慢性的な電力不足に備えよ(6月20日)
ウクライナ情勢などによるエネルギー供給への影響などにより、来月7月にも電力が足りなくなる可能性が出てきている。今夏も高温が予想されるが、停電してしまうとエアコンが使えなくなり、高齢者が熱中症にかかる確率が高まるなど、命にかかわるケースが予想される。
電力を安定供給するには需要に対して3%の余力が必要といわれるが、7月の余力は東北・東京・中部電力管内で3.1%となっており、まさにぎりぎりの綱渡りの状態である。...
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ウクライナ情勢などによるエネルギー供給への影響などにより、来月7月にも電力が足りなくなる可能性が出てきている。今夏も高温が予想されるが、停電してしまうとエアコンが使えなくなり、高齢者が熱中症にかかる確率が高まるなど、命にかかわるケースが予想される。
電力を安定供給するには需要に対して3%の余力が必要といわれるが、7月の余力は東北・東京・中部電力管内で3.1%となっており、まさにぎりぎりの綱渡りの状態である。さらに来年1月の余力を見てみると、東京電力管内ではマイナス0.6%となっており、より厳しい状態が予測されている。
今は原発を動かせないため、老朽化のため一旦廃炉にした火力発電所を再動させ急場をしのいでいる。メンテナンスもされていなかった為、雨漏りさえしているという。
現在、日本のエネルギーの電源構成(2019年度)は火力発電が84.8%と圧倒的に多い(原子力2.8%、水力3.5%、再エネ8.8%)。
脱炭素が叫ばれる中で火力発電所を使うことは地球環境全体から見れば好ましくない事態であり、日本は将来的に現在の電源構成比率を変えていかなくてならない。天候に左右される再エネでは安定性に欠けておりベースロード電源にはなり得ない。火力発電を当面の間使う分には問題ないが、ウクライナ戦争が長期化した場合には、他の方法を考える必要が出てくる。
その場合、日本に残された選択肢は原発を再稼働していく以外にない。そのためには政治家は停電が続いたリスクと原発を稼働させた場合のリスク、日本が原発をやめても世界では原発が増加していること、日本には長年蓄積された原子力発電のノウハウがあること、将来的にはより危険性がすくない核融合などの技術につなげていくことができることなどを地域住民に分かりやすく説明し、納得させる努力が必要となってくる。
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日本周辺波高し(6月5日)
6月5日、防衛省は北朝鮮から弾道ミサイルの可能性のあるものが発射され、日本のEEZ(排他的経済水域)の外側の日本海に落下したと見られると発表した。ミサイルであれば5月25日に発射した3発の弾道ミサイルに続くものとなる。
最近の動きをまとめると6月3日、日米韓3か国の北朝鮮担当高官による協議が行われたことに続き、米韓両軍が原子力空母を投入した共同訓練を4年7か月ぶりに行った。この訓練は沖縄の南東の公海上で行われ、米国の原子力空母「ロナルドレーガン」や韓国のイージス駆逐艦なども参加する本格的なものであった。...
