米韓首脳会談が、10日後に迫っている。この時期に米韓の軋みが出てきている。
現在の外交安全保障分野の課題は米韓首脳会談で北朝鮮政策について上手く調整できるかどうか文正仁外交安保特別補佐官が米韓合同軍事演習縮小の可能性を発言したがそれについて今後、様々な影響が出そうだ。
これについて米国国務省・エドワーズ東アジア太平洋担当報道官はボイスオブアメリカで特別補佐官の個人的な見解で韓国政府の政策を反映したものではないと理解していると述べ、アダムス報道官も米韓合同軍事演習は警戒態勢を強化し朝鮮半島の安定を維持ためのものだと強調した。...
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米韓首脳会談が、10日後に迫っている。この時期に米韓の軋みが出てきている。
現在の外交安全保障分野の課題は米韓首脳会談で北朝鮮政策について上手く調整できるかどうか文正仁外交安保特別補佐官が米韓合同軍事演習縮小の可能性を発言したがそれについて今後、様々な影響が出そうだ。
これについて米国国務省・エドワーズ東アジア太平洋担当報道官はボイスオブアメリカで特別補佐官の個人的な見解で韓国政府の政策を反映したものではないと理解していると述べ、アダムス報道官も米韓合同軍事演習は警戒態勢を強化し朝鮮半島の安定を維持ためのものだと強調した。
韓国大統領府の関係者も特別補佐官の発言は大統領府と事前に話し合った内容ではないと述べている。
しかし今月8日、トランプ大統領が国務長官と国防長官を呼び韓国へのTHAAD配備に強硬な立場を示したことから米国では韓国との政策調整について懸念の声が出ていることは明らかなようだ。これを払拭し北朝鮮の核問題を解決するため米国の確固たる協力を確認できるのか、この会談に注目が集まっている。
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(トランプ大統領・デニスロッドマンカードを切る)
トランプ大統領、金正恩委員長とそれぞれ親交がある元NBA・デニスロッドマンが北朝鮮を訪問中だ。米朝が対立している中でのロッドマンの訪朝に政治的な意図はあるのだろうか。ロッドマンは表向きは政治的な訪問ではないとしているものの、トランプ氏の支持者であり、大統領選の際にもツイッターでトランプ支持を打ち出していた。さらにトランプ氏もかつてロッドマンの北朝鮮訪問を称賛していたことがあり、トランプ氏の意向とは関係なく動いているとは考えにくい。...
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(トランプ大統領・デニスロッドマンカードを切る)
トランプ大統領、金正恩委員長とそれぞれ親交がある元NBA・デニスロッドマンが北朝鮮を訪問中だ。米朝が対立している中でのロッドマンの訪朝に政治的な意図はあるのだろうか。ロッドマンは表向きは政治的な訪問ではないとしているものの、トランプ氏の支持者であり、大統領選の際にもツイッターでトランプ支持を打ち出していた。さらにトランプ氏もかつてロッドマンの北朝鮮訪問を称賛していたことがあり、トランプ氏の意向とは関係なく動いているとは考えにくい。国内のロシアゲート問題で追い込まれているトランプ氏の隠し玉として動いている可能性は高い。ロッドマンとトランプ氏はかってプロレスに関わったことがあるという共通項もある。一方、金委員長は米国のプロバスケットボールの大ファンで、ロッドマンは2014年の金正恩委員長の誕生日の際にも訪朝し、「ハッピーバースデートゥーユー」を歌うなどし、一緒に写真に収まるほどの親密ぶりだ。今回は金委員長に宛ててトランプ大統領の自伝「トランプ自伝-不動産王にビジネスを学ぶ」を贈ったが、贈呈した本には大統領のサインは入っていないという。ロッドマンは14日、北朝鮮の女子バスケットボールチームを視察したほか、金日成国家主席の生家とされる万景台を訪問した。
