5月9日、韓国大統領選挙:首位を走るムン候補へのインタビュー(2017/05/03)
5月9日の韓国大統領選挙投票日まで1週間を切ったが、5月2日の
『the hankyoreh』 、
『Nikkei Asian Review』 が現在の状況を伝えている。4月30日に発表されたRealmeterの世論調査で、人権派弁護士で韓国の革新系「共に民主党」のムン候補は42.6%(前回比-1.8%)、中道系「国民の党」のアン候補は20.9%(前回比-1.9%)の支持率となった。保守系「自由韓国党」のホン候補は16.7%(前回比-+3.7%)と急上昇している。他の世論調査でもムン候補はアン候補を10%以上リードしている。ムン候補は当初かなり大きなリードを保っていたが、アン候補が4月上旬に追いついた。しかしムン候補が一貫して40%前後を維持するのに対し、アン候補は投票日が近づくにつれて、ピーク時の30%後半から10%以上下落して、ホン候補に支持が流れている。
米国のシリアへのミサイル攻撃を受けて次は北朝鮮への攻撃だとの懸念からアン氏の支持率は4月初めから急上昇した。しかし、保守派の支持を得るため韓国の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)の配備について当初の反対から支持へ転換したことで革新系や中道系の支持を失ったことや北朝鮮の核・ミサイル問題が和らいだこと、TV討論会での応答等でアン氏への支持率は低下した。ムン候補に勝つため「国民の党」、「自由韓国党」、他の保守系政党が候補者の一本化を検討したが候補者の反対により実現していない。...
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米国のシリアへのミサイル攻撃を受けて次は北朝鮮への攻撃だとの懸念からアン氏の支持率は4月初めから急上昇した。しかし、保守派の支持を得るため韓国の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)の配備について当初の反対から支持へ転換したことで革新系や中道系の支持を失ったことや北朝鮮の核・ミサイル問題が和らいだこと、TV討論会での応答等でアン氏への支持率は低下した。ムン候補に勝つため「国民の党」、「自由韓国党」、他の保守系政党が候補者の一本化を検討したが候補者の反対により実現していない。ムン候補はまだ決定的なリードではないが、地元メディアはもはやムン氏とアン氏との直接対決ではなくなっていると報じている。
また5月2日の
『The Washington Post』 は次期韓国大統領が有力なムン候補とのインタビューを報じている。ムン候補は米国による韓国内へのTHAADの配置について、韓国大統領選挙中という政治的に不安定な時期に韓国の民主的な政治決定プロセスを経ず、環境評価や公聴会を経ることなく早急に配置した米国に対して、自分たちの選挙に影響を与える意図はないとは思うがとしながらも非難している。
また韓国内の世論も保守革新問わずTHAADの配置について批判が起きている。THAADは4月24日の週の夜中に配置され5月1日に稼動し、韓国内での抗議行動を引き起こした。これに対し米軍は当初の計画通り設置、稼動していると述べている。THAADは北朝鮮のミサイルを撃墜するように設計されているが、韓国人の多くは他の国も標的にするのではと恐れている。ムン候補はトランプ米政権の行動が韓国の反米感情を高め、両国の安全保障同盟を複雑にすると警告した。
THAADに関する米韓の合意では韓国が土地を提供し米国が初期費用と維持費を提供するという合意だったにもかかわらず、 トランプ米大統領がTHAAD費用として10億ドルを韓国に支払わせると述べたことは韓国人の怒りを買いムン候補の当選の可能性を高めた。THAADと、北朝鮮の最近の挑発と、トランプ米大統領の厳しい要求のおかげで、外交政策は韓国大統領選挙の最重要テーマとなっている。
北朝鮮への「太陽政策」を支持するムン候補は、南北工業団地の再開や、韓国が先導して北朝鮮問題への対応、有事には米国ではなく韓国主導で軍事同盟を運営したいとしているが、米国の専門家はこれらを夢のような話だとしている。ただムン候補は米国との安全保障同盟の再調整はしないとしている。また北朝鮮の非核化を進めるため、平壌訪問も辞さないと述べた。これは今週適切な状況下で北朝鮮のキム朝鮮労働党委員長と会談すると述べたトランプ米大統領の発言と重なるものがある。ムン候補は北朝鮮に対する戦略的忍耐が失敗であったという点についてトランプ米大統領と一致していると強調し、彼を合理的な人物であると評した。
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北朝鮮国連副大使、核戦争を警告(2017/04/18)
4月17日の
『CNN』 は報じている北朝鮮国連副大使が記者会見で核戦争を警告したことを報じた。キム北朝鮮国連副大使は、4月17日国連で緊急記者会見を開き、米国の戦争計画や脅しや威嚇をこれまでに無い調子で非難した。この会見はペンス米副大統領が北朝鮮韓国間の非武装地帯を訪問後、北朝鮮に対し米国の決定や強い軍隊に挑戦しないよう警告してから数時間後に開催された。
キム北朝鮮国連副大使は記者団に対し、米国はシリア攻撃で世界の平和と安定を妨げ、朝鮮半島でも攻撃を行おうとしており、主権国家への侵略だと主張し国際秩序を守るよう求めた。また北朝鮮は米国からのいかなる戦争態勢にも対応する用意があり、米国のミサイルや核攻撃に対し、同じもので対応するとしている。空母カールヴィンソン主導の米海軍の空母打撃群が朝鮮半島に送られたことでトランプ米政権が北朝鮮の軍事施設に対して先制攻撃を行う可能性があるという憶測を強めたことに対し、北朝鮮を侵略する米国の無謀な行動は深刻な段階にあると述べた。...
