米国・ヘイリー国連大使“米朝首脳会談”“議題は中途半端ではない完全な非核化”(4月6日)
米国・ヘイリー国連大使は、来月末までに開かれる見通しの史上初の北朝鮮との首脳会談をめぐり、議題は中途半端ではない完全な非核化だと述べ、北朝鮮の完全な非核化について協議する意向を示した。
米国・ヘイリー国連大使は、「トランプ政権の圧力強化が、北朝鮮を対話姿勢へと転じさせた」と話し、対話だけでは圧力を緩めないことを強調した。
来月末までに開催する見通しの米朝会談について「非常に慎重な姿勢で臨む」と述べた。...
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米国・ヘイリー国連大使は、来月末までに開かれる見通しの史上初の北朝鮮との首脳会談をめぐり、議題は中途半端ではない完全な非核化だと述べ、北朝鮮の完全な非核化について協議する意向を示した。
米国・ヘイリー国連大使は、「トランプ政権の圧力強化が、北朝鮮を対話姿勢へと転じさせた」と話し、対話だけでは圧力を緩めないことを強調した。
来月末までに開催する見通しの米朝会談について「非常に慎重な姿勢で臨む」と述べた。
一方、5日、ロシア・ラブロフ外相と会談した中国・王毅外相は、「朝鮮半島の核問題は北朝鮮が長く直面してきた安全保障上の脅威と関係がある。非核化のプロセスの中で、北朝鮮の安全保障上の懸念を解決することが合理的だ」と述べ、非核化を実現するために、米国が軍事的圧力を弱めるべきとの考えを強調した。
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キム委員長・韓国芸術団を絶賛・融和ムード高める(4月3日)
北朝鮮・ピョンヤンで行われた韓国の芸術団の公演を、金正恩朝鮮労働党委員長が観覧した。
きのう付けの労働新聞はこれを1面で大きく取り上げ、金正恩委員長が絶賛したと伝えた。
27日の南北首脳会談を前に融和ムードをいっそう高めている。
韓国統一省・ペクテション報道官は「南北首脳会談の開催を成功させるため春風のようなよい雰囲気が続いている」と述べた。
ここにきて北朝鮮情勢が目まぐるしく動いてきた。4月27日に行われる予定の南北首脳会談、5月の米朝首脳会談を目前にし、北朝鮮・金正恩委員長は秘密列車で中国入りし、VIP並みの待遇を受ける中で、非公式ながら習近平国家主席との中朝首脳会談を行った。新華社通信が伝えるまで、中朝の幹部以外はこの列車に乗っているVIPが、金正恩なのか金与正なのかさえ知らされなかったという。こうした前近代的な秘密列車の運行自体が中朝が独裁国家であることを際立たせたポイントでもあったといえるだろう。...
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ここにきて北朝鮮情勢が目まぐるしく動いてきた。4月27日に行われる予定の南北首脳会談、5月の米朝首脳会談を目前にし、北朝鮮・金正恩委員長は秘密列車で中国入りし、VIP並みの待遇を受ける中で、非公式ながら習近平国家主席との中朝首脳会談を行った。新華社通信が伝えるまで、中朝の幹部以外はこの列車に乗っているVIPが、金正恩なのか金与正なのかさえ知らされなかったという。こうした前近代的な秘密列車の運行自体が中朝が独裁国家であることを際立たせたポイントでもあったといえるだろう。金委員長の外国訪問は、最高指導者となって初めてのことで、にこやかな笑みを浮かべる習主席に対して、金委員長が珍しく真摯にメモを取る姿勢などが話題となったが、北朝鮮側の記録映像ではこの部分はカットされていた。今回の訪中は金委員長から申し出だったというが、北朝鮮情勢の今後の行方を左右する大きな出来事であったことは間違いない。突然の訪中にはどのような背景や狙いがあり、今後、どのような展開が考えられるのかを探っていきたい。
米国の軍事的圧力に怯えた北朝鮮
