欧州、半導体の生産体制を強化(2022/03/24)
アジアからの電子部品の供給不足が、ヨーロッパの工場に打撃を与えている。この問題を解決するために、欧州は大規模な投資を行い、大陸での半導体生産を強化していく方針を打ち出した。
『OANN』 によると、イタリアのマリオ・ドラギ首相はイタリア議会で、欧州圏の経済強化と主要産業の保護を目的とした幅広い取り組みの一環として、半導体の生産を増やすことが欧州諸国にとって優先事項であると述べた。ドラギ首相は、「輸送、産業機械、防衛など多くの戦略的産業に不可欠な半導体の不足は、特に大きな打撃となっている」と述べた。さらに、2030年までに世界のチップ生産量の10%から20%にシェアを拡大することが欧州の野望であると述べた。...
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『OANN』 によると、イタリアのマリオ・ドラギ首相はイタリア議会で、欧州圏の経済強化と主要産業の保護を目的とした幅広い取り組みの一環として、半導体の生産を増やすことが欧州諸国にとって優先事項であると述べた。ドラギ首相は、「輸送、産業機械、防衛など多くの戦略的産業に不可欠な半導体の不足は、特に大きな打撃となっている」と述べた。さらに、2030年までに世界のチップ生産量の10%から20%にシェアを拡大することが欧州の野望であると述べた。
仏『ウエストフランス』 によると、欧州委員会は2月上旬、不足が指摘されている半導体分野のアジアへの依存度を下げるため、約420億ユーロ(約5兆6千億円)の公的資金を半導体産業に放出することを提案した。欧州委員会のティエリー・ブルトン委員は、この計画は、2030年までに「欧州の半導体生産を4倍にすることで、欧州の工場の供給安定性を保証する」ものだと説明している。
半導体研究の最先端を走ってきたEUは、ここ数十年で市場シェアが低下し、世界の生産量のわずか10%にまで落ち込んでいる。しかし、過去3年間、多くの工場が閉鎖に追い込まれ、自動車産業を停滞させた半導体の不足が業界関係者を目覚めさせた。中国をめぐる地政学的な緊張やパンデミックによって、主に台湾や韓国から輸入している不可欠な部品をヨーロッパで生産する必要性が認識されるようになった。
EUの半導体生産強化計画を指揮っているブルトン委員は、「欧州は初めて、競争政策、特に国家補助に関するルールを変えようとしている」と述べている。半導体は、携帯電話などの多くの日用品に不可欠であるだけでなく、急成長するデジタル経済の中心であるデータストレージセンターにも使用されている。コンサルティング会社「Yole Développement」によると、昨年、半導体の世界市場規模は約6千億ユーロ(約80兆円)に達した。ブリュッセルによると、2030年には1兆ユーロ(約130兆円)に達する可能性があるという。
欧州の計画は、同じく自国内での生産体制の強化を始めた米国に匹敵するものである。欧州は現在、半導体に「二重の依存」をしている。半導体を設計する米国のインテル、マイクロン、Nvydia、AMDといった企業に依存している一方で、世界最大の半導体メーカーTSMCを擁する台湾、サムスンやSKハイニックスといった代表的な企業を持つ韓国などに依存している。
ブルトン委員は、EUは、その必要量の半分以上を台湾に依存していると言う。これは、例えば中国との軍事衝突が発生した場合、大きな経済的リスクとなる。「もし台湾が輸出できなくなったら、世界中のほとんどの工場が3週間で閉鎖されるだろう」と警告している。
仏技術系ニュースサイト『Techniques De l’Ingenieur』 は、欧州はこうした投資や計画を進めても、「TSMC」のような企業を生み出すことは難しいと伝えている。デジタルテクノロジーの専門家ルイ・ノジェス氏は、「そのような時間がない。数百億の投資とノウハウが必要になる。むしろ、アジアからの工場を歓迎することが、正しいアプローチだ」と述べている。台湾や韓国が「ヨーロッパに工場を持てば、中国と台湾の戦争や紛争が起きても、地理的に守られる。特にヨーロッパでは、行政のお役所仕事と、工場がどこに設置されるかをめぐっての国同士の争いがあり、これらのプロジェクトが実現するまでに4、5年かかるため、遅れをとってはならない。」と警告している。
