(この1週間の動き)
北朝鮮が発射したICBMとみられる弾道ミサイルが、乗客乗員300人以上を乗せた東京発パリ行きのエールフランス航空が飛行していた空域に落下していたことがわかった。北朝鮮の核・ミサイル実験は、大災害を招く危険性があったことが世界に伝わり、今後、国際社会の北朝鮮の核・ミサイル実験を容認しない機運が一段と厳しくなってくることが予想される。これまでの朝鮮半島の動きをみていくと7月末に、航空自衛隊の爆撃機2機と米国空軍爆撃機2機が朝鮮半島沖の上空で共同訓練を実施。...
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(この1週間の動き)
北朝鮮が発射したICBMとみられる弾道ミサイルが、乗客乗員300人以上を乗せた東京発パリ行きのエールフランス航空が飛行していた空域に落下していたことがわかった。北朝鮮の核・ミサイル実験は、大災害を招く危険性があったことが世界に伝わり、今後、国際社会の北朝鮮の核・ミサイル実験を容認しない機運が一段と厳しくなってくることが予想される。これまでの朝鮮半島の動きをみていくと7月末に、航空自衛隊の爆撃機2機と米国空軍爆撃機2機が朝鮮半島沖の上空で共同訓練を実施。米国空軍は韓国空軍とも共同訓練を実施している。米国は北朝鮮に対し、日米韓3か国の緊密な連携を示すことでTHAADを使ったミサイル迎撃実験成功(7/3015回目)と合わせ、北朝鮮を強くけん制している。北朝鮮外務省は「米国が軍事的冒険や制裁に執着するなら、断固とした行動で応える」との報道官談話を発表、さらなる軍事的な行動をとることを示唆した。北朝鮮・朝鮮人民軍元幹部は北朝鮮の次の動きについて「次は3段ミサイルの威力を10月10日の朝鮮労働党創立記念日前後に見せつけるだろう」と予測している。
(中国に不満ぶつける米国・中国はロシアに接近)
トランプ大統領はTwitter上に「中国には非常に失望した。米国の過去の愚かな指導者たちが貿易で年間何千億ドルももうけさせてきたのに、中国は北朝鮮に対して口先だけで何もしない。これ以上こんなことが続く事は許されない」と書き込み、北朝鮮の核ミサイル問題に対する中国の取り組みへの不満をあらわにした。国連の安全保障理事会の決議などに違反し、北朝鮮と取引を続ける中国企業に対し、独自制裁も検討しているとみられ、金正恩委員長個人を制裁対象に含めることも検討されている。中国の国連大使はニューヨークの国連本部で記者会見し北朝鮮問題への対応について「一番の責任は中国ではなく、米国と北朝鮮にある」と述べ、中国への批判を強める米国をけん制した。また北朝鮮のミサイルをICBMではないとして北朝鮮を擁護するロシアが、今度は中国をかばった。ロシア外務省は「米国などがロシアと中国に責任転嫁しようとしている」と中国の肩を持った。同じタイミングでロシアや中国など世界28カ国の軍隊が戦闘能力を競う大会が開かれ、北朝鮮問題で対立する米国に対し中国とロシアは結束をアピールし軍事力を誇示した。
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追い込まれるトランプ政権/不穏な中国の動き(8月1日)
(1.「追い込まれるトランプ政権」)
プリーバス大統領補佐官を事実上更迭に追い込んだスカラムッチ広報部長がわずか11日で今度は自分がトランプ大統領から解任された。スカラムッチ広報部長はメディアに対して政府高官についての暴言を吐き、広報責任者として不適格だとの批判を受けていた。プリーバス大統領補佐官の代わりにトランプ政権入りしたケリー首席補佐官がスカラムッチ広報部長の解任を要請していたという。ホワイトハウスでは高官の交代が相次ぐという異常事態となっており、北朝鮮や中国、ロシアに足元を見られている状態。...
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(1.「追い込まれるトランプ政権」)
プリーバス大統領補佐官を事実上更迭に追い込んだスカラムッチ広報部長がわずか11日で今度は自分がトランプ大統領から解任された。スカラムッチ広報部長はメディアに対して政府高官についての暴言を吐き、広報責任者として不適格だとの批判を受けていた。プリーバス大統領補佐官の代わりにトランプ政権入りしたケリー首席補佐官がスカラムッチ広報部長の解任を要請していたという。ホワイトハウスでは高官の交代が相次ぐという異常事態となっており、北朝鮮や中国、ロシアに足元を見られている状態。彼らは隙を見せると予期せぬ行動をとる可能性があり日米安保体制に危険信号が灯っている。
(2.「不穏な中国の動き」)
中国は東シナ海のガス田開発エリアで新たに移動式の掘削船を停船させて一方的に開発を進め始めた。東シナ海のガス田開発は、2008年に日中両政府が共同開発することで合意したが、関係する条約の締結交渉が中断していた。岸田文雄外相兼防衛相は1日の閣議後の会見で一方的な開発行為を中止するよう抗議したことを明らかにした。一方、中国人民解放軍の創設90周年の式典で習近平国家主席が演説し、「領土主権と海洋権益を断固として守る」と述べるなど強硬な姿勢を一段と示した。
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(北朝鮮が再びICBM打ち上げる。シカゴまで到達するか。)
28日深夜、内陸部ムピョンリ付近からICBM・火星14がロフテッド軌道で発射(45分間飛行)された。日本海の日本のEEZ内(奥尻島の北西)に落下したが、これまでのミサイルの中で最も飛行距離が長く、米本土に到達する最大射程5500キロを超えるものと観測される。戦勝記念日(27日)に本来発射する予定だったが、悪天候のため28日になったとみられている。...
