日本に追い風が吹いている(4月19日)
米中対立が激化する中で、今、日本に追い風が吹いてきている。米国・バイデン大統領は環境分野では中国との連携を探っているが、経済・安全保障・テクノロジー分野では価値観や理念を同じくする国や地域と連携していくという方向に舵を切った。
具体的には世界の今後を左右する戦略物資・半導体などの重要分野でサプライチェーンに関する協力を拡大していくこと、安全で信頼できる5Gネットワークの構築を信頼のおける国や地域と推進していくということが米国・バイデン政権の戦略である。...
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米中対立が激化する中で、今、日本に追い風が吹いてきている。米国・バイデン大統領は環境分野では中国との連携を探っているが、経済・安全保障・テクノロジー分野では価値観や理念を同じくする国や地域と連携していくという方向に舵を切った。
具体的には世界の今後を左右する戦略物資・半導体などの重要分野でサプライチェーンに関する協力を拡大していくこと、安全で信頼できる5Gネットワークの構築を信頼のおける国や地域と推進していくということが米国・バイデン政権の戦略である。
この中で、もっと最も期待されている国が同盟国・日本であり、半導体分野で米国は日本と組んで中国に対抗できる強力なサプライチェーンを構築していきたいと考えている。
そのための布石第一弾として半導体製造大手・TSMCを中国から引きはがし、米国はアリアゾナ州、日本はつくば市にそれぞれ同社を誘致した。
米国はTSMCを招致するだけでなく、インテルを半導体製造企業として強化していくつもりである。設計ではアームを傘下に収めた米国・エヌビディアに大きな存在感があるし、部材では日本の東京応化工業、JSRなどが期待できる。
設備では米国・アプライド、東京エレクトロンなどがそれぞれ強みを発揮できる。他にも日本には基盤系半導体会社のルネサスエレクトロニクスや、メモリー系半導体会社・キオクシャのような有力企業が存在しており、日米はこれら企業を連携させつつ中国と対抗していきたい考えである。
日本政府もこうした動きに呼応するように、経済産業省が中心となり「半導体・デジタル産業戦略検討会議」を立ち上げた。
日本におけるネックは土地代が高いことと、人件費が高い点であるが、こうした障害をうまく乗り越えていけば、日本の成長産業につなげていくことも夢ではない。日本は1980年代に見られた活力をよみがえらせ、このチャンスを生かしてゆくべき時が来たともいえる。
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ゲノム解析の必要性が高まっている(3月6日)
変異株は子どもに対する感染の割合が高いのではないかと言われており、学校での変異種の大流行が懸念されている。
変異株が日本でどういう広がりを持っているのかを調べ、追跡するためのゲノム解析の必要性がこれまで以上に高まっている。
神戸市は、独自にゲノム解析を実施し、新規陽性者の約60%を調査した結果、半数以上が変異ウイルスだったことを突き止めた。
ただ、神戸市のケースは例外であり、日本においてコロナでゲノム解析を行ってきたのは国立感染症研究所だけというのがほぼ実情である(※地方衛生研究所でもゲノム解析は行ってはいるが感染研ほど精密なものではない)。...
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変異株は子どもに対する感染の割合が高いのではないかと言われており、学校での変異種の大流行が懸念されている。
変異株が日本でどういう広がりを持っているのかを調べ、追跡するためのゲノム解析の必要性がこれまで以上に高まっている。
神戸市は、独自にゲノム解析を実施し、新規陽性者の約60%を調査した結果、半数以上が変異ウイルスだったことを突き止めた。
ただ、神戸市のケースは例外であり、日本においてコロナでゲノム解析を行ってきたのは国立感染症研究所だけというのがほぼ実情である(※地方衛生研究所でもゲノム解析は行ってはいるが感染研ほど精密なものではない)。
日本はコロナ陽性患者のうちの1割しかゲノム解析ができていないということからもわかる通り、諸外国と比べ、日本のゲノム解析がなぜか遅れている。
ゲノム解析機器を多くの大学・大学病院でも所有されているので、本来ならばできないはずはないのだが、こういう施設が今回のコロナ禍で積極的に活用されていない。
これは日本のシステムが平時対応で作られており、緊急時対応にできていないということに起因している。
加えて、省庁の縦割りも大きな障害のひとつであり、今後は省庁の壁を取り払い、民間の力も援用し人員を増やすなどして、総力を挙げてオールジャパンでゲノム解析をやっていく必要がある。
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注射器問題で露わになった厚生労働省問題(2月13日)
日本政府は米国製薬会社ファイザーと7200万人分の契約をかわしたが、早くも問題が生じてきている。7200万人分を日本と契約したファイザーだが、この前提としていたのは1本で6人分とれる特殊な注射器であった。一方、日本側は一本で5人分とれる通常の注射器を想定していた。
そもそも最初からボタンの掛け違いが存在していたことになる。厚労省は6人分とれる特殊な注射器は現時点では入手不可能としており、今後1200万人分のワクチンが無駄になる可能性が高い。...
