中小企業の再編が加速する?(10月31日)
26日に行われた「財務省財政制度等審議会」の有識者の提言で中小企業へ融資について、「資金繰り支援には意義が認められるが、支援の長期化は中小企業の新陳代謝を著しく阻害するおそれがあるため、前向きな取り組みへの支援に移行すべき」との方向性が発表された。
菅首相は「日本の中小企業の数が多すぎる」として、中小企業基本法の見直しに言及するなど、中小企業の定義を変え、生産性が低く、低賃金が常態化している企業の数を減らす方向性を打ち出している。...
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26日に行われた「財務省財政制度等審議会」の有識者の提言で中小企業へ融資について、「資金繰り支援には意義が認められるが、支援の長期化は中小企業の新陳代謝を著しく阻害するおそれがあるため、前向きな取り組みへの支援に移行すべき」との方向性が発表された。
菅首相は「日本の中小企業の数が多すぎる」として、中小企業基本法の見直しに言及するなど、中小企業の定義を変え、生産性が低く、低賃金が常態化している企業の数を減らす方向性を打ち出している。
日本の中小企業といえば日本にある企業全体の99.7%を占め、全労働者の7割が働いており、これまでの政府は補助金と優遇策で中小企業を守ってきた。菅政権の方針はこのやり方を180度転換させるものであり、今回の審議会での発表はこうした菅政権の動きに呼応するものと言える。
この動きに連動するかのように最近、企業の合併・買収・事業再編の動きが活発化している。M&A調査会社のレコフデータによると「コロナの影響で今後、中小企業の事業売却や再編のニーズが高まることが予想される」という。
企業再編は成長力や収益性、生産性を高める有効な手段だが、拙速な再編はマイナス面として日本文化が失われたり、成長の芽を摘んでしまうことも考えられる為、慎重に行うべきとの声も出ている。
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日英EPAの背景(10月24日)
茂木外相と英国・トラス国際貿易相が日英EPAに署名した。来年1月1日の発効を目指すことになった。
英国はTPP参加にも興味を示しており、英国サイドは「貿易と供給網のパートナーを多様化し、英国経済を強固にできる」とTPP加盟のメリットを強調したが、日本側にとってもGDP世界第5位の英国が参加して再び12ヶ国体制となるメリットは大きいとみられる。
日英EPAに話を戻すと、日英EPAが発効すると日英間貿易で関税率が大幅に上がることはなくなる見通しであるが、日本にとってのもうひとつの大きな問題点が実は英国とEUのFTA交渉の行方に潜んでいる。...
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茂木外相と英国・トラス国際貿易相が日英EPAに署名した。来年1月1日の発効を目指すことになった。
英国はTPP参加にも興味を示しており、英国サイドは「貿易と供給網のパートナーを多様化し、英国経済を強固にできる」とTPP加盟のメリットを強調したが、日本側にとってもGDP世界第5位の英国が参加して再び12ヶ国体制となるメリットは大きいとみられる。
日英EPAに話を戻すと、日英EPAが発効すると日英間貿易で関税率が大幅に上がることはなくなる見通しであるが、日本にとってのもうひとつの大きな問題点が実は英国とEUのFTA交渉の行方に潜んでいる。
英国で活動しているトヨタ自動車や日産自動車など日系大手企業の多くは部品をヨーロッパから英国に調達し、完成品はEUに輸出するというサプライチェーンを構築している。
年内に英EU間でFTA協定が結ばれないと、英国のEU離脱の余波を日本企業はまともに浴びることになる。具体的にいうと、乗用車の輸出時に10%、輸入時にも部品に応じて関税がかかるようになり、生産コストが大幅に跳ね上がってしまうのである。
このため、自動車大手は英国政府がEUとのFTAを結べなかった場合に備え、発生した関税コストの補償を求めている。ただし、仮に英国がEUとFTAが結べた場合でも問題はまだある。
「原産地規則」という法律がネックとなり、優遇関税の対象となる原材料に日本製を含めることができない可能性があるというのである。
英EU・FTA交渉の行方が日本のサプライチェーンと立地戦略に大きな影を落としていることは間違いない。
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日本の株価を底上げするGPIFと日銀(10月24日)
日本の株式市場は官製相場の度合いが徐々に高まってきている。より具体的に言えば、巨大な資金を持つGPIF(独立行政法人年金積立金管理運用機構)と日本銀行が大株主になることによって、日本企業の株価を押し上げ、投資家らに恩恵をもたらしてきた。
GPIFと日銀は東証一部上場企業の8割にあたる約183社の大株主になっている。例えば、22.1%のファーストリテイリング、15.3%のソフトバンクグループ、14.1%の三菱UFJフィナンシャルグループ、13.5%のANAホールディングス、10.4%のトヨタ自動車、8.6%の日産自動車などである。...