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(北朝鮮が再びICBM打ち上げる。シカゴまで到達するか。)
28日深夜、内陸部ムピョンリ付近からICBM・火星14がロフテッド軌道で発射(45分間飛行)された。日本海の日本のEEZ内(奥尻島の北西)に落下したが、これまでのミサイルの中で最も飛行距離が長く、米本土に到達する最大射程5500キロを超えるものと観測される。戦勝記念日(27日)に本来発射する予定だったが、悪天候のため28日になったとみられている。また、稲田防衛大臣が辞任した空白のタイミングを狙って発射したともいわれている。いつでも、どこからでも発射可能であるということを誇示するために深夜に敢行したともいえる。今後もミサイルの開発を押し進め、北朝鮮に影響力がある中国企業への制裁など、圧力を強化する構えの米国に屈しない姿勢を北朝鮮には示す狙いもあるとみられる。日本政府はNSC閣僚会合を開催し、安倍首相は会見で「北朝鮮に厳重に抗議し、国際社会と緊密に連携し、さらに圧力を強化していく」との姿勢を表明した。またトランプ大統領は今回の発射について「必要なすべての手段をとる」との声明を出し、北朝鮮を非難した。トランプ政権は当面、周辺国を巻き込んだ北朝鮮への包囲網づくりを重視する構えだが、「中国頼み」の圧力強化策には手詰まり感も漂っている。
(今後、予想される米国、国連の動き)
中国・ロシアを本気にさせない限り国連での、効果的な制裁は期待できそうもないので米国の動きを見ていく必要がありそうだ。米国太平洋軍・ハリス司令官によれば、米国は北朝鮮が今やICBMの能力を持っているとの認識を持っており、引き続き、軍事的な選択肢を準備する考えを示している。その一方で米国は北朝鮮の唯一の同盟国は中国であり、どの国よりも影響力を持っていると考えている。その為、まだまだ中国には北朝鮮に圧力を加える余地があると見ているので、日本、韓国と連携を強めながら中国に圧力を加えていく考えで今後もいくと思われる。さらに言えば、こうした軍事、外交の両輪作戦に加え、CIAによる秘密作戦も検討されているようだ。CIA中央情報局・ポンペオ長官は北朝鮮に対して秘密工作も含めた検討を進めていると話している。ただ、トランプ政権に目を移せば、先週にはスパイサー報道官が辞任し、今週もプリーパス首席補佐官が事実上、更迭され、その代わりにジョンケリー国土安全保障長官を起用するなど、トランプ周辺の人事が揺れている。本人は否定しているが、ティラーソン国務長官が辞任を検討している等の報道も出るなどティラーソン氏の動向もはっきりせず、対北朝鮮政策がはっきり見えてこない。こうした状況下で米国が北朝鮮に対処していくことができるのかという不安は残る。
(北朝鮮の今後の動き)
今回のケースを見ても、北朝鮮が記念日前後にミサイルを発射するという傾向がみられることは確かである。そうなると次の記念日は8月15日の祖国解放記念日前後になるとみられ警戒が必要だ。
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7月11日テレビ朝日「橋下×羽鳥の番組」より
『米国まで届くミサイルが完成!?今後北朝鮮問題はどうなっていく?』
〇橋下徹のコメント
ICBMは米国に対する脅威であって、日本への危機はムスダン、ノドン、スカッドERの頃からあり、そういうミサイルで日本は狙われている。その時には大騒ぎせず、今になって米国と一緒になって先制攻撃するのかなどと騒いでいるのはちょっと筋が違う。ただ、ICBMが完成すると日米同盟が崩されるということはある。...
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7月11日テレビ朝日「橋下×羽鳥の番組」より
『米国まで届くミサイルが完成!?今後北朝鮮問題はどうなっていく?』
〇橋下徹のコメント
ICBMは米国に対する脅威であって、日本への危機はムスダン、ノドン、スカッドERの頃からあり、そういうミサイルで日本は狙われている。その時には大騒ぎせず、今になって米国と一緒になって先制攻撃するのかなどと騒いでいるのはちょっと筋が違う。ただ、ICBMが完成すると日米同盟が崩されるということはある。元フランス大統領・シャルルドゴールはフランスが核を持つ時にNYとワシントンが犠牲になってまで米国がパリを守るとは思えないとして自分達で核を持った。
〇自民党衆議院議員・石破茂のコメント
今回の問題は北朝鮮のICBM発射によって米国の拡大抑止能力の信頼性が揺らぎつつあること。日本としてはNATOの核兵器シェアリングのような議論をすべき。
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(北朝鮮のICBM発射をめぐり、揺れる国際社会)
4日、北朝鮮が“火星14型”ICBM大陸間弾道ミサイルをロフテッド軌道で発射、ミサイルは日本の排他的経済水域に落下した。朝鮮中央テレビは、「北朝鮮がICBM発射実験に成功した」とした上で、「今回のICBM実験は、独立記念日を迎えた米国への贈り物だ。これからも頻繁に贈り物をするつもりだ」とする金正恩委員長の声明を重大発表として紹介した。6日の国連安保理緊急会合では米国・ヘイリー国連大使が、北朝鮮に対し軍事的対応も排除しない姿勢を示すなど強硬姿勢で臨んだが、ロシアがミサイルをICBMと認めなかったため、安保理は非難声明を出すことができなかった。...