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日本政府は米国製薬会社ファイザーと7200万人分の契約をかわしたが、早くも問題が生じてきている。7200万人分を日本と契約したファイザーだが、この前提としていたのは1本で6人分とれる特殊な注射器であった。一方、日本側は一本で5人分とれる通常の注射器を想定していた。
そもそも最初からボタンの掛け違いが存在していたことになる。厚労省は6人分とれる特殊な注射器は現時点では入手不可能としており、今後1200万人分のワクチンが無駄になる可能性が高い。契約慣れしていない日本が損をした形である。
厚労省は「6人分とれる注射器というのは日本では普段使わない」と主張し、自己弁護している。そもそも契約の段階で前提となる注射器を確認しておくのが筋である。加えて、この注射器の問題について途中で誰も気が付かなかったということも信じがたいことである。このような組織が国民の税金を使い、他国や団体と契約を交わすことについては懸念する声もあがっている。
政治ジャーナリスト・田崎史郎は今回の事態は、厚労省の医薬局という部署のずさんな仕事が招いたとしている。
田崎は医薬局は他にも名称が類似した薬剤の取り違えや、PTP包装シートの誤飲問題など数多くのミスを犯しているとしているが、今回の注射器問題は特大級のミスであろう。田崎は厚労省の立て直しをやらない限り、誰が総理になろうとも、どこの政党が政権をとろうとも失敗するだろうとしている。
厚労省がミスを犯しがちである背景には他省庁に比べ、全体的に業務量が多いことがある。厚労省内部で行ったアンケートで65%が業務量について多いと感じているという結果が出たことがこれを象徴している。
以前と比べ官公庁を指向するエリートが減っていることも理由の1つとしてあげられる。厚生労働省分割案や厚生労働省に複数の大臣を置く案など、本格的に厚労省を改革すべき局面に来ているのかもしれない。
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日本の「ワクチン開発」事情と対策(2月11日)
先進国であると自負してきた日本でなぜ「ワクチン開発」が遅れているのだろうか。
2月10放送のBSフジの番組「プライムニュース」でその一端がはっきり見えた。
出演者は、KMバイオロジクス社の永里社長、大阪大学森下教授、武見敬三自民党新型コロナ対策本部本部長代理の三氏であった。
結論的に言えば、3つ問題点が浮き上がってきた。
第一に厚労省を始めとする国の機関に今回のような「パンデミック」時の対策が出来てなかったということである。...
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先進国であると自負してきた日本でなぜ「ワクチン開発」が遅れているのだろうか。
2月10放送のBSフジの番組「プライムニュース」でその一端がはっきり見えた。
出演者は、KMバイオロジクス社の永里社長、大阪大学森下教授、武見敬三自民党新型コロナ対策本部本部長代理の三氏であった。
結論的に言えば、3つ問題点が浮き上がってきた。
第一に厚労省を始めとする国の機関に今回のような「パンデミック」時の対策が出来てなかったということである。
第二の問題はワクチンの治験に対するルールであり、特に第三ステージの治験の対象人数とそれにかかる膨大なコストの問題がある。
第三に巨大なコストがかかる開発費と製造工場の整備コスト等を、国や製薬会社、それに資本市場やベンチャーキャピタルが充分に先行投資ができていないという点がある。
どうやら、今回のワクチンの開発に挑戦をしている日本勢のKMバイオロジクス社や大阪大学臨床遺伝治療学のチームは、従来型「不活化ワクチン等」や最先端の「DNAやmRNA型ワクチン」の開発に目途をつけている様子である。
今回の様に世界を巻き込む「パンデミック」に対する認識とその非常事態に対応するべき特別な対策を日本全体で早急に議論し、「その考え方」「対処方法」「リスク」について明確に結論を出さなければならない状況にあると言える。
しかもこのパンデミックは、1年や2年では収束しない恐れもあり、走りながら考え、結論を出し、実行することが求められている。
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コロナ禍によって炙り出された日本の課題(1月16日)
新型コロナウイルスによって日本の弱点が浮き彫りとなった。特にはっきりしたのが日本という国が平時のオペレーションを想定し、緊急時のエマージェンシー体制が弱いため、パンデミックなどの非常時に対しスピーディかつ効果的な対策がなかなか打てなくなっているということである。
例えば、新型コロナウイルスに際し日本政府の打ち出す措置は、ことごとく「あまりに小さく、あまりにも遅いため、有権者の支持を失っている」と外国メディアからも批判されてきたが、ここに至ってもこの域を出ているようには見えない。...
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新型コロナウイルスによって日本の弱点が浮き彫りとなった。特にはっきりしたのが日本という国が平時のオペレーションを想定し、緊急時のエマージェンシー体制が弱いため、パンデミックなどの非常時に対しスピーディかつ効果的な対策がなかなか打てなくなっているということである。
例えば、新型コロナウイルスに際し日本政府の打ち出す措置は、ことごとく「あまりに小さく、あまりにも遅いため、有権者の支持を失っている」と外国メディアからも批判されてきたが、ここに至ってもこの域を出ているようには見えない。
今後、パンデミックだけではなく気候変動による環境の激変、大地震などによる数多くの緊急事態が想定される中、日本にとって必要なのは緊急事態における国家運営を平時のオペレーションからエマージェンシー体制に素早くスイッチできる体制を構築しておくことではだないだろうか。
その為には、日頃からどんな緊急事態が起こり得て、その時にそれに対しての対応を大枠で決めて置かなければならないのではないだろうか。
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