北朝鮮漁船をロシアが拿捕(9月18日)
ロシア連邦保安局によると、17日(現地時間)、2隻の北朝鮮の漁船および北朝鮮の80名余の乗組員がロシアの海域で違法操業していたとして拿捕された。報道によれば、拘束の際に、ロシアの警備隊員3名が襲撃されて負傷した。
事件は日本海のロシアの排他的経済水域で発生した。当時ロシアの警備隊が北朝鮮の2隻の漁船と11艘のモーターボートがロシアの海域で違法操業していたことを発見し、そのうちの1隻に警備隊員が臨検しようとしたところ、乗組員が攻撃を行ったもの。...
全部読む
ロシア連邦保安局によると、17日(現地時間)、2隻の北朝鮮の漁船および北朝鮮の80名余の乗組員がロシアの海域で違法操業していたとして拿捕された。報道によれば、拘束の際に、ロシアの警備隊員3名が襲撃されて負傷した。
事件は日本海のロシアの排他的経済水域で発生した。当時ロシアの警備隊が北朝鮮の2隻の漁船と11艘のモーターボートがロシアの海域で違法操業していたことを発見し、そのうちの1隻に警備隊員が臨検しようとしたところ、乗組員が攻撃を行ったもの。
現在80名余の乗組員はと2隻の漁船はナホトカ港に拘留されている。事件発生後、ロシア外務省は在ロシア北朝鮮臨時大使をよび、北朝鮮側の事情を聴くとともに、深刻な懸念を伝え、類似事件の再発の予防を要求した。
北朝鮮漁船の違法操業は日本の排他的経済水域である大和堆でも近年急増している。北朝鮮沿海地域の漁業権を中国に販売しているため、北朝鮮漁民が遠洋での漁獲を行わざるを得ないことや、北朝鮮経済の市場化によって漁獲高を増やし、現金収入を増やしたいという北朝鮮漁民の思惑とも関係しているようである。
閉じる
第4次米朝首脳会談開催か(9月17日)
第4次米朝首脳会談が開催される見通しが大きくなっている。16日付の韓国の「中央日報」が伝えたもので、金正恩委員長は最近の親書のなかで、トランプ大統領を平壌に招待すると書いていたという。トランプ大統領がタカ派のボルトン大統領補佐官を解任したことも、北朝鮮の積極的姿勢を引き出したのではないかと、韓国の消息筋は見ている。
金正恩委員長は8月の第3週にトランプ大統領に親書を書き、米朝首脳会談を提案し、トランプ大統領を平壌に招待した。...
全部読む
第4次米朝首脳会談が開催される見通しが大きくなっている。16日付の韓国の「中央日報」が伝えたもので、金正恩委員長は最近の親書のなかで、トランプ大統領を平壌に招待すると書いていたという。トランプ大統領がタカ派のボルトン大統領補佐官を解任したことも、北朝鮮の積極的姿勢を引き出したのではないかと、韓国の消息筋は見ている。
金正恩委員長は8月の第3週にトランプ大統領に親書を書き、米朝首脳会談を提案し、トランプ大統領を平壌に招待した。この親書は8月9日にトランプ大統領が金正恩委員長の親書として公開したものとは異なるもので、招請状が含まれているという。韓国の康京和外相もその事実を認めた。康京和外相は第二次米朝首脳会談で成果がでなかったのは、実務者協議がうまくいかなかったからであり、首脳会談の成功のためには、実務者協議で予め討論が行われ成果を出すことが重要だと話した。
金正恩委員長が1ヶ月間の間に2回も親書を書くのは異例のことであるが、報道によれば、トランプ大統領自身も米韓合同軍事演習に不満をもらしていたこともあり、金正恩委員長は改めて米朝首脳会談に対し積極的なシグナルとして、親書を送り、トランプ大統領の決断を促したもの。
北朝鮮の崔善姫第一外務次官は9月9日に、9月下旬には米国と実務者協議を行いたいと表明し、12日にトランプ大統領は米朝首脳会談に前向きであるとのシグナルを出した。シグナルにはボルトン大統領補佐官の解任も含まれる。ボルトン大統領補佐官は北朝鮮問題で「リビア・モデル」を持ち出したことで北朝鮮問題に深刻な影響を与えたとしている。ボルトン大統領補佐官は、昨年5月に「先非核、後補償」のリビア・モデルを持ち出して、北朝鮮の強烈な反感をかっていた。
トランプ大統領は来年の選挙戦に向けて、外交成果をあげなければならないが、北朝鮮問題はイランやアフガニスタン問題に比べれば、まだ制御しやすい外交問題になっている。米朝首脳会談が成功するか否かの駆け引きを現在米朝双方が行っているところである。先週崔善姫第一外務次官は、「米国は双方に利益がある案を提出しなければ、朝鮮は受入れることはできないと」と述べていた。北朝鮮の提案に対する回答を米国はまだだしていないが、一方で米国財務省は13日、北朝鮮の3つのハッカー集団がサイバー攻撃をしたとして、制裁対象としたことを発表した。このことは米国が対話姿勢をとると同時に対朝圧力をかける姿勢に変化がないことを表している。
