1. 仕組み
3月13日の
『Bloomberg』、3月9日の
『Business Insider』は仕組みについて紹介している。フランス政治の方向性決定には、国民は投票を大統領選挙2回(4/23、5/7)、下院である国民議会選挙2回(6/11、6/18)の計4回行う必要があるとしている。大統領選挙に立候補するには500名以上の市長、国会議員等の選挙で選ばれた者からの署名が必要。第1回の投票で過半数を確保できればそのまま当選となるが、できなければ上位2名により第2回の投票が行われ、票が多いほうが大統領となる。大統領は行政権を持つが立法権は国会にあるため、大統領が安定した政権運営をするためには、続く2回の国会議員選挙で与党議員を多く確保することが大切であるとしている。
2. 現状
今回の大統領選挙の候補者数は11名。最新の各種世論調査による上位3候補は以下の通り。
(1)マリーヌ・ル・ペン:極右政党の国民戦線党首。反EU、反移民、フランス第一主義を掲げ、右派のみならず左寄りの労働者階級にも訴える。
(2)エマニュエル・マクロン:中道系の政治運動「前進」設立者。前経済・産業・デジタル相。国による保護とイノベーションのための企業寄りの規制緩和策を組み合わせた政策を掲げる。
(3)フランソワ・フィヨン:共和党。元首相。5年ぶりに主流の中道右派の政権復帰を目指す。公共支出・公務員数の削減を提唱。しかし家族を議員秘書として雇用するも勤務実態がほとんど無かったとのスキャンダルが暴露され窮地に陥るも選挙運動を継続中だが、候補辞退を周囲から勧められている。
3月21日の
『REUTERS』によれば、3月20日の候補者によるテレビ討論会が開かれた後に行われた調査会社エラブが21日公表した世論調査では第1回投票での支持率はマクロン候補26%(前回調査より0.5%上昇)、ル・ペン候補24.5%(前回調査より0.5%ダウン)で、第2回投票での支持率はマクロン候補64%、ル・ペン候補36%となっており、現在の状況では。ル・ペン候補が第2回投票で勝利する可能性は低く、マクロン候補が勝利する可能性が高い。
また同じくエラブの3月10日の世論調査によると、フランス人の約72%がEU離脱に反対で、うち44%は強く反対と回答している。一方、EU加盟は、利益よりも不利益の方が多いとの回答が約37%、利益の方が多いが約31%、どちらとも言えないが32%となっている。
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シリア難民法案に続いて、アメリカでビザが免除されていた国からの渡航の制限も厳しくしようという法案が下院で圧倒的多数で可決した。過去5年間にシリアやイラクへの渡航歴があるとスクリーニング要件を満たす等というものだ。共和党のトランプ氏がイスラム教徒への入国禁止を提案し騒然とする中、アメリカは警戒感を募らせている。各紙は以下の様に報道している。
12月9日付け
『REUTERS』
下院は火曜、ビザなし渡航を許可している38か国の国民の米国への入国制限を強化する法案を圧倒的多数で可決した。先月13日のパリでのテロ事件以来2件目となる国家安全保障法案で、407対19での可決となった。ビザを免除されている主に西欧諸国からの渡航者が米国への渡航ビザを取得するためには、過去5年間シリア、イラン、スーダンへの渡航履歴がない事などが条件となる予定だ。またその他の条件として、米国のテロ容疑者について当局と情報を共有するプログラムに加盟している国に限る。この法律はセキュリティの隙を埋め危険人物を阻止する水際対策として効果がある、と国土安全保障委員会会長で共和党のマイケル・マコール氏は述べている。1986年、観光客増加と同盟国との関係強化のため設けれらた当プログラムにより、年間約20万人が訪米、90日間の滞在が認められている。
他の安全保障法案は、シリアとイラクからの難民への更に厳しい身元調査要件を課す厳しいものだ。
242名の共和党議員に対し、民主党議員は僅か47名がこの法案に賛成、バラク・オバマ大統領は拒否権を行使した。
水際対策についての議論は、ISに傾倒したイスラム教徒の夫婦による銃乱射事件以来、より白熱している。共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏は、イスラム教徒の米国入国を禁止することを提案、この発言は国際的な非難を招いた。
上院はいずれかの措置にも評決を予定しておらず、今後数日中に両法案を議会が1兆ドル支出法案に含められる予定である。
政府はビザ免除プログラム厳格化を支持すると表明している、と報道している。
12月9日付け
『YAHOO NEWS』は次のように報道している。
ビザ免除渡航者は全員インターポールのデータベースと照合され、ビザ免除国からの渡航者には生体情報が搭載された「電子パスポート」の発行が義務付けられる。
「ビザ免除の西欧人のうち5000人以上が過去5年間にイラク、シリアへ渡航履歴が確認され、見直しが必要だ。」と多数党リーダーのケビン・マッカーティー氏は述べている。年間20万の渡航者は国土安全保障省のオンラインシステムを通して身元調査されており、政府は最近、プログラムの一部の改良を発表した。
しかし、2004年の国土安全保障監察官の報告書によると、過去のビザなし渡航者の中には、2001年12月にマイアミにパリからのフライトに搭乗し、爆弾を仕掛けようとした「靴の爆撃機」のリチャード・リードのようなテロリストも含まれている。また2001年2月、9月11日以来20人目のハイジャッカー、ザカリア・ムサウイもフランスのパスポートでロンドンからシカゴ行に搭乗している。
両党の議員らは、政府が認める法案に賛成している。パリのテロによるシリア難民対策で連邦議会が法案を可決して以来珍しく二党連携している。
シリア難民法案は上院で進展していないが、一方、ビザ免除法案は現在上院での最終調整を経て年末の予算法案に確実に加わる様相となっている。
これとは別に議員の間では、カリフォルニア州サンバーナディーノでの事件でマリク容疑者が許可された婚約者ビザのプログラムが議論されており、国土安全保障省はすでにそのプログラムの見直しを発表している。民主党議員の中には、法案が可決する前にビザ免除法案に反対していた声もあった。ミネソタ州民主党議員キース・エリソン氏は、ビザには例外を認め、例えば、ジャーナリストや研究者等の権利は守るべきであり、我々は焦点を国や国籍でなくテロに絞るべきだ、と述べたとされる。しかし、ほとんどの民主党議員は共和党と法案可決で一致した。「これは良い法案である、よいタイミングだ。」と、ミシシッピ州トップの民主党議員で国土安全保障委員会のベニー・トンプソン氏は述べている。
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