コロナ渦の背後で蠢く中国の影(5月2日)
アジア太平洋地域で活動する米海軍空母「セオドア・ルーズベルト」「ロナルド・レーガン」など、計4隻の米軍空母400人以上の乗組員から新型コロナウイルスの感染が確認され、米軍の即応能力の低下が懸念されている。
現時点ではこれらの空母がどの段階で通常展開に戻れるのかの見通しは立っていないが、この出来事を好機と見た中国軍は「ウイルス感染によって米海軍の全世界への展開能力はすでに深刻な打撃を受けており、東シナ海、台湾海峡、南シナ海で米軍は対処困難な状況になっている」(環球時報)との中国の軍事専門家の見方を伝えた。...
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アジア太平洋地域で活動する米海軍空母「セオドア・ルーズベルト」「ロナルド・レーガン」など、計4隻の米軍空母400人以上の乗組員から新型コロナウイルスの感染が確認され、米軍の即応能力の低下が懸念されている。
現時点ではこれらの空母がどの段階で通常展開に戻れるのかの見通しは立っていないが、この出来事を好機と見た中国軍は「ウイルス感染によって米海軍の全世界への展開能力はすでに深刻な打撃を受けており、東シナ海、台湾海峡、南シナ海で米軍は対処困難な状況になっている」(環球時報)との中国の軍事専門家の見方を伝えた。
環球時報は中国の本音を伝える新聞として有名であり、台湾や南シナ海周辺で米中不測の事態が起きる可能性が高まっている。実際に中国軍の空母「遼寧」など6隻が沖縄本島と宮古島の間を通過したり、南シナ海で軍事訓練を実施したり、中国の挑発的な動きが増加しつつあり、警戒を強めた日米両国は、「力の空白」を生まないよう、共同訓練などによるプレゼンス拡大に努めている。
トランプ大統領は、コロナウイルス感染拡大の初期段階での中国の対応について批判し責任を追及していく構えを見せている。これを中国は当然のことながら心よく思っていない。習近平国家主席は5月22日に開催される予定の全人代で、コロナウイルス制圧を発表するものとみられるが、米国に対しどのような発言が飛び出すのか、注目される。
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コロナ後の世界覇権奪取を狙う中国(4月27日)
(ポストコロナを見据え米中の覇権争いが表面化)
ポストコロナを見据え米中の覇権争いが表面化してきている。いち早くコロナウイルスを抑え込んだ中国は、事実上の終息宣言を行った。さらにイタリアやアフリカなど一帯一路周辺国に積極的な医療支援を行っており、こうした動きはマスク外交とも呼ばれている。米国は「新型コロナウイルスは武漢のウイルス研究所から流出したものである」と主張しパンデミック中国責任論を展開している。...
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(ポストコロナを見据え米中の覇権争いが表面化)
ポストコロナを見据え米中の覇権争いが表面化してきている。いち早くコロナウイルスを抑え込んだ中国は、事実上の終息宣言を行った。さらにイタリアやアフリカなど一帯一路周辺国に積極的な医療支援を行っており、こうした動きはマスク外交とも呼ばれている。米国は「新型コロナウイルスは武漢のウイルス研究所から流出したものである」と主張しパンデミック中国責任論を展開している。武漢のウイルス研究所は危険度が上から2番目のBSL4であることが知られている。2018年には駐北京・米国大使館がこの施設をチェックし、「汚染レベルが極めて高い研究施設を安全に運営するために、必要かつ適切な訓練を受けた技師と調査官が決定的に不足している」との警告文を本土に向けて発信していた。ポンペオ国務長官も「中国政府はいまだにこの研究所に対する調査を拒否している」と非難している。中国は「米国の発言はいかなる証拠もなく、完全な推測だ。ウイルスは米国が中国に持ち込んだものだ」と反論した。この発言の根拠となっているものが、2019年10月末に武漢で行われた「世界軍人による五輪」に参加した約300人の米兵が武漢を去った後、ちょうど2週間後のタイミングで最初の武漢での感染が報告されたことである。こちらも根拠としてはあまり強いもののようには思えない。
(WHOにも怒りの矛先向ける米国)
大統領選挙を念頭に中国責任論を展開していきたいトランプ大統領は、中立性を疑わせる挙動があったWHOにも怒りの矛先を向けはじめた。テドロス事務局長の発言や態度が「中国寄り過ぎる」との理由でWHOへの拠出(約8億9000万ドル/955億円)を中止したのである。ところが、この穴を埋めるかのように中国が23日、資金拠出を3000万ドル(約32億円3000万円)に上乗せすると発表した。米国が資金の拠出を中止したことが結果的にWHOへの中国の影響力をより強めるという皮肉な結果を招いてしまったように見える。この後、不可解な事件も起きている。WHOが米国の新薬開発に不利な情報を誤って公表し、期待が高まっていた米国の新薬の期待値が大幅に下がってしまったのである。中国で抜きうちに行われた237人に対する治験で米国ギリアドサイエンシズ社のレムデシビルは効果をあげることができなかったということで、経済回復のためにレムデシビルの早期投与に期待を寄せていたトランプ大統領にとっては打撃となった。絶妙なタイミングで米国の新薬の信頼性を貶めるデータがWHO経由で出てきた点が興味深い。
(コロナ後の世界覇権奪取を狙う中国)