(北朝鮮から米国人男性解放されるも・脳に損傷)
一方、平壌のホテルからポスターを持ち帰ろうとして拘束され、約1年半北朝鮮に拘束されていた米国人大学生が解放されたが、北朝鮮担当特別代表・ジョセフユンが5月にノルウェー、6月はニューヨークで北朝鮮側と接触していたことを明らかにした。北朝鮮に入国して大学生の状態を直接確認し、その場で解放に向けて協議していたという。北朝鮮との直接交渉はトランプ政権では初めてのことだ。この背景にはロッドマンを訪朝させたことのお返しと人道的な措置を国際社会へアピールする狙いがあるとの指摘もあるが、診察した米国人医師によれば、解放された大学生の脳には大きな損傷があり、外部からの刺激にも反応しない寝たきりの状態になっているという。他にも3人の米国人が北朝鮮に拘束されており、ユン氏も面会したというこの3人の身の安全は保証できないというメッセージとも受け取れる。国務省は3人の解放に向け、協議を継続するとしている。北朝鮮側の説明では大学生はボツリヌス中毒になり、睡眠薬を服用した後、こん睡状態に陥ったとしているが、診察した米国人医師はこの見解を否定している。大学生の父親は「息子は北朝鮮に残酷な扱いを受けた」と北朝鮮を非難し、憤りをあらわにしている。
(イージス駆逐艦・大きな損傷を受ける)
6月17日、南伊豆町の石廊崎から約20キロ沖合で、フィリピン船籍のコンテナ船と弾道ミサイル防衛を任務とする米国海軍イージス駆逐艦・フィッツジェラルドが衝突し、米国海軍の乗組員7人と連絡が取れなくなっている他、1人がけがをしている。コンテナ船の船首の左側と駆逐艦の右側部分が衝突したとみられ、海上自衛隊は米軍と協力しながら捜索活動を続けている。相模湾を横須賀基地に向けて航行中だったフィッツジェラルドは横須賀基地を母港としていて、海上自衛隊の艦艇ともたびたび共同で訓練している。今月初めには日本海で空母2隻を中心に実施された対北朝鮮の演習にも参加していた。駆逐艦の損傷部分は弾道ミサイル防衛の中核であるレーダー付近であり、損傷は奥の方まで達しているという。今回の事故は米軍のみならず、米軍と協力しながら北朝鮮のミサイル発射の警戒を続けている日本にとっても深刻な問題となっている。
(G20サミット期間中に日米韓首脳会談開催か?)
日本政府は日韓関係の地ならしを進めている。二階幹事長を韓国に派遣し、文在寅大統領に安倍首相からの親書を手渡すなどして、7月7日のドイツ・ハンブルグでのG20サミット期間中に日韓首脳会談を行いたい意向だろう。一方で、文大統領も気になる動きを見せている。中国主導で設立された国際金融機関・AIIBアジアインフラ投資銀行の第2回総会が韓国の済州島で開かれ、この開幕式の冒頭で文氏が演説し、「韓国はAIIBの主要メンバーとして貢献する」と強調するなど、中国寄りの姿勢を鮮明にしている。文氏にはTHAADの問題でこじれた韓中の関係を軌道修正したいという思惑があると思われる。経済は中国に依存し、安全保障は米国に依存している韓国としては、微妙なバランス感覚が要求されてくる。日本は予測のつかない北朝鮮に対処するため、こうした韓国のスタンスを織り込みつつ、日米韓で連携を強めていくしかない。
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北朝鮮に拘束され、昏睡状態で解放された米国人大学生の父親が15日会見し「息子は北朝鮮に残酷な扱いを受けた」「息子を残酷に扱った北朝鮮の説明は何も信じない」と非難した。担当医は「脳に重度の損傷、会話もできない状態」と明らかにした。米国メディアは、北朝鮮政府の説明として「ボツリヌス中毒になり睡眠薬服用後、昏睡状態に陥った」と伝えていたが、担当医は「ボツリヌス中毒の症状は見られず、原因は不明」としている。...
