存関係が悪用される可能性があるという重大な懸念が生じる」と述べている。
例えば、一帯一路構想に参加したスリランカは、融資の返済ができなくなったため、戦略的なハンバントタ港の70%の支配権を中国の国有企業に99年間のリースで引き渡さなければならなかった。一方、ジブチは主要な港を中国の支配下に置き、中国人民解放軍が恒久的な軍事基地を設置することになってしまった。
これはオーストラリアにとって、中国が近隣地域に軍事施設を設置する可能性があることを意味し、懸念すべきことである。国防アナリストのトム・コーベン氏は、中国が資金を提供したインフラプロジェクトによって、中国軍が太平洋諸島地域に駐留するようになれば、中国共産党はオーストラリアを含む島嶼国を軍事的に脅かし、米国や日本との重要なサプライラインを切断する能力を持つことになると指摘している。
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