ニュージーランド、中国対応において「ファイブ・アイズ」同盟とは距離を置くと発表(2021/04/23)
ニュージーランドのマフタ外相は今週、中国の人権問題への対応に関して、ニュージーランドが加盟している機密情報共有同盟「ファイブ・アイズ」との間に一線を引こうとする発言を行った。外相はさらに、情報提携の範囲を拡大することには抵抗があり、「ファイブ・アイズ」同盟のパートナーである、オーストラリア、カナダ、英国、米国から「独立した」外交政策を求めていく旨を明らかにした。ファイブ・アイズ同盟内では、驚きの声が上がっている。
ニュージーランドのマフタ外相は19日の記者会見で、ニュージーランドはオーストラリア、カナダ、英国、米国との同盟を、「中国に対してメッセージを送る際の最初の連絡先として使いたくない」と発言し、同盟国を驚かせた。さらに、「ニュージーランドはファイブ・アイズの範囲を拡大することに抵抗がある。」とし、「むしろ、ニュージーランドの利益を表明する多国間との機会を探すことを望んでいる。」と語った。
『オーストラリア放送協会』は、この半年間、ニュージーランドはファイブ・アイズの声明の多くに参加してきたが、一部の声明には参加しなかった。...
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ニュージーランドのマフタ外相は19日の記者会見で、ニュージーランドはオーストラリア、カナダ、英国、米国との同盟を、「中国に対してメッセージを送る際の最初の連絡先として使いたくない」と発言し、同盟国を驚かせた。さらに、「ニュージーランドはファイブ・アイズの範囲を拡大することに抵抗がある。」とし、「むしろ、ニュージーランドの利益を表明する多国間との機会を探すことを望んでいる。」と語った。
『オーストラリア放送協会』は、この半年間、ニュージーランドはファイブ・アイズの声明の多くに参加してきたが、一部の声明には参加しなかった。また、オーストラリアとニュージーランドの間では、中国への対応をめぐり緊張が高まり、今年初めには、ニュージーランドのオコナー貿易相が、モリソン政権が中国からの経済的懲罰を避けるためには、中国にもっと「敬意」を払うべきだと示唆し、豪閣僚や政府関係者の怒りを買っていた。
豪紙『シドニー・モーニング・ヘラルド』は、マフタ外相が、70年の歴史を持つ「ファイブ・アイズ」と呼ばれるスパイ同盟を通じて中国に圧力をかけようとしていることを批判したことで、「オーストラリア政府は不意打ちを食らった」と報じている。
そして、「多くの問題についてニュージーランドの関心事を表明する多国間での機会を探したいという外相の発言は、慎重に表現されているものの、実質的な影響を与えるものだ。」と伝えている。「オーストラリアの最も近い隣国であるニュージーランドは、ファイブ・アイズを拡大していくことに関するニュージーランド政府の不快感を表明する前に、その立場についてオーストラリアに伝えなかった。過去1年間、いくつかの共同声明にニュージーランドが参加しなかったことにオーストラリア政府は不安を感じていたが、中国政府に外交的圧力をかけるためにスパイネットワークを利用することに対して、ニュージーランドが公式に反対していることを知らなかった。モリソン首相は2週間後にニュージーランドを訪問し、アーダーン首相と会談する予定だが、その際、ファイブ・アイズの将来が話題になるだろう。」
同紙は、オーストラリア政府は、ニュージーランドが情報共有ネットワークから追い出される危険性があるとは真剣には考えていないが、オーストラリアと米国は、ニュージーランドが情報共有ネットワークの拡大を抑制しようとしていることに懸念を抱いているとも伝えている。オーストラリアでは、「フォー・アイズ」という言葉を冗談交じりに使うことがここ数カ月増えているという。
一方、ニュージーランドのニュースサイト『ワン・ニュース』は、マフタ外相の発言は、中国からの強い反発を意識した発言だったと思われると報じている。昨年の11月には、ニュージーランドが「ファイブ・アイズ」のパートナー国とともに、「中国が香港で選出された議員を失脚させるために新たなルールを課していることに深刻な懸念を抱いている」との声明を発表し、中国政府は、ファイブ・アイズ(=5つの目)同盟の「目を突かれたり、目をつぶされたりすることに注意してほしい」と報復を警告していた。
ビクトリア大学で戦略研究教授のロバート・エイソン氏は、ニュージーランドの朝のニュース番組で次のようにコメントしている。「ファイブ・アイズに関するマフタ外相のコメントは、答えよりも疑問を投げかける結果となったため、必要なかった。首相が後になってフォローしなければならなかったのは気まずかった」。同教授によると、ニュージーランドは依然として情報同盟にコミットしており、中国を批判する目的で情報同盟をプラットフォームとして使用したくないという点を指摘しただけだという。
