林外相「反撃能力」保有など“地域全体の安全保障に貢献”(2月19日)
ドイツで開かれている世界各国の首脳らが安全保障について話し合うミュンヘン安全保障会議について。林外相は、会議のインド太平洋地域に関するセッションに参加した。中国とロシアが軍事協力を強化していることや、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイルの発射に触れ、日本を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑になっていると指摘した。
こうした状況を踏まえて、敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」の保有や、防衛費の大幅な増額を決めたことなどを説明し、安全保障政策の転換はインド太平洋地域全体の安全保障に貢献するものだと確信していると強調した。...
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ドイツで開かれている世界各国の首脳らが安全保障について話し合うミュンヘン安全保障会議について。林外相は、会議のインド太平洋地域に関するセッションに参加した。中国とロシアが軍事協力を強化していることや、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイルの発射に触れ、日本を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑になっていると指摘した。
こうした状況を踏まえて、敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」の保有や、防衛費の大幅な増額を決めたことなどを説明し、安全保障政策の転換はインド太平洋地域全体の安全保障に貢献するものだと確信していると強調した。
また、会議では18日、米国・ハリス副大統領と、中国・王毅政治局委員がそれぞれ演説。ハリス副大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻に関連して中国に言及し、戦争が始まって以降、中国がロシアと関係を深めていることを懸念していると指摘し、「中国が今後、ロシアに軍事的な支援を行うようなことがあれば侵攻を後押しすることになり、ルールに基づく秩序がさらに損なわれるだろう」とけん制した。
これに対し王毅政治局委員は、米軍が米国本土の上空を横断した中国の気球を撃墜したことを非難し、「米国が誠意を示して過ちを正し、今回の事態が両国関係に与えた損害を直視して解決するよう要求する」と述べた。
一方、米国国務省の高官によると、18日夜、ブリンケン国務長官が中国・王毅政治局委員と現地で約1時間にわたって会談。米国側の発表によると、会談でブリンケン長官は、中国の気球が米国本土の上空を飛行したことについて改めて非難した一方、中国との衝突は望んでおらず、新たな冷戦も目指していないと述べ、両国が対話を維持する重要性を強調した。
中国の気球をめぐって米中両国が応酬を続ける中、両国の外交を担当する高官が対面で会談したのは、これが初めて。米国としては、中国側に断固とした姿勢を示す一方、意図しない衝突を避けるためにも外交的な対話を重ねたい考え。
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存在感高める海底ケーブル(2月11日)
軍事的な威嚇を強める中国・ロシア・北朝鮮に囲まれた日本にとって海底ケーブルの重要性が以前にも増して高まっている。実は日本と海外でやり取りされるデータ通信のうち99%は衛星などではなく、海底ケーブル由来のものである。
他国による情報の抜き取りやケーブルの切断などが行われる可能性が高まってきている現在、海底ケーブルは経済安全保障に関わる最も重要なインフラであり、命綱と言える海底ケーブル回りは自前で扱う能力が必要とされている。...
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軍事的な威嚇を強める中国・ロシア・北朝鮮に囲まれた日本にとって海底ケーブルの重要性が以前にも増して高まっている。実は日本と海外でやり取りされるデータ通信のうち99%は衛星などではなく、海底ケーブル由来のものである。
他国による情報の抜き取りやケーブルの切断などが行われる可能性が高まってきている現在、海底ケーブルは経済安全保障に関わる最も重要なインフラであり、命綱と言える海底ケーブル回りは自前で扱う能力が必要とされている。
幸いなことに日本には米国・サブコム、フランス・ASNと並んで海底ケーブル技術のオーソリティ企業が存在している。それはNECの子会社・OCCである。OCCは髪の毛より細く、水深8000メートルに対応できる90キロの長さの海底ケーブルを一気に作ることができる。
海底ケーブルの敷設やメンテナンスには設備を備えた専用船が必要になるが、現在、専用船を保有しているのはNTTとKDDIの関連会社のみであり、OCCは英国・グローバルマリンシステムズからノーマンドクリッパーという専用船をチャーターしているものの、自前の専用船は保有していない。
世界3大海底ケーブル会社であるにも関わらず、なぜ専用船を保有していないのか、不思議であるが、実は日本企業の多くは専用船の維持管理コストを気にし、保有したがらない傾向にある。
例えば、昨年起きたトンガの海底火山噴火で海底ケーブルが破損し通信が途絶えてしまったことからもわかるように、海底ケーブルは自然環境リスク、地政学的リスク、テロ活動など様々なリスクに囲まれており、何が起きても不思議ではない時代である。海底ケーブルの被害は甚大なものになる可能性がある為、企業は専用船を所有することに消極的である。
こうした中、日本政府が日本企業による専用船の保有に対し支援に乗り出すことを決めた。情報保護など経済安全保障の危機感の高まりが政府を動かした形である。関係企業などを対象に調査を実施した上で具体的な支援策を決めていくとしている。
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通常国会「防衛増税」で冒頭から論戦へ(1月18日)
立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党、れいわ新選組など野党の国会対策委員長がきのう会談し「防衛費増額にともなう政府の増税方針は国会の審議を経ずに決定されたもので容認できない」として、十分な議論を求めるとともに安易な増税の反対することで一致した。立憲民主党・安住国対委員長が「野党共通の認識として対決路線を組んでいく」と述べるなど、野党は通常国会で連携して追及する構え。
政府与党は防衛力強化に向け安定的な財源を確保する必要性を丁寧に説明し、国民の理解を得たい考え。...
