なお、鉄鉱石の世界最大の輸入国の中国では数か月以上も不動産不況が吹き荒れていて、多くの建設現場では作業が中断状態にある。それに伴い、鉄鉱石の需要は低下している。...

なお、鉄鉱石の世界最大の輸入国の中国では数か月以上も不動産不況が吹き荒れていて、多くの建設現場では作業が中断状態にある。それに伴い、鉄鉱石の需要は低下している。

そのため、鉄鉱石の価格は下がり続けている。8月19日月曜日以前での鉄鉱石1トン当たりの市場価格は、100ドル（＝約15000円）以下をマークし、2022年以来の最低値となった。この鉄鉱石価格低下の影響はすでに各方面に現れてきており、今年初めから、世界の鉄鉱石の4大採掘企業への株式資本投資総額が、1000億ドル（約15兆円）以下に低下している。オーストラリアの鉄鉱石採掘企業においても鉄鉱石価格低下の影響を受けている。ちなみに、世界の2大採掘企業であるリオティント社とBHP社の株価は、年頭から現在までに約20%の低下を記録しているという。

鉄鉱石の市場価格低下は、世界１の鉄鉱石生産量を誇るオーストラリアに暗い影を落としている。財務大臣のジム・チャルマー氏は国庫への歳入額が、数十億ドル（＝数千億円）分、予算より不足することを危惧している。今のところ、財務省としては、今後の2～3年間は毎年、税収入が20億ドル（＝約3000億円）少なくなると予測している。

一方、中国側の巨大製鉄企業の会長は、厳しい‘冬の時代’を我慢強く耐えるしかないと考えている。