同じくニュース番組に出演した国民党党首のコリンズ氏は、ニュージーランド政府は板挟みになっていると述べた。「一方では、主要な経済輸出市場である中国があり、わが国の経済を維持する上で重要である。他方では、主要な安全保障上の取り決めがある」。同氏は、世界関係は徐々に中国と英米圏の戦いに変わってきていると述べ、「ニュージーランドは肉になり、真ん中に置かれたかわいそうな存在だ。」と表現した。ニュージーランドが貿易相手国を多様化する必要があるという外相の言葉は正しいと述べ、中国がニュージーランドとの自由貿易協定の締結に踏み切った今、イギリスやアメリカなどのファイブ・アイズのパートナーから同様の申し出がないことは疑問に思うと語った。
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中国、数千人の外国人が監視対象者リストに含まれていたことが発覚(2021/04/02)
中国の機関から最近流出したデータによると、2017年から2018年にかけて中国本土を訪問した外国人の中で、5,000人以上が中国政府の追跡対象となっていたことが判明した。追跡対象者リストの中には、中国に1日しか滞在しなかった人や、上海を経由しただけの人も含まれていた。
アメリカの中国系新聞
『エポックタイムズ』によると、サイバーセキュリティの専門家は、今回の流出したデータは、北京の主要な監視機関である公安省の地方レベルの支部である上海公安局がまとめたもので、地方局が監視に関与している、顔認証を使用しているなど、高度化していることが特徴的だと述べている。
流出したデータには110万件を超える監視記録が含まれており、その中には中国国内の2万5千人の「要注意人物」と、政府関係者や三菱自動車、米製造業大手3Mの従業員を含む5千人の外国人の情報が含まれている。...
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アメリカの中国系新聞
『エポックタイムズ』によると、サイバーセキュリティの専門家は、今回の流出したデータは、北京の主要な監視機関である公安省の地方レベルの支部である上海公安局がまとめたもので、地方局が監視に関与している、顔認証を使用しているなど、高度化していることが特徴的だと述べている。
流出したデータには110万件を超える監視記録が含まれており、その中には中国国内の2万5千人の「要注意人物」と、政府関係者や三菱自動車、米製造業大手3Mの従業員を含む5千人の外国人の情報が含まれている。
『オーストラリア放送協会(ABC)』によると、ハッカーがオープンソースプラットフォームで「Uyghur Terrorist」と名付けられた保護されていないデータベースを見つけ、オーストラリアの治安当局、報道機関、キャンベラに拠点を置くサイバーセキュリティ会社Internet2.0に提供したという。
中国の公安局がまとめた監視記録データには、2017年に上海に渡航した外国人らのパスポートの詳細や写真、顔や車の認識写真、出入国データ、情報提供者からの報告などが含まれている。
また、2018年に上海の浦東国際空港の入国審査場を通過した161人以上のオーストラリア市民が公安局によって高度な監視対象に指定されていたことも判明した。
オーストラリア人の名簿には、元諜報機関「国家評価室」トップで大使も務めたジェフ・ミラー氏など、著名で影響力のある人物が含まれている。他にも、通信大手のテルストラ、ナショナル・オーストラリア銀行、会計事務所アーンスト・アンド・ヤング、全国ブロードバンドネットワークなどの、機密技術や情報にアクセスを持つ幹部や社員も含まれている。
サイバーセキュリティ会社「インターネット2.0」のロバート・ポッター社長は、このデータは、急成長する大量監視システムに供給されている、より大きなデータベースの一部であるようだと語っている。また、中国政府は「民主主義国家で運用されているものよりも、範囲、規模ともに著しく進んだ、より大規模なシステムを利用している」と指摘し、「法の執行と政治的統制の範囲内で、すべてのデータ点を広範に管理しようとしていることを示している」と述べている。
オーストラリア戦略政策研究所の上級アナリストであるホフマン博士は、これらのデータが、中国全土の顔認識カメラ、公安データベース、指揮管理系統、サイバー脅威インテリジェンスを結びつける、「スカイネット」と呼ばれる国家的プログラムに組み込まれていると考えている。
なお、中国政府による外国人の監視は中国国内にとどまらない。2020年12月15日付けの『ニューズウィーク』の記事では、中国がカリブ海の携帯電話ネットワークを悪用して米国人の「大規模な監視」を行っていると伝えられている。
モバイルセキュリティの専門家がカリブ海の「信号データ」を分析した結果、中国が国営の携帯電話会社を利用して「米国の電話加入者の電話通信を標的にし、追跡し、傍受していた」ことが判明したという。
専門家は、中国がカリブ海の事業者を悪用して、旅行中の米国人の監視を行っていたようだと主張し、2018年から2020年にかけての携帯電話を通した監視は、同地域の米国の携帯電話ユーザー「数万人」が標的となった可能性が高いと主張している。
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