一方、4月6日の『The Washington Post』は、トランプ米政権の軍事的対応について報じている。トランプ政権は数十人の一般市民を殺した化学兵器攻撃を受けてシリアのアサド政権に対する軍事的報復を計画しているが、シリアのロシア軍の存在とイスラム国に対してシリアに配備された米軍が事態を複雑にしている。4月5日夕方から6日早朝にかけてマティス米国防長官、ティラーソン米国務長官、マクマスター米国家安全保障問題担当大統領補佐官はシリア問題への対応を協議した。...
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一方、4月6日の『The Washington Post』は、トランプ米政権の軍事的対応について報じている。トランプ政権は数十人の一般市民を殺した化学兵器攻撃を受けてシリアのアサド政権に対する軍事的報復を計画しているが、シリアのロシア軍の存在とイスラム国に対してシリアに配備された米軍が事態を複雑にしている。4月5日夕方から6日早朝にかけてマティス米国防長官、ティラーソン米国務長官、マクマスター米国家安全保障問題担当大統領補佐官はシリア問題への対応を協議した。米統合参謀本部は6日夕方に爆撃の内容について協議する予定だが、最も可能性が高いのは地中海の海軍艦艇からトマホークミサイルを発射することである。ある米当局者は即時の軍事行動を提案したが、別の当局者はシリアで高度な防空システムを保有しているロシアへの対応など、第2次、第3次的影響について懸念した。米国はすでにミサイル駆逐艦と数十機の攻撃機を艦載した空母やトマホーク巡航ミサイルを発射することができる船舶を中東に展開している。さらに、同地域の海軍はハリアージェット機と戦艦を保有する。トルコの空軍基地からはイスラム国家に対して毎日航空機が飛んでいる。米国当局者は、可能な対応を検討する際に考慮すべき点の1つはシリア国内に何百も展開する米軍だとし、これらの軍隊を守るための措置があると述べたが詳細を述べることを拒否した。また、米国軍の航空機はロシアが提供するシリアでの大気防御網と高度な地対空ミサイル網と闘わなければならない。シリア西部のクメイミム空軍基地周辺にあるロシアのミサイルは、より高度なレーダーシステムを持ち、およそ90マイルの範囲を持ち米国の巡航ミサイルを標的にするために使用することもできる。
同じく4月6日の『The Washington Post』は、米軍のシリア攻撃におけるロシアへの対応について報じている。トランプ米大統領のシリアのアサド政権攻撃後、大きな問題は次に起きることだとしている。オバマ大統領がシリアのアサド政権に対する空爆を提案した2013年と今回の最大の違いは、今回は紛争を拡大するリスクがはるかに大きいことだとしている。トランプ米政権が直面する2013年時との最大の違いは、戦場でのロシア軍の存在と、米国の飛行機を撃墜できるロシアの防空システムだ。今日、ロシアの軍隊はシリア軍と混在しており、シリアの軍事目標の爆撃はロシアの軍事的犠牲者を生む可能性がある。もうひとつの大きな懸念は、米国の飛行機を標的にしておらず、米国とシリアの共通の敵であるイスラム国家との戦闘に重点を置いているシリアとロシアによる防衛システムの問題だ。米国と連合軍の航空機は過去2年間、防空システムの周りを飛行してきたが、シリアのアサド政権に対して爆撃を開始すれば、米軍と連合軍に対し防空システムを使う口実となる。米軍機が撃墜された場合、あるいはシリアとロシアの防空システムで射撃された場合、米国はシリアの内戦に巻き込まれる可能性があり、米国人の命を危険にさらすだけでなく、イスラム国家との戦いをはるかに困難にする。ある専門家はトランプ米大統領が、爆撃がアサド政権の化学兵器への警告であり、内戦への影響を与えるものでないとロシアに対して保証したり、また、爆撃で米国がシリアの内戦を終わらせるとの妥協をロシアと見つけ出すきっかけにすることで事態収拾できる可能性があるとしている。