これまで何度か触れたとおり、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、自身が最優先課題とする麻薬撲滅運動を批評する人達に対しては、同盟国である米国のバラク・オバマ大統領(当時)であろうと、貿易拡大交渉を続けている欧州連合(EU)の政治家であろうと、一国の首脳にあるまじき口汚い表現でののしっている。そして今度は、人権蹂躙と非難されたフィリピン警察(PNP)を一時的に麻薬撲滅運動からはずし、代わりに中心となるよう指示したフィリピン麻薬取締局(PDEA)から弱音の発言が出されるや否や、同大統領自身が銃を持って麻薬犯罪者らを射殺すると言い出した。本家のドナルド・トランプ大統領に負けず劣らず、“フィリピンのトランプ”の舌禍は止みそうもない。
10月22日付米
『Foxニュース』:「フィリピンのドゥテルテ大統領、自らが犯罪者を銃で撃っても良いと発言」
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は10月20日、必要に応じて自らが銃を持って麻薬犯罪者らを撃っても良いと発言した。
同大統領は10月11日、人権団体等から超法規的殺人を強く非難されたために、PNPを麻薬撲滅運動の管轄からはずす旨表明していた。しかし、代わりに取り締りに当ることを期待されたPDEAから弱気な発言が出たことから、麻薬犯も強姦犯も、大統領自身が銃を持って裁くこと厭わずと発言したもの。...
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10月22日付米
『Foxニュース』:「フィリピンのドゥテルテ大統領、自らが犯罪者を銃で撃っても良いと発言」
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は10月20日、必要に応じて自らが銃を持って麻薬犯罪者らを撃っても良いと発言した。
同大統領は10月11日、人権団体等から超法規的殺人を強く非難されたために、PNPを麻薬撲滅運動の管轄からはずす旨表明していた。しかし、代わりに取り締りに当ることを期待されたPDEAから弱気な発言が出たことから、麻薬犯も強姦犯も、大統領自身が銃を持って裁くこと厭わずと発言したもの。
10月21日付英『スカイ・ニュース』:「フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領自身が銃を持って犯罪者らを罰しても良いと申し出」
ドゥテルテ大統領は2016年6月に就任して以降、同大統領自身が、3百万人にも上る麻薬常習者を“根絶やしにすることは喜び”と発言していたこともあって、麻薬犯罪撲滅運動のための乱暴な取り締りによる犠牲者が7千人以上にもなっている。
人権監視団体やアムネスティ・インターナショナルは、PNPからの正当防衛による犯罪者殺害のみだとの主張に対して、超法規的殺人がまかり通っていると非難した。
なお、ドゥテルテ大統領は10月20日、一時的にPNPを同取り締りからはずす決定をしているが、犯罪者取り締りのためには自らが銃を持って罰していくと言い出した。更に、今後6ヵ月ほど様子をみるが、もし犯罪撲滅が停滞するようなら、再びPNPに取り締まらせるとも発言している。
同日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「フィリピン大統領、“誰もやらないなら自分が引金を引く”と犯罪者に警告」
ドゥテルテ大統領は、フィリピンにとって深刻な問題となっていた麻薬犯罪撲滅のため、厳重な取り締りの上で犯罪者10万人をマニラ湾の魚の餌にしてやると豪語して、国民から強い支持を得た。
実際に、当該取り締りの結果、4千人近い麻薬犯罪者が殺害されている。しかし、超法規的殺人を非難されたことから、一時的にPNPを麻薬取り締りからはずした。ただ、代わりに同取り締りの中心に据えたPDEAが頼りにならないとみるや、自らが銃を取って犯罪者らを罰していくと言い出している。
10月22日付フィリピン『マニラ・ニュース』:「フィリピン大統領、自らが銃で犯罪者を撃つと警告」
ドゥテルテ大統領就任以降、PNPによって処罰された麻薬犯罪者は3,900人以上に上るとPNPは発表している。更に、政府発表では、“麻薬絡み”の未解決事件で2,290人が死んでいるとしている。
この超法規的殺人に対して、国連はもとよりローマ教皇フランシスコまでも同大統領を非難したが、フィリピン国民は同大統領を引き続き支持している。
しかし、国際社会からの非難の声が高まったため、ドゥテルテ大統領は10月11日、一旦PNPを麻薬犯罪取り締りから外すこととし、代わりにPDEAに当らせると発表した。
ただ、PNPが16万5,000人の警察官を擁しているのに対して、PDEAの麻薬取締官は僅か2,000人であるため、麻薬犯罪取り締りがうまく運ぶか疑問なしとしない。そこで同大統領は10月21日、自らが銃を持って麻薬犯罪者らを罰しても良いし、また、暫く様子を見て、場合によって再度PNPに同取り締まらせるとも表明した。
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