北朝鮮の対話路線への転換の背景には米国が主導してきた北朝鮮への金融・経済制裁が効いてきたということがまず挙げられる。さらに言えば、世界最強の軍事国家・米国の軍事的圧力に対する恐れが強くあったといえる。ジョンボルトンやマイクポンペオなど対北朝鮮強硬派の起用も北朝鮮にかなりの恐怖を与えただろう。北朝鮮としては中国に米朝首脳会談が決裂した場合に備えて保険をかけるとともに、中国の後ろ盾をつけることで米朝首脳会談での交渉を有利に運びたい狙いがある。タイミング的にも米中貿易摩擦によって米中の足並みが乱れた隙間をうまく利用して、北朝鮮は巧みに中国に取り入った。今後、金委員長はEU、ロシアへの訪問を画策するなどし、米朝首脳会談に向けて、トランプ対策を強化していくとみられる。
中国の思惑
金委員長の訪中申し出は中国にとっても渡りに船であった。全人代で習近平国家主席の独裁体制が確立したその矢先に、中国の頭越しに米朝・南北首脳会談が行われる事は中国にとっては面目が丸つぶれとなり、絶対に避けたい事態であった。さらに中国は中朝首脳会談の開催によって米国に対し朝鮮半島情勢は中国のプレゼンス抜きには解決できないという強いメッセージを送った形にもなった。
米国は今後どう動くか
4月27日の南北首脳会談を前にしてトランプ大統領は突然、米韓FTAについて「北朝鮮と合意するまでの間、FTAの最終決定を保留にするかもしれない」と述べ、北朝鮮に譲歩することがないよう韓国をけん制した。さらに新たな国家安全保障担当大統領補佐官に、北朝鮮への先制攻撃を主張したことのあるジョンボルトン、現CIA長官のマイクポンペオを国務長官を充て、米朝首脳会談が決裂した場合には武力行使も躊躇しないという強いメッセージを北朝鮮に送っている。金委員長は「段階的で同時並行的な措置を米韓がとれば、非核化の問題は解決可能だ」と圧力緩和を米国に求めているが、この姿勢はこれまで25年間北朝鮮がとり、国際社会を欺いてきたやり方となんら相違はない。米国としてはこの要求には応じるわけにはいかず、米朝首脳会談ではさらなる譲歩を求めていくことになるだろう。ボルトンは単なる強硬派ではなく、法律に通じたとても賢い実務家と言われており、「北朝鮮はこの25年間約束を破り続けてきた。北朝鮮の核開発に関する全ての機器や資材を政府が接収する事を北朝鮮に認めさせることができないのであれば会談は時間の無駄だ」とまで言いきっている。ボルトンには米朝首脳会談が北朝鮮主導で進むことがないようしっかりと役割を果たしてもらいたい。
日本はどう動くべきか
日本はどうか。日本は現在、北朝鮮への圧力継続を唯一、声高に主張している。北朝鮮のミサイルは米国本土には届かないが、既に日本には届くと想定されており、日本の喉元にはノドンミサイルが突き付けられている格好となっている。核・ミサイル問題のみならず、日本は拉致問題も抱えており、拉致被害者家族会は安倍首相に対して「米朝首脳会談で拉致被害者全員の帰国を要望してもらうようトランプ大統領に伝えてほしい」と要請している。この問題の解決にあたり水面下で調整が進められているが、北朝鮮をめぐる外交において、日本は厳しい立場に置かれている。日本に求められているのは朝鮮半島を今後どうしていくのかのビジョンであり、北朝鮮に足元を見られることのない慎重な行動が求められている。
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金委員長・習主席と会談・北朝鮮側の狙いとは(3月28日)
北朝鮮側の狙いは来月開かれる南北首脳会談と5月末までに開かれる米朝首脳会談を見据え、中国を後ろ盾とする必要性に迫られたものと考えられる。
北朝鮮は過去にも金正日総書記が南北首脳会談の2週間前に中国を訪問した。
今回の訪問も中国との関係改善を図り、後ろ盾として利用し、米国、韓国との交渉を有利に進めたい思惑があるものと見られる。
中国が国連安全保障理事会の制裁決議を厳格に履行する姿勢を強調するなか、北朝鮮が核開発に続いて経済の立て直しをはかるためには、中国との関係改善が不可欠と判断した可能性が強い。...