一方16日の「朝鮮中央通信」は北朝鮮の外務省の米国担当局長の談話を発表しているが、そのなかで「我々の体制安全を不安にし、発展を妨げる脅威と障害物がきれいに、疑う余地もなく除去されてこそ、非核化の論議もできるだろう」と述べ、近いうちに開催される実務者協議が朝米間の良い対面になることを期待すると述べている。さらに米国の対案次第では、朝米がより近しくなることもあれば、その反対に、相互の敵意だけが培われることになるかもしれに、と述べている。
米国が、北朝鮮の体制の保証をしてこそ、北朝鮮は非核化に応じることができるということを強調し、米国の出方を様子見している状況である。金正恩委員長にとっては何よりも体制の保証が重要であることが如実に現れている。
閉じる
状況は北朝鮮有利に展開か(9月14日)
(状況は北朝鮮に有利な方向に進んでいる)
韓国がGSOMIAを破棄、トランプ大統領がボルトン大統領補佐官の解任を発表した。
米国・財務省が北朝鮮のハツカー集団を制裁指定などの動きはあるものの、北朝鮮にとっての障害物が次から次へと取り除かれており金正恩委員長にとって望ましい状況が着実にできつつある。こうした中、北朝鮮がまたもや日本海に向けて飛翔体2発を発射した。北朝鮮に対しては国連からも国際社会からも大きなクレームもなく、やりたい放題である。...
全部読む
(状況は北朝鮮に有利な方向に進んでいる)
韓国がGSOMIAを破棄、トランプ大統領がボルトン大統領補佐官の解任を発表した。
米国・財務省が北朝鮮のハツカー集団を制裁指定などの動きはあるものの、北朝鮮にとっての障害物が次から次へと取り除かれており金正恩委員長にとって望ましい状況が着実にできつつある。こうした中、北朝鮮がまたもや日本海に向けて飛翔体2発を発射した。北朝鮮に対しては国連からも国際社会からも大きなクレームもなく、やりたい放題である。さらに憂慮すべきは武装した北朝鮮籍とみられる船が大和堆周辺で日本の海上保安庁の巡視船に急接近し小銃で威嚇するという事案まで発生していたことが判明した。このまま日本に対する威嚇を北朝鮮がエスカレートさせてくる可能性もある。こうした状況の中、トランプ大統領は年内にも4度目となる米朝首脳会談を行う可能性に言及した。大統領の頭の中は2020年大統領選挙のことしかなく北朝鮮カードを使って外交成果を上げたいと考えている。日本は「拉致、核、ミサイルの包括的な解決がなければ、北朝鮮に対する支援はしない」という従来の方針を変えておらず、トランプ大統領が次に米朝首脳会談を開催した場合にはこの方針からかけ離れた内容になる可能性も孕んでいる。
(今後の予想シナリオ)
北朝鮮はトランプ体制が続くかどうか、米国の選挙動静を逐一観察している。トランプ大統領再選を側面支援するために率先してこれ以上の核実験、大陸間弾道ミサイル・中距離ミサイルの実験をやらないという合意をトランプ大統領と結ぶ可能性もある。とは言ってもトランプ大統領の任期が終了すればまたいつでも始めるようば状態は維持しており、北朝鮮としてはそれまで中止するだけの話である。当然、民主党候補が優勢になれば北朝鮮は軍事的強硬路線を再び前面に打ち出し、核実験・ミサイル実験を連発してくる可能性がある。北朝鮮はイスラエルやインド、パキスタンが核を持っているように自分達が核を持つのは当然の権利であると考えているし、何よりも北朝鮮の根底にあるのは1950年に当時の米国・トルーマン大統領が北朝鮮に対し「核兵器の使用を排除しない」と恫喝された時のトラウマが大きく横たわっている。「核を持たない国は持つ国から未来永劫、恫喝を受け続けることになる。是が非でも自前の核を持たなければならない」という強い思いこそが北朝鮮の核保有の動機であり、北朝鮮が核を放棄することがあり得ないとされる根拠となっている。こうした北朝鮮と北朝鮮に融和的な韓国の存在を踏まえた上で中国やロシアの存在を踏まえ日本の安全保障環境はより一層厳しさを増している。
閉じる
脱北者:18年は1137人、19年上半期は546人(9月14日)
韓国の統一部によると、2018年に韓国に入境した北朝鮮からのいわゆる脱北者は1137人で、19年上半期は546人であった。金正恩政権発足直後の2012年には1502人、13年は1514人であったことからすると、増減はあるものの傾向的には減少傾向にある。2019年も下半期も上半期と同じペースであるとすると、18年よりは脱北者の人数が減少する可能性もある。なおピークは2009年で2914人であった。...