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キム北朝鮮国連副大使は記者団に対し、米国はシリア攻撃で世界の平和と安定を妨げ、朝鮮半島でも攻撃を行おうとしており、主権国家への侵略だと主張し国際秩序を守るよう求めた。また北朝鮮は米国からのいかなる戦争態勢にも対応する用意があり、米国のミサイルや核攻撃に対し、同じもので対応するとしている。空母カールヴィンソン主導の米海軍の空母打撃群が朝鮮半島に送られたことでトランプ米政権が北朝鮮の軍事施設に対して先制攻撃を行う可能性があるという憶測を強めたことに対し、北朝鮮を侵略する米国の無謀な行動は深刻な段階にあると述べた。またトランプ米大統領がより良い行動を北朝鮮に求めたことへのコメントを求められたが、それに答える代わりに米国の北朝鮮政策とペンス米副大統領の非武装地帯訪問について疑問や批判を延々と述べた。また世界最大のホットスポットと呼ばれる朝鮮半島に核の戦略的物資を導入し、朝鮮半島の平和と安全に脅威をもたらし戦争の瀬戸際に押しつけた米国を非難し、米国の凶悪な行動が致命的な結果をもたらすことに米国は責任を負わねばならないと述べた。
国連報道官は米朝間の緊張の高まりを懸念しており非核化の対話に戻るため、外交努力を倍増させるよう各国に求めていると述べた。北朝鮮は4月下旬に国連安全保障理事会がティラーソン米国務長官の議長で会議を開催することに怒りを表明している。北朝鮮は米国の横暴について独自の聴聞会開催を国連安全保障理事会に求めているがミサイルや核実験に関する多数の決議に違反した北朝鮮を国連安全保障理事会は無視している。
一方、4月17日の
『The Washington Post』 はペンス米副大統領の韓国訪問等について報じている。 ペンス米副大統領はシリア、アフガニスタンでの最近の爆撃を引き合いに出し、核兵器開発計画を推進することで米国の軍事力に挑戦してはいけないと、北朝鮮との軍事境界線を訪問後ソウルで4月17日北朝鮮に警告した。これはトランプ米政権が北朝鮮に対する軍事行動を検討しているという見方を復活させる可能性がある。ペンス米副大統領はトランプ米政権が北朝鮮に核兵器を平和的な手段で放棄させるよう説得したいと述べたが、同時にすべての対応策が準備されているとの米政府の警告を繰り返した。
一方、スパイサー米大統領報道官はシリア攻撃のように、適切と判断すればトランプ米大統領は決定的な行動をとるとしているが、後にシリアと北朝鮮間の類推を多くしすぎないようにとけん制した。また米国務省の関係者は、米国は北朝鮮がミサイル発射計画を中止し交渉に参加する意思があることを表明するまで、北朝鮮を経済的、政治的、外交的にさらに孤立させるよう引き続き努力すると述べた。
しかし、北朝鮮への攻撃は北朝鮮と密接な関係の中国と米国間の外交的危機を起こす可能性が高い。ル・カン中国外務省報道官は、緊張緩和のために北朝鮮との国際協議を呼び掛けた。トランプ政権は非常に危険な道を進んでいるとラブロフ露外相も警告し最近のシリアのような一方的な行動はないことを願っていると述べた。
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