米国・対中国の貿易赤字過去最大規模(3月7日)
米国の中国に対する去年1年間の貿易赤字は、前年比11%余りの増加と、過去最大の規模に膨らんだ。
中国との貿易問題をめぐる交渉でトランプ大統領は、中国が米国産の農産物に課している全ての関税を撤廃するよう求めていて、圧力を緩めない見通しである。
米国・商務省が発表した去年1年間の貿易統計によると、モノの取引に限った貿易赤字は8787億ドルと前年比10.4%増加して、過去最大の規模になった。...
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米国の中国に対する去年1年間の貿易赤字は、前年比11%余りの増加と、過去最大の規模に膨らんだ。
中国との貿易問題をめぐる交渉でトランプ大統領は、中国が米国産の農産物に課している全ての関税を撤廃するよう求めていて、圧力を緩めない見通しである。
米国・商務省が発表した去年1年間の貿易統計によると、モノの取引に限った貿易赤字は8787億ドルと前年比10.4%増加して、過去最大の規模になった。
背景には、大規模な減税を受けて消費が好調で輸入が増えたことなどがある。国別では、中国に対する貿易赤字が最も多く4191億ドルと、前年比11.6%増加した。米国の貿易赤字全体の半分を占め、過去最大の規模に膨らんだ。
中国との貿易をめぐっては。トランプ政権が去年3月以来、中国からの輸入品に対して段階的に高い関税を上乗せしたものの、輸入は引き続き増えている。
一方で輸出は、中国の報復関税の影響で減少している。トランプ大統領は中国に対し、米国産の農産物に課している関税を撤廃するよう求めていて、圧力を緩めない見通しである。
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ファーウェイ製品排除で中国高官が米国非難(3月5日)
中国で重要政策を決める全人代・全国人民代表大会がきょう始まるのを前に記者会見した張業遂報道官は米国が、中国の通信機器大手ファーウェイの製品の排除を各国に求めていることについて強く非難した。
米国との貿易問題についてトランプ大統領が今月中に習近平国家主席と首脳会談を開き、最終的な合意を目指していることを踏まえ早期の妥結に期待を示した。
ハイテック覇権争い(3月2日)
(トランプ大統領は米中貿易戦争で強い大統領を演じようとしている)
トランプ大統領は2020年11月の大統領選を見据えて、「中国の不公正貿易を許さない強い大統領」を演じようとしている。中国に対しては「生かさず殺さず」が大統領の既定路線であり、今回、期限を明記しない形で、追加関税引き上げの延長措置を行った。その一方でトランプ大統領は、1日のツイッターで「牛肉や豚肉を含む米国の農産物に対する関税を直ちに撤廃するよう中国に求めている。...
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(トランプ大統領は米中貿易戦争で強い大統領を演じようとしている)
トランプ大統領は2020年11月の大統領選を見据えて、「中国の不公正貿易を許さない強い大統領」を演じようとしている。中国に対しては「生かさず殺さず」が大統領の既定路線であり、今回、期限を明記しない形で、追加関税引き上げの延長措置を行った。その一方でトランプ大統領は、1日のツイッターで「牛肉や豚肉を含む米国の農産物に対する関税を直ちに撤廃するよう中国に求めている。これは私にとっても米国の農家にとっても、非常に重要なことだ」と投稿し、中国に対し米国産の農産物に対する関税を直ちに撤廃するよう求めた。米国側は今月下旬にマールアラーゴにあるトランプ大統領の別荘に習近平国家主席を招き、両首脳による会談で最終的な合意を目指すことにしている。トランプ大統領としてはこうした要求を直前に公表することで、中国側をけん制する狙いがあるとみられる。中国はトランプ政権の批判をかわす為、「外資への技術移転の強要」を禁止する「外商投資法」や「外資事業への政府の違法な介入の禁止」法案などを全人代に提出しており、これらの法案は可決されるとみられている。米中貿易戦争は農産物の輸入で中国サイドが折れることで問題は収束の方向に向かうものとみられる。
(今後、米中貿易戦争は5Gをめぐる覇権争いに発展)
今後クローズアップされてくるとみられる問題は、5Gなどのハイテク技術である。今後、産業の主流となるとみられている自動運転やAIは蓄積したデータを基にさらに新しい価値を生み出していくハイテク技術だが、この膨大な情報=ビックデータをつなぐ技術が5Gであり、この技術を制した者が21世紀の覇権を握るとまでいわれている。ここでは米国も中国も負けるわけにはいかない。米国は5Gが普及する直前にこのことに気が付き5Gの最新技術を持っているファーウェイ包囲網を構築し、米国は日本などの同盟国に、中国製は使わないよう要求している。特にヨーロッパ、EUに包囲網を作ろうという状況になっている。これからこの流れがますます加速する可能性があり、両国の熾烈な戦いが、場合によってはトランプ大統領の後の大統領に引き継がれた形で展開されることになる。米国で起訴されたファーウェイ副会長の身柄についてカナダ政府は、米国への引き渡し手続きを進める許可を出し今後引き渡しの是非を判断する審理が開かれる。中国外務省は声明で、強烈な不満と断固とした反対を表明するとしている。ファーウェイ副会長の身柄を人質にとり米国は5G戦争を優位に進めようとしている可能性がある。2040年に中国はGDPで米国を抜くと言われており米国は焦っている。日本も他人事ではない。2040年中国のGDPは日本の10倍になると予想さえある。こういう弱肉強食の世界において日本はうまく立ち回り、足場をうまく固めなければならない。
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米中貿易摩擦・閣僚級の交渉続く(2月25日)
米国と中国は貿易問題を巡り当初予定を延長して24日まで閣僚級の交渉を行っている。トランプ大統領は習近平国家主席との会談で最終的な合意を目指す意向を示しているが、中国側が抵抗する問題で残る隔たりを埋められるかが注目される。
しかし中国側は国有企業への優遇策などの見直しは国の根幹にかかわる問題と抵抗しているものとみられ、閣僚級の交渉で残る隔たりが埋められるか注目される。
中国への警戒感は米国国内にも浸透しており、関税を上げなければ時間稼ぎを狙う中国の戦術にはまるだけだという意見もある。...