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北朝鮮に拘束され、昏睡状態で解放された米国人大学生の父親が15日会見し「息子は北朝鮮に残酷な扱いを受けた」「息子を残酷に扱った北朝鮮の説明は何も信じない」と非難した。担当医は「脳に重度の損傷、会話もできない状態」と明らかにした。米国メディアは、北朝鮮政府の説明として「ボツリヌス中毒になり睡眠薬服用後、昏睡状態に陥った」と伝えていたが、担当医は「ボツリヌス中毒の症状は見られず、原因は不明」としている。米国務省は、大学生の解放をめぐり北朝鮮と水面下の交渉を行っていたことを明らかにした。北朝鮮問題を担当するジョセフユン特別代表が4人の解放にむけ北朝鮮外務省高官と接触していたことを明らかにした。トランプ政権は今後3人の解放に向けた協議を続けていく。
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北朝鮮の6回目の核実験とミサイル発射は今週はどうなのか。今回の北朝鮮の4週連続のミサイル発射にからんで、北朝鮮の脅威に一番さらされているはずの韓国の文在寅政権の存在感が薄いことが気がかりだ。7日、文政権は、環境への影響を調査するとの理由で中国が反発している米国のミサイル迎撃システム「THAAD」の配備中断を明らかにした。既に配備、運用されている2基は撤去せず、残り4基は来年以降配備する見通しだという。...
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北朝鮮の6回目の核実験とミサイル発射は今週はどうなのか。今回の北朝鮮の4週連続のミサイル発射にからんで、北朝鮮の脅威に一番さらされているはずの韓国の文在寅政権の存在感が薄いことが気がかりだ。7日、文政権は、環境への影響を調査するとの理由で中国が反発している米国のミサイル迎撃システム「THAAD」の配備中断を明らかにした。既に配備、運用されている2基は撤去せず、残り4基は来年以降配備する見通しだという。この「THAAD」に対する文政権の方針によって、北朝鮮に対峙する日米韓の連携のほころびが露呈した恰好であり、中国や北朝鮮はほくそんでいることだろう。二階幹事長が安倍首相の親書を文政権に手渡すなど、安倍政権も韓国との連携強化を図ってはいるが、現段階では文大統領には外交面であまり期待できそうもないように見える。
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(4週連続で北朝鮮がミサイル発射)
韓国国防省によると8日、北朝鮮が東岸のウォンサン付近から短距離地対艦巡航ミサイル数発を発射させ、ミサイルは200kmほど飛行して日本海に落下した。朝鮮半島近海に展開していた米国空母カールビンソンが北朝鮮近海から離れたタイミングで発射しているが、関連性はあるのだろうか(カールビンソンとロナルドレーガンは沖縄近海に移動、空母ミニッツが西太平洋に向かっている)。...
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(4週連続で北朝鮮がミサイル発射)
韓国国防省によると8日、北朝鮮が東岸のウォンサン付近から短距離地対艦巡航ミサイル数発を発射させ、ミサイルは200kmほど飛行して日本海に落下した。朝鮮半島近海に展開していた米国空母カールビンソンが北朝鮮近海から離れたタイミングで発射しているが、関連性はあるのだろうか(カールビンソンとロナルドレーガンは沖縄近海に移動、空母ミニッツが西太平洋に向かっている)。また、4月に行われた軍事パレードでお披露目された様々な種類のミサイルがこの4週間で全て発射された形で、この先もミサイル開発を進めていくとのアピールとも受けとれる。最近の北朝鮮の傾向として言えることはミサイル・核実験の準備を敢えて隠さない傾向があるということであり、北朝鮮のミサイルは固体燃料を使う点や、移動式発射台を使う点が特徴的という点である。この先、北朝鮮はどのような動きに出るのか読み解いていきたい。