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日本の入国禁止措置、早めの緩和を求める声も(2022/01/26)
海外からの新型コロナウイルスの流入を防ぐために日本が国境を閉鎖して2年が経った。現在、約15万人の留学生がいまだに入国できずいる。そして大学や企業も、人材不足に悩み、海外渡航ができないために行き詰っている。
米
『OANN』 は、留学生や海外からの研究者の不在は、大きな研究所から小さな私立大学まで、あらゆるところで影響が出ており、人口減少に悩む日本にとって、海外の人材とその学費の重要性を浮き彫りにしている、と伝えている。岸田首相は、国境閉鎖に好意的だが、経済界のリーダーからは、特に労働市場が逼迫していることから、経済への影響に警告を発する声が出ている。
一方、日本の「ソフトパワー」、特に世界における日本の学術的信用に対する長期的な影響については、未知数である。...
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米
『OANN』 は、留学生や海外からの研究者の不在は、大きな研究所から小さな私立大学まで、あらゆるところで影響が出ており、人口減少に悩む日本にとって、海外の人材とその学費の重要性を浮き彫りにしている、と伝えている。岸田首相は、国境閉鎖に好意的だが、経済界のリーダーからは、特に労働市場が逼迫していることから、経済への影響に警告を発する声が出ている。
一方、日本の「ソフトパワー」、特に世界における日本の学術的信用に対する長期的な影響については、未知数である。理化学研究所では、遺伝学者のピエロ・カルニンチ氏が、その影響を感じているという。日本ではゲノム研究に不可欠なバイオインフォマティクスの研究者が不足しているが、過去2年間は外国からの人材でその不足分を埋めることができなかったという。その結果、研究室ではこの種の分析が減速傾向にあるという。カルニンチ氏は、「1つの国ですべての専門知識を持っているわけではないので、科学の国際化は間違いなく重要だ。」と述べている。
しかし、日本はG7の中で最も厳しい水際対策の措置を講じており、2020年3月以降、すべての非居住者の新規入国を事実上禁止している。主要国の中でこれほど閉鎖的なのは、ゼロ・コロナ政策を取っている中国だけである。ある政府系団体の調査によると、日本は昨年、注目すべき科学論文の発表で世界第10位に転落し、9位のインドよりも順位が低かった。20年前は4位だった。
米『フォックスニュース』 も、日本の厳しい国境管理は、科学的ではないと主張する留学生や学者からの批判を引き起こしていると報じている。
日米交流団体「ジャパン・ソサエティー」代表のジョシュア・ウォーカー氏が率いる学者や日米の専門家のグループは、岸田首相に対し、予防措置の下、外国からの学者や学生の入国を再び認めることを求める嘆願書を提出した。日米研究の学者や専門家数百人が署名した岸田氏への嘆願書は、教育者、学生、学者が日本に入国して学術活動を行えるように国境管理を緩和するよう要請している。彼らの多くは日本での研究を断念し、韓国を含む他の国に目を向けざるを得なくなっているという。
嘆願書は、「彼らは、日本と他の社会との架け橋になるのです。彼らは将来の政策立案者であり、ビジネスリーダーであり、教師でもあります。彼らは、日本の国益を支える日米同盟やその他の国際関係の基礎となるのです。閉鎖は日本の国益と国際関係を損ねるものです。」と訴えている。
日本は最近、日本政府の奨学金で87人の学生が入国できるようにすることを発表したが、専門家たちは、外国政府の奨学金を持つ学生で日本に入国できないでいる人がまだ沢山いると指摘している。
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