WHOのテドロス事務局長は24日の会見で、「WHOと世界各国のリーダーは新型コロナウイルスの新薬やワクチン開発に向けて協力していく」と発表したが、米国はこの協力体制に参加しない。この流れを察知したかのように今、中国は新型コロナワクチン開発でも世界に先駆け、第二段階に入ったことを声高らかに宣言し、中国の優位性をアピールした。感染者5万人を出し、対応に苦慮している米国を尻目に中国はコロナ後の世界覇権奪取を淡々と狙っている。
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武漢の研究所“発生源報道”を否定(4月19日)
新型コロナウイルス感染拡大問題。米国の一部メディアは新型コロナウイルスの発生源について「コウモリのコロナウイルスの研究で知られている中国科学院武漢ウイルス研究所の可能性がある」などと報じている。
この報道に、米国・トランプ大統領は「我々は徹底的な調査を行っている」と述べた。
こうした動きに対し、中国科学院武漢ウイルス研究所・袁志明研究員が中国の国営メディアの取材で強く否定した上で「いかなる証拠もなく、完全に推測に基づくものだ」と述べ、不当な指摘だと訴えた。
新型コロナウイルスの発生源はどこか?(4月18日)
パンデミックですべてが変わってしまったわけではないが、米国の一部情報関係者が、新型コロナウイルスの発生源は、正確にはわからないだろうとしている。
当初は中国・武漢市の海鮮市場とみられていたが、科学者が皆納得しているわけではない。米国政府はウイルスがどのように人間に感染して広がっていったかに関して、いくつかの仮説を調べている。
その中には武漢市の研究所も含まれていて、何らかの事故でウイルスが研究所の外に流出し、広まった可能性を調べている。...
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パンデミックですべてが変わってしまったわけではないが、米国の一部情報関係者が、新型コロナウイルスの発生源は、正確にはわからないだろうとしている。
当初は中国・武漢市の海鮮市場とみられていたが、科学者が皆納得しているわけではない。米国政府はウイルスがどのように人間に感染して広がっていったかに関して、いくつかの仮説を調べている。
その中には武漢市の研究所も含まれていて、何らかの事故でウイルスが研究所の外に流出し、広まった可能性を調べている。
生物兵器として開発されたものではないとみて、「まだ結論を出すのは早すぎる」としている。中国政府は研究所によりパンデミックが引き起こされたのではないとしている。
しかし感染は拡大し、調査も続けられている。
トランプ大統領は新型コロナウイルス感染拡大のピークは過ぎたとの認識を示し、経済活動を一部再開させるとしているが、さらに多くの検査が必要とする専門家もいる。
最も多くの犠牲者が出ているニューヨーク州の知事は、事業の営業停止と学校閉鎖は少なくとも5月15日まで続けるとした。
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WHOが米中間の新たな火種に(4月16日)
14日にトランプ大統領が、世界保健機関(WHO)が「中国寄り」であることを理由に、WHOへの資金拠出を当面の間停止すると発表した。これに対し、中国は「米国は国際的な責任を回避しようとしている」として、米国を非難した。
中国の言い分としては、米国はすでに感染が最も深刻な国となっており、ウィルスとの闘いの最前線にいる。WHOのテドロス事務局長は、ウィルスとの闘いを「政治化」することなく、予防・抑制に全力を注ぐように述べている。...
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14日にトランプ大統領が、世界保健機関(WHO)が「中国寄り」であることを理由に、WHOへの資金拠出を当面の間停止すると発表した。これに対し、中国は「米国は国際的な責任を回避しようとしている」として、米国を非難した。
中国の言い分としては、米国はすでに感染が最も深刻な国となっており、ウィルスとの闘いの最前線にいる。WHOのテドロス事務局長は、ウィルスとの闘いを「政治化」することなく、予防・抑制に全力を注ぐように述べている。
さらに米国はここ数年、たとえば兵器や気候変動、生物、教育などの様々な協定や国際機関などから離脱しており、「離脱マニア」のようになっている。米国政権は世界や人類から遠ざかり、国際社会の団結を壊し、国際社会の調和のとれた発展を阻んでいる、と非難しているのであった。
確かにWHOは1月の段階ではコロナウィルスの「ヒト・ヒト感染はない」と公表したり、米国が中国からの入国規制をしようとした際に反対したりしたことなど感染拡大を防止することよりは、中国に配慮するような発言が目立っていた。しかし現段階でWHOへの資金拠出を停止することが米国での感染拡大を抑制することにはならない。米国での初動体制の失敗をWHOに責任転嫁しているようにも見える。
米中の間ではまた新たな火種ができた。現在はコロナウィルスの問題で注視されていないが、中国が経済力をつけるにしたがって、国際機関への拠出金が増加しており、発言力も増している。一方で米国が「アメリカ・ファースト」で国際協調路線からはずれようとしている状況で、感染拡大が終息すれば、他の国際機関や協定などにも米中間の争いは飛び火しかねない。
なお米国のWHOへの拠出割合は約15%となっている。
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