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日本の株式市場は官製相場の度合いが徐々に高まってきている。より具体的に言えば、巨大な資金を持つGPIF(独立行政法人年金積立金管理運用機構)と日本銀行が大株主になることによって、日本企業の株価を押し上げ、投資家らに恩恵をもたらしてきた。
GPIFと日銀は東証一部上場企業の8割にあたる約183社の大株主になっている。例えば、22.1%のファーストリテイリング、15.3%のソフトバンクグループ、14.1%の三菱UFJフィナンシャルグループ、13.5%のANAホールディングス、10.4%のトヨタ自動車、8.6%の日産自動車などである。
株価全体を底上げするメリットがある一方で、逆にそのことによって企業株価がわかりにくくなっているというデメリットも出てきている。
今後、最も懸念されるのは、一例でいえば、政府がこれまでの金融政策を転換することにより株価の大幅な下落や年金の毀損などにもつながることである。
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今後日本はどう成長してゆくのか(9月23日)
コロナ禍にあって世界各国で債務が増加している。日本も例外ではない。2019年末に1328兆円あった借金にさらにコロナの債務がこれから積み増しされてくる。
世界各国が今、どうやって債務を減らすかについて模索している。債務を減らすためには3つの方法1.増税、2.緊縮財政、3.成長戦略などの方法がある。感染が拡大し続け、収束する兆しが見えない中では、1と2の方法は難しい。
各国は3の成長戦略を主眼にグランドコンセプトづくりを急いでいる。...
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コロナ禍にあって世界各国で債務が増加している。日本も例外ではない。2019年末に1328兆円あった借金にさらにコロナの債務がこれから積み増しされてくる。
世界各国が今、どうやって債務を減らすかについて模索している。債務を減らすためには3つの方法1.増税、2.緊縮財政、3.成長戦略などの方法がある。感染が拡大し続け、収束する兆しが見えない中では、1と2の方法は難しい。
各国は3の成長戦略を主眼にグランドコンセプトづくりを急いでいる。フランスは環境分野に的を絞り一点突破しようと目論んでいる。ドイツはデジタル分野における成長戦略を考えている。
日本の菅政権はドイツに近い成長戦略を模索しているように見える。例えば香港がアジアの金融センターとしての地位を失う中で、日本はアジアの金融センターの座をシンガポールと競い合っている。
日本がデジタルを成長戦略の柱に据えるならば、デジタル金融であるフィンテクも視界に入れておく必要がある。
更に考えるならば、日本の成長戦略の本命は科学や医療分野だろう。ノーベル賞受賞者を多く輩出している日本が科学や医療分野で本気を出せばこの分野が成長分野になる可能性が十分にある。
今後、日本に必要とされるのは超高度な科学的人材を育成していくことである。そのためには研究論文数を増やしていくことにもっと力を入れていくべきである。
2020年に自然科学の論文数で中国が米国を抜いて初めて世界1位になったが、注目度の高い論文数で日本は9位と、10年前より順位を落としてしまっている。言うまでもなく科学技術は軍事や産業の基盤であり、国の体幹力となっていくものであり、ここを補強するべきではないだろうか。
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菅政権には守りだけではなく経済成長も期待したい(9月21日)
少子高齢化や経済成長率の低迷が続く中、菅新政権が発足し、「規制改革」や「省庁の縦割り打破」、「デジタル改革」を前面に打ち出し、目玉政策の実現に向けて矢継ぎ早に新閣僚に指示を出している。こうした姿勢が好感され、世論調査では小泉政権、鳩山政権に次ぐ歴代3位の高い支持率を叩き出している。
菅新政権が打ち出している政策は、例えば世界的に見て割高な日本の携帯電話料金を下げたり、省庁の壁を取り払い、本来進めるべき政策が前進できるようにし、コロナ禍で明らかになった日本のデジタル化の遅れを取り戻すということであり、日本にとっては避けては通れない道であり、国民の生活にも直結するものばかりである。...
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少子高齢化や経済成長率の低迷が続く中、菅新政権が発足し、「規制改革」や「省庁の縦割り打破」、「デジタル改革」を前面に打ち出し、目玉政策の実現に向けて矢継ぎ早に新閣僚に指示を出している。こうした姿勢が好感され、世論調査では小泉政権、鳩山政権に次ぐ歴代3位の高い支持率を叩き出している。
菅新政権が打ち出している政策は、例えば世界的に見て割高な日本の携帯電話料金を下げたり、省庁の壁を取り払い、本来進めるべき政策が前進できるようにし、コロナ禍で明らかになった日本のデジタル化の遅れを取り戻すということであり、日本にとっては避けては通れない道であり、国民の生活にも直結するものばかりである。
しかし、これだけでは弱点の補強に過ぎない。菅政権は安倍政権を継承していくとしているが、アベノミクスの3本の矢の内、成長戦略は未だに定まっていない。日本にとって本当に必要なのはこれから先、どう経済成長していくか具体的なビジョンを打ち立てることである。
日本にはまだまだ高度な人材が沢山いることを踏まえれば、日本が目指すべき道は「超高度科学技術人材の活用」ということになるのではないか。
例えば歴代ノーベル賞受賞者に新たなプロジェクトを立ち上げてもらうとか、iPS細胞などの高度医療技術への活用を促進し、、蓄電池の高度化や水素電池の実用化、衛生システムの高度化、6G、電磁波技術や衛星技術、更にはサイバー攻撃に強いシステムの構築などが考えられる。
こうしたアクションを起点として経済成長や市場開発、そして新しいモノやコトを創り出していくクリエーション能力をどのように作り出していけるかが鍵となると思われる。
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