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米国と中国は貿易問題を巡り当初予定を延長して24日まで閣僚級の交渉を行っている。トランプ大統領は習近平国家主席との会談で最終的な合意を目指す意向を示しているが、中国側が抵抗する問題で残る隔たりを埋められるかが注目される。
しかし中国側は国有企業への優遇策などの見直しは国の根幹にかかわる問題と抵抗しているものとみられ、閣僚級の交渉で残る隔たりが埋められるか注目される。
中国への警戒感は米国国内にも浸透しており、関税を上げなければ時間稼ぎを狙う中国の戦術にはまるだけだという意見もある。
また大統領選挙を控え中国に対し厳しい姿勢に転じる可能性もあり、米中の貿易摩擦は依然、大きなリスクとして残りそうだ。
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3月1日の期限が迫る・米中貿易協議(2月23日)
(3月1日の期限が迫る・米中貿易協議)
米国と中国との貿易問題をめぐってワシントンで開かれていた閣僚級の交渉は、為替問題や貿易不均衡の是正を巡って進展があり、2日間延長されることになった。パーデュー米農務長官によれば、中国側が米国産大豆1000万トンの追加購入を約束したといい、金融市場の開放も合わせて米中貿易戦争では中国側の譲歩で一時的に収束する兆しを見せている。こうした中、トランプ大統領は3月1日を期限とする米中貿易協議の合意に向け、フロリダ州マールアラーゴの別荘で習近平国家主席と会談する意向を明らかにするとともに、最大1か月、交渉期限を延長する考えも示した。...
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(3月1日の期限が迫る・米中貿易協議)
米国と中国との貿易問題をめぐってワシントンで開かれていた閣僚級の交渉は、為替問題や貿易不均衡の是正を巡って進展があり、2日間延長されることになった。パーデュー米農務長官によれば、中国側が米国産大豆1000万トンの追加購入を約束したといい、金融市場の開放も合わせて米中貿易戦争では中国側の譲歩で一時的に収束する兆しを見せている。こうした中、トランプ大統領は3月1日を期限とする米中貿易協議の合意に向け、フロリダ州マールアラーゴの別荘で習近平国家主席と会談する意向を明らかにするとともに、最大1か月、交渉期限を延長する考えも示した。トランプ大統領は首脳会談でファーウェイの問題も取り上げる可能性にも言及しているが、ポンペオ国務長官はファーウェイ製品を情報システムに利用している国との協力関係を停止する考えを明らかにするなど、同盟国や友好国にファーウェイ製品を使わないよう警告している。知的財産権保護問題、技術移転強要、国有企業への補助金問題行などで米中の間には依然大きな隔たりがある。
(米中の争いには2つの側面がある)
米中覇権争いには高い関税をお互いにかけあう米中貿易戦争と「ファーウェイ排除包囲網」に象徴される米中ハイテク戦争という大きな2つの側面がある。ホワイトハウスが主導する貿易戦争の方は3月1日に中国が米国の大豆輸入を再開する方向で収束する兆しも出ているが、議会・諜報機関・軍・各省庁・シンクタンクなどが時にトランプ大統領と対立することもあるハイテク戦争の方は依然として収束の兆しは見えていない。昨年8月に米議会で成立した「国防権限法」ではファーウェイほか中国企業5社の製品やその部品を組み込んだ製品を米政府機関による調達から2段階に分けて排除することを定めた。懸念されるのは第2段階で、米国政府機関と取引する会社は国籍を問わず、中国製機器の不買を誓約させられ、仮に違反が見つかれば、何億ドルもの罰金を科せられることになる。国防権限法だけにとどまらず、米国は水面下で日本の半導体メーカーにも「ファーウェイにものを売るな」という圧力をかけ始めている。こうした米国の「ファーウェイ排除包囲網」に対抗する形で中国はファイブアイズのメンバー国であるオーストラリアに経済的圧力をかけるなどして包囲網の突き崩しを図っている。また英国はファーウェイ製品を使用するリスクは、それほど高くないと論評している。
米国の「ファーウェイ排除包囲網」の背景にあるのは次世代通信規格5Gで遅れをとった米国の焦りでもある。ファーウェイの5G通信技術は西側企業の先を行く技術レベルを達成しており、製品コストもずっと安い。もちろん米中貿易戦争が決裂した場合には日本企業が被る影響は極めて大きいと考えられる。
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