(北朝鮮への国連、中国の制裁は効果がない)
これまで米国は中国に対して北朝鮮に圧力をかけさせているとされてきたが、この4週間で中国の北朝鮮への圧力は効果がないことが立証された。例えば精製された石油は輸入できないが、北朝鮮は中国から入ってすぐの施設で、中国から輸入した原油を石油に精製して使っている。こうした抜け道をなんとかしなければ、北朝鮮には何の制裁効果ももたらさない。その上、北朝鮮のロシアからのエネルギー輸入も増えているという。トランプ大統領は「中国はがんばっている」とツイートしたものの、北朝鮮問題で期待をはずす中国に対して、南シナ海で米軍の軍事訓練を実施させた。一方、2日に採択された国連安保理の追加制裁決議だが対北朝鮮・制裁対象の個人・団体リストの中に金正恩やミサイル開発の中心人物・キムジョンシクの名前はない上に、制裁リストの古い順に制裁対象にしているというあきれた内容となっている。そんな中、韓国軍・合同参謀本部によれば北朝鮮の無人偵察機とみられる機体が韓国の山中で墜落しているのが発見された。この機体には米国製のエンジン、日本製のデジタルカメラが使われており、国際社会が北朝鮮に対して行う制裁の効果を疑わせる出来事となっている。
(米国はどう動くか?・トランプ氏は国内問題に追われ余裕なし)
肝心のトランプ政権はFBIのコミー前長官が米国大統領選挙のロシア介入疑惑にからんで、国内事情に振り回されている状況であり、外交に手が回らない状況にある。だが、トランプ氏は引き下がらない。外交的巻き返しの第一弾として来月7日からドイツで行われるG20サミットの前にポーランドを訪問すると発表した。これにはロシアの脅威を念頭にNATOの集団防衛に積極的に関与していく姿勢を強調することで、同盟国の懸念を払しょくすると共に、NATOとの関係を強化することでロシアとの距離感が演出でき、ロシアと中国、中央アジア4か国で構成する「上海協力機構」を強くけん制できる。今のトランプ氏には好都合な外交だ。一方で北朝鮮問題に関しては今のところ何も打ち手がなく、放置状態になっており戦略的忍耐政策に戻りつつあるようにも見える。
(今後、北朝鮮はどう動くか?)
北朝鮮に時間的猶予を与えれば与えるほど核・ミサイル開発は進んでしまう。今後北朝鮮が6回目の核実験とミサイルの実験をどうするのかに関心が集まっている。ミサイルを発射した8日、朝鮮中央通信は「日本の安倍総理と菅官房長官、稲田防衛大臣などが世界の前で大騒ぎしているが、米国より先に日本が焦土になり得る」という核を使うとも受け取れる警告を発しており、気がかりだ。韓国・国家安保戦略研究院によれば、韓国では日本向けの核ミサイルはすでに実践配備されているという認識のようだ。また、今月25日~来月27日にかけて迎える反米月間中に核実験あるいはICBMミサイル実験が行なわれる可能性もないとはいえない。北朝鮮がICBMミサイルをすぐに打つのは無理だが、38ノースの見積もりによると、システムとしての完成度が65%ということで、まもなくICBMが発射されるという認識を持っているように見える。7月25日あたりまでは油断できない状況が続く。6回目の核実験に関しては、すでに一部報道ではブンゲリ核実験場で動きが活発化しているとも言われており、今月25日の反米月間の開始に合わせて行う可能性も十分考えられる。北朝鮮は6回目の核実験、ICBMの発射もやり、持つものを全部持った上で米国との交渉の場に出ようという思惑かもしれない。
(日本としてできることは何か)
日本政府は今後も核実験など更なる挑発行為が続く可能性があるとみて警戒を続けている。日本政府としては二階幹事長を韓国に派遣し、ムンジェイン大統領に安倍首相からの親書を手渡すなどして、日韓関係の強化を図り、中国も巻き込みながら北朝鮮の脅威に備えたい考えだが、米国抜きで北朝鮮の行動に影響を与えることは期待できない。日本として今できることは、北朝鮮を注視し慎重に分析して、次の動きを予想し防衛体制を強化していくしか手がない。
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