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(北朝鮮のICBM発射をめぐり、揺れる国際社会)
4日、北朝鮮が“火星14型”ICBM大陸間弾道ミサイルをロフテッド軌道で発射、ミサイルは日本の排他的経済水域に落下した。朝鮮中央テレビは、「北朝鮮がICBM発射実験に成功した」とした上で、「今回のICBM実験は、独立記念日を迎えた米国への贈り物だ。これからも頻繁に贈り物をするつもりだ」とする金正恩委員長の声明を重大発表として紹介した。6日の国連安保理緊急会合では米国・ヘイリー国連大使が、北朝鮮に対し軍事的対応も排除しない姿勢を示すなど強硬姿勢で臨んだが、ロシアがミサイルをICBMと認めなかったため、安保理は非難声明を出すことができなかった。7日、G20を前にドイツハンブルグで日米韓首脳会談が行われ、北朝鮮に最大限の圧力をかけていくとする異例の日米韓共同声明が発表された。米ロ首脳会談では、北朝鮮への圧力強化を求めるトランプ大統領と米国側が譲歩し、緊張を緩和すべきとするプーチン大統領の間で意見が対立した。米中首脳会談でも圧力強化を訴える米国・トランプ大統領に対し、中国・習近平国家主席は対話を強調し、立場の違いがあらためて鮮明となった。日韓首脳会談では「今は北朝鮮に最大限の圧力をかけるべきで対話の時ではない」と訴える安倍首相に対して、北朝鮮に融和的な韓国・文大統領も日韓の協力を優先させる姿勢を示した。G20サミットでは北朝鮮問題が大きなテーマになると予想されたが、制裁強化を求める日米、対話を求める中露の温度差が浮き彫りになり首脳宣言には北朝鮮問題は盛り込まれなかった。
(北朝鮮の今後の動きは?)
「米国に頻繁に贈り物をする」としている北朝鮮だが、今後、3段式の新型ICBM発射実験や、その手前の性能向上のためのICBM発射実験を行う可能性がある。さらに6度目の核実験も秒読み段階に入っている。おそらく早くて今月中、遅くとも10月初旬までにミサイル・核実験が行われるとみられる。可能性のある日付を近い順にいうと、7月16日(中国・対北朝鮮制裁100日猶予期間の期限)、7月27日(北朝鮮・祖国開放戦争勝利記念日)、8月中旬(米韓合同軍事演習)、8月15日(北朝鮮・祖国開放記念日)、8月25日(北朝鮮・先軍節)、9月9日(北朝鮮・建国記念日)、10月10日(北朝鮮朝鮮労働党創建記念日)。
(北朝鮮の今後の動きは?)
「米国に頻繁に贈り物をする」としている北朝鮮だが、今後、3段式の新型ICBM発射実験や、その手前の性能向上のためのICBM発射実験を行う可能性がある。さらに6度目の核実験も秒読み段階に入っている。おそらく早くて今月中、遅くとも10月初旬までにミサイル・核実験が行われるとみられる。可能性のある日付を近い順にいうと、7月16日(中国・対北朝鮮制裁100日猶予期間の期限)、7月27日(北朝鮮・祖国開放戦争勝利記念日)、8月中旬(米韓合同軍事演習)、8月15日(北朝鮮・祖国開放記念日)、8月25日(北朝鮮・先軍節)、9月9日(北朝鮮・建国記念日)、10月10日(北朝鮮朝鮮労働党創建記念日)。
(米中露は北朝鮮に対しどう動くか)
米軍はICBM発射実験への対抗措置として8日、朝鮮半島周辺でB1爆撃機を飛行させ、韓国国内の訓練場で爆弾投下訓練などを実施したが、今後、北朝鮮がミサイル・核実験を行った場合には、今回同様に戦闘機を飛ばしたり、空母を再び派遣するなどのパフォーマンスをする可能性がある。ただ武力行使に踏み切ることはないだろう。一方で米国自身がイランに対して行っているのと同等レベル以上の制裁を北朝鮮に対して行う可能性はある。この場合、日本にも同様の制裁を行うよう米国は求めてくるだろう。中国やロシアは北朝鮮が核を凍結し、同時に米韓合同軍事演習もやめる方向で話し合いを持つべきだと主張している。今後、北朝鮮の核凍結という方向での議論が浮上してくる可能性はある。
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