ブーム社の創業者兼最高経営責任者(CEO)のショール氏は6月6日のパリの航空ショーで、製造に先立って超音速機の名前であるXB-1のデモ機の設計が、性能と安全性の評価試験に合格したと述べた。ブーム社によれば、5社の航空会社から76機の受注を獲得し、予約金として数千万ドル受け取った。5社の名前はヴァージン社を除き明かされていないが、今後数か月内に特別なイベントで公開予定だ。
XB-1は機の先端まで延びる三角の翼を持ちコンコルドに似ている。...
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ブーム社の創業者兼最高経営責任者(CEO)のショール氏は6月6日のパリの航空ショーで、製造に先立って超音速機の名前であるXB-1のデモ機の設計が、性能と安全性の評価試験に合格したと述べた。ブーム社によれば、5社の航空会社から76機の受注を獲得し、予約金として数千万ドル受け取った。5社の名前はヴァージン社を除き明かされていないが、今後数か月内に特別なイベントで公開予定だ。
XB-1は機の先端まで延びる三角の翼を持ちコンコルドに似ている。また、非常に騒音が激しく燃料を消費した英仏開発の超音速旅客機のパイオニアのコンコルドが使用していたアフターバーナーエンジンを捨て去り、ボーイングやエアバスが採用する現代的なターボファンエンジンを使うことで、航空機の静粛化と燃費の大幅な向上を実現した。同社は、現在のロンドン - ニューヨーク間のビジネスクラスの航空運賃である約5000ドルと同額でこの超音速旅客機を運行することができるとしている。時間を節約したい乗客は現在の旅客機がかかる時間の約半分の2.5時間で、ロンドン - ニューヨーク間を行き来することができる。また、サンフランシスコから東京間は現在空港のゲートからゲートまで11時間かかるのを5.5時間で、ロサンゼルスからシドニー間は現在の15時間から7時間足らずで飛行することを目指す。同社は事業資金を調達しなければならない民間企業として、航空会社に利益をもたらし顧客に手頃に利用できるものにしなければならないとしている。同社は3月にデモ機を制作して飛行させるために3300万ドルを調達した。
ブーム社の超音速旅客機開発の支援者の中に、ヴァージン社の創業者のブランソン氏がいる。彼は2016年後半にブーム社が制作する最初の超音速旅客機を10機購入する計画を発表した。彼の経営するヴァージン・ギャラクティック・スペース・トラベル・ベンチャー社は、ブーム社の超音速旅客機の製造および技術サービスならびに飛行試験のサポートも提供する予定だ。
コンコルドは英仏政府により開発さマッハ2で飛行したが、ソ連との超音速機開発で打ち勝つことが目標だったため、実用的で手頃で経済的な航空機ではなく、2003年に大西洋横断の超音速飛行サービスを終了した。その航空運賃は20000ドルと高価で非常に限られた旅行者にしか受け入れられず商業的に成功したとはいえなかった。
ブーム社が超音速旅客機の開発を実現できるかどうか一部の専門家は疑問視している。ブーム社の超音速旅客機は経済性、燃費、実証されていない技術、実現が疑われる飛行時間、超音速旅客機の商業飛行に関する規制等が大きな障害となるとみている。米国や他の多くの国々は超音速旅客機の商業飛行を許可していない。これは大きな衝撃波が地域社会に迷惑をかけるためだ。しかしブーム社は、同機は騒音を最小限に抑えるように設計されており、超音速旅客機の商業飛行の規制を変更するよう働きかけるとしている。また改良されたエンジン、材料の採用や最新の空気力学を使用することで、航空機の運行と維持コストを削減することができるとしている。またエコノミー座席の提供に関しては、すぐには経済的に実現可能でないが、将来は可能性があるとしている。
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