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6月5日、防衛省は北朝鮮から弾道ミサイルの可能性のあるものが発射され、日本のEEZ(排他的経済水域)の外側の日本海に落下したと見られると発表した。ミサイルであれば5月25日に発射した3発の弾道ミサイルに続くものとなる。
最近の動きをまとめると6月3日、日米韓3か国の北朝鮮担当高官による協議が行われたことに続き、米韓両軍が原子力空母を投入した共同訓練を4年7か月ぶりに行った。この訓練は沖縄の南東の公海上で行われ、米国の原子力空母「ロナルドレーガン」や韓国のイージス駆逐艦なども参加する本格的なものであった。今回の北朝鮮の飛翔体の発射は連携を強める日本、米国、韓国の3か国への反発を示し、けん制するねらいがあると見られる。北朝鮮は7回目の核実験を行う兆候も見せている。
一方、中国船が沖縄周辺で不審な動きを見せている。4日、外務省は石垣島北およそ73キロメートルのEEZ内で中国の海洋調査船が観測機器のようなものを海中に投入しているところを海上保安庁が確認し、現場で中止を求めたものの、中国船からは応答がなかったという。外務省は事前の同意がなかったとして、中国側に対し即時中止を求めて抗議している。
最近の動きを総括すると5月23日にバイデン大統領が来日し、日米首脳会談、24日にはインドのモディ首相、豪州のアルバニージー首相を呼んでクアッドが行われた。この同じタイミングで中ロの爆撃機が日本海・東シナ海上空を共同飛行し、25日には北朝鮮が3発の弾道ミサイルを発射した。
26日には中国・王毅外相がIPEFやクアッドに対抗するかのように南太平洋島嶼国を歴訪し、26日には国連安保理で中国・ロシアが北朝鮮制裁決議案を拒否するなど中国・ロシア・北朝鮮は完全に連動した動きを見せている。
ロシアも活発な外交を見せており、3日にはアフリカ連合(AU)議長国セネガルのサル大統領がプーチンにアフリカの食料危機を訴えた。8日にはプーチンがトルコ・イスタンブールに赴きエルドアンとの会談を行うという情報もある。
特に警戒すべきは6月12日のロシア建国記念日であり、この日にプーチンが何らかの宣言を行うとも言われている。今、中国・ロシア・北朝鮮の連動した動きに警戒していく必要がありそうである。
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驚き・想定より6年早く少子化が進行(6月4日)
【想定より6年早く少子化が進行】
驚くべき数字が上がってきた。コロナ禍における出産控えの影響もあり、出生数は国の推計より6年も早く81万人に突入し、想定より早く少子化が進行している。今、日本にとっての一番の脅威は少子化になってきた。
このままで行くと、2049年より前に日本の人口は1億人を切る可能性が高まっている。さらに1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は2021年は1.30で、6年連続で低下した。...
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【想定より6年早く少子化が進行】
驚くべき数字が上がってきた。コロナ禍における出産控えの影響もあり、出生数は国の推計より6年も早く81万人に突入し、想定より早く少子化が進行している。今、日本にとっての一番の脅威は少子化になってきた。
このままで行くと、2049年より前に日本の人口は1億人を切る可能性が高まっている。さらに1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は2021年は1.30で、6年連続で低下した。背景には子どもを持ちたいとの意欲が減退しているとの指摘があり、子育てや教育にお金がかかりすぎることが問題視されている。
【少子化の影響】
人口が減れば確実にGDP国内総生産が減り、経済力が落ちる。物流や公共交通機関における人材不足で、物流が滞り、コストも上がる。災害等の予期せぬ事態に対応可能な自治体職員もいなくなり、災害列島日本はその災害に対応できる力も劣化していくなど社会基盤も揺らぐ。
生活必需サービスを提供する看護師・介護士・保育士・ごみ収集員などエッセンシャルワーカーが激減し、有料サービスがクリーンで手厚いサービスを受けられる一方、無償の公共サービスは削減され、質が劣化する可能性もある。
【解決策は?】
解決策は生産性を上げ、ハイテク化・機械化を進め技術革新イノベーションを進めること。外国人労働力を導入すること。女性・高齢者の賃金水準を上げ労働力として採用すること。
男女の差別をなくし、子育てや教育にかかる費用を軽減させ育児分担を軽減する公共サービスを充実させる。
外国人労働力導入はなかなか日本社会にとって難しい課題ではあるが、推し進めていく以外ない。
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世界は不安定な時代に(2月14日)
コロナ禍から経済活動の復活を見越した原油先物市場での動きや、脱炭素化の動き、さらにロシアによるウクライナ侵攻などの予測を受け、原油が大きく値上がりしている。
原油から作られる様々な石油製品も連動して値上がりしている。日本のガソリン価格は13年4ヶ月ぶりに170円を突破し、トリガー条項を発動するかどうかというところまで話が及んでいる。
暖房やプラスチック製品など、身の回りの多くのインフラに石油が使われているために庶民生活への大きな影響が出ている。...