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立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党、れいわ新選組など野党の国会対策委員長がきのう会談し「防衛費増額にともなう政府の増税方針は国会の審議を経ずに決定されたもので容認できない」として、十分な議論を求めるとともに安易な増税の反対することで一致した。立憲民主党・安住国対委員長が「野党共通の認識として対決路線を組んでいく」と述べるなど、野党は通常国会で連携して追及する構え。
政府与党は防衛力強化に向け安定的な財源を確保する必要性を丁寧に説明し、国民の理解を得たい考え。岸田総理大臣は「政府与党で作り上げた政策を野党とも正面から議論し実行に移していく」と強調した。
ただ、自民党内にも増税方針に反対し税以外の財源確保策をさらに検討すべきとの声もある。通常国会は23日に岸田首相の施政方針演説などが行われた後、25日から各党の代表質問が予定されていて、冒頭から防衛増税をめぐり激しい論戦が交わされる見通し。
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欧米5か国の歴訪・目立つ“安全保障”(1月14日)
岸田総理大臣は、ことし5月の広島サミットを開催するのを前にG7の議長国として、欧米5か国を歴訪したが、各首脳との会談で目立ったのは安全保障について。例えば、英国とは円滑化協定に署名。円滑化協定は自衛隊と相手国の軍隊の行き来がスムーズにできるようにするもの。
英国軍と共同訓練を行う際の手続きも簡素化できる。またフランスとの会談では、外務防衛の閣僚協議、いわゆる2プラス2の開催をことし前半に目指すことを確認。...
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岸田総理大臣は、ことし5月の広島サミットを開催するのを前にG7の議長国として、欧米5か国を歴訪したが、各首脳との会談で目立ったのは安全保障について。例えば、英国とは円滑化協定に署名。円滑化協定は自衛隊と相手国の軍隊の行き来がスムーズにできるようにするもの。
英国軍と共同訓練を行う際の手続きも簡素化できる。またフランスとの会談では、外務防衛の閣僚協議、いわゆる2プラス2の開催をことし前半に目指すことを確認。さらなる安全保障協力を議論していく方針。今回の欧米歴訪について政治部・徳丸政嗣「ひと言で言うと、岸田外交の真価が問われるのは、まさにこれからというところだろうか。
今回の欧米歴訪では、G7議長国として各国と安全保障面での協力を中心に、一つ一つ具体的な合意を重ねてきたことは確か。ただG7はもともと民主主義をはじめとした基本的価値を共有しているので、足並みがそろうのは前提ともいえる。今の国際社会はロシアの軍事侵攻で国際秩序が大きく揺らぎ台頭する中国の影響力は増している。
G7の思惑どおりには動かなくなっているというのが現実。5月の広島サミットに向けては厳しい国際情勢の中でも課題解決を主導していく実行力が求められる。また内政に目を転じれば通常国会が控えている。相次ぐ閣僚の辞任などもあり内閣支持率は低迷している。防衛力の強化を巡っても、野党側は防衛増税などを批判し攻勢を強める構えで岸田総理にとっては外交内政ともに正念場となる」。
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日米「反撃能力」効果的運用へ協力で一致(1月12日)
日米の外務防衛の閣僚協議「2プラス2」は日本から林外務大臣と浜田防衛大臣、米国からブリンケン国務長官とオースティン国防長官が参加した。
中国について、「これまでにない最大の戦略的挑戦であり自らの利益のために国際秩序を作り変えようとする外交政策は日米同盟や国際社会にとって深刻な懸念」という認識を共有した。
東シナ海での一方的な現状変更の試みに強く反対することで一致したほか、台湾海峡の平和と安定の維持の重要性を確認した。...
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日米の外務防衛の閣僚協議「2プラス2」は日本から林外務大臣と浜田防衛大臣、米国からブリンケン国務長官とオースティン国防長官が参加した。
中国について、「これまでにない最大の戦略的挑戦であり自らの利益のために国際秩序を作り変えようとする外交政策は日米同盟や国際社会にとって深刻な懸念」という認識を共有した。
東シナ海での一方的な現状変更の試みに強く反対することで一致したほか、台湾海峡の平和と安定の維持の重要性を確認した。
中国との間で安全保障面を含む意思疎通を強化していく方針を維持することも確認した。厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、日本側が新たな戦略のもとで防衛予算の増額を通じ「反撃能力」を含め防衛力を抜本的に強化する方針を説明し、米国側が強く支持した。
「反撃能力」の効果的運用に向け協力を深めることで一致した。林外務大臣は「今回の日米2プラス2の結果として発出された共同発表は戦略的競争の新たな時代において勝利するための体制を取る、現代化された同盟のビジョンを提示するもの。スピード感をもって実行に移し日米同盟を絶えず強化していく」と述べた。
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