全部読む
韓国の統一部によると、2018年に韓国に入境した北朝鮮からのいわゆる脱北者は1137人で、19年上半期は546人であった。金正恩政権発足直後の2012年には1502人、13年は1514人であったことからすると、増減はあるものの傾向的には減少傾向にある。2019年も下半期も上半期と同じペースであるとすると、18年よりは脱北者の人数が減少する可能性もある。なおピークは2009年で2914人であった。
男女別では01年までは男性の割合が多かったが、02年からは女性の割合が多くなり、18年には85%が、19年上半期では83%が女性であった。年齢別では2018年までの累計では20代が28.5%、30代が28.8%と20~30代で過半を占めていたが、2018年には20~30代で依然として過半(20代は全体の28.8%、30代は同25.6%)を占めているものの、20代は15年の410人から18年には327人に、30代は319人から292人に減少しているのに対し、50代が94人から119人に増加した。北朝鮮で農業責任制や工業における担当責任制の導入によって、北朝鮮国内で若年の労働力が仕事を得て、収入を得ることができるようになったことの影響があるのかもしれない。
北朝鮮での職業としては無職が45.9%で、次いで労働者が39.1%で、経済的理由による脱北が多いことがうかがわれる。
脱北者の出身地としては中国と国境を接している咸鏡北道59.6%、両江道が20.6%で、この二道の割合が高い。
韓国に来た後はどうなのか。8月には脱北親子の餓死のニュースが伝えられたが、韓国で経済活動に参加している割合は64.8%にとどまっているが、これでも10年の42.6%よりは向上している。失業率は18年に6.9%で、韓国の18年末の失業率3.8%よりも3.1ポイントも高くなっている。脱北はしたものの、差別にあったりや資本主義社会になじめないという状況が北朝鮮に伝わっていることも、脱北者の人数が減少している要因となっているのかもしれない。
閉じる
米朝実務者協議、9月下旬に開催か(9月11日)
9日、北朝鮮の崔善姫第一外務次官は談話を発表し、「9月下旬に合意された場所と時間で、米国側とこれまで協議してきた問題を包括的に討議する用意がある」と語った。
米朝協議での米国側代表であるビーガン北朝鮮担当特別代表が米朝協議の準備ができていると語ったことに呼応したことになる。
崔善姫次官は、金正恩委員長が4月の施政方針演説のなかで、「米国がこれまでの『計算方法』を捨てて、新しい『計算方法』で我々に接近することが必要であり、我々は今年の年末まで忍耐力をもって米国の勇断を待つ」と述べたことを引用し、米国がこの間、新しい「計算方法」を探すための十分な時間を持ったと思う、と述べた。...
全部読む
9日、北朝鮮の崔善姫第一外務次官は談話を発表し、「9月下旬に合意された場所と時間で、米国側とこれまで協議してきた問題を包括的に討議する用意がある」と語った。
米朝協議での米国側代表であるビーガン北朝鮮担当特別代表が米朝協議の準備ができていると語ったことに呼応したことになる。
崔善姫次官は、金正恩委員長が4月の施政方針演説のなかで、「米国がこれまでの『計算方法』を捨てて、新しい『計算方法』で我々に接近することが必要であり、我々は今年の年末まで忍耐力をもって米国の勇断を待つ」と述べたことを引用し、米国がこの間、新しい「計算方法」を探すための十分な時間を持ったと思う、と述べた。
さらに9月下旬頃、合意する時間と場所で米国側と対座して我々が議論してきた問題を包括的に討議する用意がある、とし、「もし米国側がようやく開かれる朝米実務協議で新しい『計算方法』と縁のない古いシナリオを持ち出すなら、朝米間の取引はそれで幕をおろすかもしれない」と述べている。
昨年6月から今年6月までに米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長は、シンガポール、ハノイ、板門店で3回対面している。6月30日に板門店で対面した際に、トランプ大統領は2~3週間以内に実務者協議が再開されるだろうと語っていた、また8月7日にはポンペオ国務長官が数週間内に実務者協議が行われるだろうと語っていたが、ようやく9月下旬に実際に実務者協議が行われる見通しが高くなってきた。
また北朝鮮が言うところの新しい「計算方法」とは、北朝鮮の主張する段階的非核化を米国が認めるようにということであろうが、これまで北朝鮮の非核化が先だと強硬に主張していたボルトン大統領補佐官の解任を10日トランプ大統領がツィートしたことから、実務者協議を開催し、米朝首脳会談に繋がる流れが一挙に進む可能性が高くなった。
閉じる
「北朝鮮を追う」内の検索