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コロナ禍から経済活動の復活を見越した原油先物市場での動きや、脱炭素化の動き、さらにロシアによるウクライナ侵攻などの予測を受け、原油が大きく値上がりしている。
原油から作られる様々な石油製品も連動して値上がりしている。日本のガソリン価格は13年4ヶ月ぶりに170円を突破し、トリガー条項を発動するかどうかというところまで話が及んでいる。
暖房やプラスチック製品など、身の回りの多くのインフラに石油が使われているために庶民生活への大きな影響が出ている。世界各国の消費者物価指数も軒並み上昇し、人々の生活は苦しくなる一方である。市場では現在の原油価格の高止まり傾向は当分続くという悲観的な見立てさえ出されている。
こうした流れを食い止めようと、動き出したのが米国である。FOMCのメンバーでもあるセントルイス連銀・ブラード総裁は「7月までに1%の利上げを行う」と発言した。ところがこの発言がFRBによる過度な引き締めが行われるとの憶測を生み、記録的なインフレ懸念をもたらしてしまった。ウクライナ情勢の悲観的見立てとも絡み合って、株価は大幅に下落し逆の結果を招いている。
これにともない金利の上昇が世界的な広がりを見せ、経済基盤の弱い南欧や新興国を直撃し始めている。まさに世界は動乱の時代を迎えている。
一方で、資源高の恩恵を享受している一部の企業や中東やロシアのような国も存在している。ウクライナ危機のキープレーヤーであるロシアは、資源高の恩恵を受け、金を買いあさっており、足元の外貨準備は金と合わせると史上最高の6300億ドルになっているという。
民主国家より専制国家が生きやすい時代に入っているのかもしれない。世界のどこかでウクライナ侵攻のような事態がまた起きるかもしれない。
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老朽化した社会インフラ(1月21日)
近年、老朽化した社会インフラの問題が先進国の間で喫緊の課題となっている。
2007年、米国・ミシシッピ川にかかっている橋が突如崩壊し、多くの死傷者を出した。全米の25%の橋が老朽化し欠陥を抱えている他、トンネルの12%は建設されてから100年経過したものだという。こうした中で、バイデン大統領は1兆ドル(115兆円)規模の超党派インフラ法案に署名し、老朽化インフラ復興プロジェクトを稼働させた。...
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近年、老朽化した社会インフラの問題が先進国の間で喫緊の課題となっている。
2007年、米国・ミシシッピ川にかかっている橋が突如崩壊し、多くの死傷者を出した。全米の25%の橋が老朽化し欠陥を抱えている他、トンネルの12%は建設されてから100年経過したものだという。こうした中で、バイデン大統領は1兆ドル(115兆円)規模の超党派インフラ法案に署名し、老朽化インフラ復興プロジェクトを稼働させた。
欧州でも状況は変わらない。ドイツの高速道路は建設から50年が経過している。英国・ロンドンの水道の50%は築後100年となるという。
日本もまた状況は同じである。中央自動車道の笹子トンネルで天井板が崩落し、9人が犠牲になった事故も設備の老朽化が原因であった。
日本のインフラは50年代から70年代初頭にかけての高度経済成長期に整備された施設が多く、特に地震や自然災害も多い日本の老朽化設備の刷新は待ったなしの状況である。
そういう意味では東京オリンピック特需、東日本大震災復興関連事業などの追い風が少なくなってしまった日本のゼネコンにとっては新たな風が吹いてきている状況かもしれない。
起爆剤として期待をかけていた統合リゾート計画も白紙撤回された今、老朽化したインフラの整備、災害に強い国土強靭化計画にゼネコンは活路を見出している。
ただの大規模インフラ整備で終わってはならない。ドローンやAIなど新しい技術と組み合わせ、結びつけることで日本の成長産業にしていく必要もある。
例えば下水道管の中を飛行しAIを駆使し、ひび割れ箇所を見つける小型ドローン開発を手掛けるスタートアップなども出てきている。
マイナスをプラスに転じる知恵が日本に求められている。
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