【Globali】
安倍首相のインド訪問(2015/12/14)
安倍首相は12月11日から3日間の日程でインドを訪問した。この訪問では安倍首相がヒンドゥー教の聖地バラナシでの宗教儀式に参加するなどして、日印双方が世界に対し友好関係をアピールするものとなった。12日には両首相の会談後、ムンバイ-アーメダバード間の新幹線建設を日本方式で行うこと及び防衛関係の協定に調印したほか、日本にとって初めて核拡散防止条約未加盟国との原子力協定締結原則合意に達した。中国の軍事外交面での存在感が高まる中、アジア第二第三の経済大国が第一の大国中国をけん制するという両国の思惑が合致して関係強化に結び付いた。今回の訪問が世界でどう見られているのかメディアの報道を見てみた。
12月12日付米
『VOA通信』は、「日印両国 商談合意で関係強化」という見出しで、日印両国がインド初の高速鉄道建設、武器売却に途を開く防衛協定及び原子力協定締結の合意書に調印して友好関係を強化したと報じた。モディ首相の就任以来ナショナリストである両首相の親密化が進み、経済、安全保障面の両国関係が大きく進展した。安倍首相は今回の合意について両国間の協力の新しい時代と表現し、「強いインドは日本にとって有益であり、強い日本はインドにとって有益であるというのが私の考えである。...
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12月12日付米
『VOA通信』は、「日印両国 商談合意で関係強化」という見出しで、日印両国がインド初の高速鉄道建設、武器売却に途を開く防衛協定及び原子力協定締結の合意書に調印して友好関係を強化したと報じた。モディ首相の就任以来ナショナリストである両首相の親密化が進み、経済、安全保障面の両国関係が大きく進展した。安倍首相は今回の合意について両国間の協力の新しい時代と表現し、「強いインドは日本にとって有益であり、強い日本はインドにとって有益であるというのが私の考えである。」と述べた。防衛協定の調印は水陸両用飛行艇US2の売却に途を開くことになり、売却が成立すれば2014年に安倍首相が武器輸出禁止を解除して以来最初の大型売却となる。原子力協定締結のための合意は日本のインドに対する信任投票となる。モディ首相は「この決定が日本にとって重大なものであることを理解し、この合意を十分尊重することを約束する。」と述べた。同通信は、日印両国の関係強化は中国封じ込めのためでもあるとするアナリストの見解も紹介している。モディ首相は「インドの経済発展を実現するうえで日本ほど重要な友好国はない。アジア及び太平洋インド洋地域の今後の進路にとって日印の戦略的パートナーシップほど大きな影響を与えるものはない。」とも述べたと報じている。
12月12日付英国
『メールオンライン』(
『ロイター通信』の引用)は、「インド日本方式新幹線獲得へ 防衛、原子力で関係強化も」という見出しで安倍首相のインド訪問を伝えたが、
記事のトーンは全体的にクールなもの。新幹線については120億ドルの輸出信用供与を受けるが、その条件は金利0.1%、期間50年、返済据置期間15年という極めてインドに有利なものだというインド外相の発言を伝えている。また、原子力協定についても技術的、法的意見の隔たりで協定調印に至らなかった。今後協定の最終調印予定についても時期は未定というインド外相の発言があった。更には、水陸両用飛行艇US2の売却についても交渉が行われたが、引き続き交渉中と外相は述べた。
12月13日付インド
『デカンクロニクル』は、「モディ-安倍 友情というビジネス」という見出しで、両首相の相性が良いことで信頼関係が生まれ今回の両国関係の大きな進展に繋がったと分析している。またもう一つの要因は両国が中国をけん制するという共通の利害を持っているためであるとしている。
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