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北朝鮮側の狙いは来月開かれる南北首脳会談と5月末までに開かれる米朝首脳会談を見据え、中国を後ろ盾とする必要性に迫られたものと考えられる。
北朝鮮は過去にも金正日総書記が南北首脳会談の2週間前に中国を訪問した。
今回の訪問も中国との関係改善を図り、後ろ盾として利用し、米国、韓国との交渉を有利に進めたい思惑があるものと見られる。
中国が国連安全保障理事会の制裁決議を厳格に履行する姿勢を強調するなか、北朝鮮が核開発に続いて経済の立て直しをはかるためには、中国との関係改善が不可欠と判断した可能性が強い。国際的圧力を緩和したい狙いもある。
中国にとっては南北首脳会談、米朝首脳会談の直前に中国、北朝鮮の関係改善を図ることで北朝鮮カードを手元に戻す狙いがある。
中国と北朝鮮は安保理制裁の影響などで急速に冷え込み、中国の影響力に限界があるとの見方が強まっていた。
こうしたタイミングで、北朝鮮の後ろ盾として影響力を示せることをみせつけることで、貿易などで対立する米国をけん制すると見られる。
「北朝鮮カード」を使い、外交交渉などを有利に運びたいという思惑が透けて見える。
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北朝鮮・朝鮮中央通信は「最近、我々の平和的提案により北南間に劇的な和解の雰囲気が醸成され朝米間でも変化の機運が現れている」としたものの、北朝鮮は5月末に行われるとされている米朝首脳会談については一切報道しておらず、相変わらず沈黙を守っている。さらに不思議なことに、4月1日から米韓合同軍事演習を行うと韓国当局が発表したにも関わらず、いつもは猛反発する北朝鮮が今回は何も反応していないことだ。今回の合同軍事演習の規模が小さいことがその要因ともいえるかもしれない。...
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北朝鮮・朝鮮中央通信は「最近、我々の平和的提案により北南間に劇的な和解の雰囲気が醸成され朝米間でも変化の機運が現れている」としたものの、北朝鮮は5月末に行われるとされている米朝首脳会談については一切報道しておらず、相変わらず沈黙を守っている。さらに不思議なことに、4月1日から米韓合同軍事演習を行うと韓国当局が発表したにも関わらず、いつもは猛反発する北朝鮮が今回は何も反応していないことだ。今回の合同軍事演習の規模が小さいことがその要因ともいえるかもしれない。一方で日本の安倍政権に対しては「日本が分別を失い、引き続き悪ふざけをするなら永遠に平壌行きの切符を求めることができなくなる」「長期政権を担う安倍政権に赤信号がともった」などと批判を強めている。
対北強硬フォーメーションを組む米国
こうした中、トランプ大統領は不愛想な態度や物言いを理由にマクマスター大統領補佐官を更迭し、後任に対北朝鮮強硬派でネオコンのボルトン元国連大使を充てると発表した。この人事によってポンペオ氏をはじめ、トランプ大統領の外交安全保障チームは対北朝鮮強硬派で固められることになる。北朝鮮との対話がとん挫した場合には、再び軍事対立路線も辞さないというトランプ大統領の姿勢を示すものということができる。
日本外交ができること
フィンランドで水面下で行われている米朝韓当局者の会談は時折笑い声も出る和気あいあいとしたムードで行われていたという。残念ながらその場所に日本の当局者は参加していなかった。現在の対話ムードは北朝鮮主導で行われ、このフレームを韓国が作り、米国がその上に乗っかった格好だ。日本はその流れから出遅れてしまっている。5月に行われる予定の米朝首脳会談ではトランプ大統領が譲歩し金正恩委員長が非核化に踏み出すのではないかという見立てが一部にある。対話ムードで進んだ場合、どこかのタイミングで北朝鮮サイドから平壌宣言を持ち出し日本との対話に言及してくる可能性がある。今は出る幕のない日本だが、この先のシナリオをいくつも想定し、備えておくことは重要だ。
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