米国、合成オピオイド・フェンタニルの過剰摂取が18歳~45歳の死因第1位に (2021/12/21)
米国政府の公式データによると、フェンタニルの過剰摂取は、18歳から45歳の成人の死因の第1位に急浮上した。新型コロナウイルス、自動車事故、癌、自殺よりもフェンタニルの過剰摂取で死亡した成人のほうが多くなっている。フェンタニルはごく少量でも死に至る合成オピオイドである。麻薬取締局(DEA)によると、フェンタニルが米国に流入する主な供給源はメキシコと中国だという。
2020年から2021年の約2年間で、18歳から45歳の約7万9千人がフェンタニルの過剰摂取で死亡したことが、オピオイド啓発団体Families Against Fentanylのデータ分析で明らかになった。一方、2020年1月1日から2021年12月15日の間に、18歳から49歳の間で新型コロナウイルスによる死亡は約5万3千人であった。
「Families Against Fentanyl」の創設者ジェームス・ロー氏は声明で、「これは国家的な緊急事態だ。...
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2020年から2021年の約2年間で、18歳から45歳の約7万9千人がフェンタニルの過剰摂取で死亡したことが、オピオイド啓発団体Families Against Fentanylのデータ分析で明らかになった。一方、2020年1月1日から2021年12月15日の間に、18歳から49歳の間で新型コロナウイルスによる死亡は約5万3千人であった。
「Families Against Fentanyl」の創設者ジェームス・ロー氏は声明で、「これは国家的な緊急事態だ。アメリカの若年層、何千人もの無防備なアメリカ人が毒殺されている。違法なフェンタニルが薬物関連死の急増を引き起こしていることは広く知られている。この大惨事に対する新しいアプローチが必要だ。」と述べている。
米国麻薬取締局は11日、スナップチャットなどのソーシャルメディア上で致死性のオピオイドを含む偽の処方錠剤が販売されていることが急増していると発表した。専門家たちは、コロナウイルスの感染拡大の影響と、最近のフェンタニルの過剰摂取の増加には相関関係があるとみている。
フェンタニルの過剰摂取による死亡者数は、2019年4月から2021年4月までの2年間で3万2754人から6万4178人に倍増している。2021年の最初の5カ月間だけで、フェンタニルの過剰摂取による死亡が4万2600件以上報告されており、これは2020年の同時期と比較して、1カ月あたり1千件以上のフェンタニルによる死亡が増加したことを意味する。
CDCの予備的データによると、薬物過剰摂取による死亡者数は2021年に10万人を突破する見込みで、2020年4月から2021年4月の間に28%増加することになる。バイデン大統領は2日、違法薬物の取引や生産に従事する外国人に対する制裁を許可する大統領令を発表した。一方で、南部国境で大量の不法移民が入国し続けており、税関国境警備局(CBP)は国境でのフェンタニル押収量は2021年に過去最高を記録したと発表している。
米『OANN』 によると、麻薬取締局のアン・ミルグラム長官は19日、フェンタニルが混入した製品に警鐘を鳴らした。長官によると、中国の悪質な業者が合成麻薬を製造するために材料をメキシコの麻薬カルテルに送っており、カルテルはフェンタニルを混入した製品を大量生産し、米国に密輸しているという。長官は、「ごくわずかな量が致命的になる可能性がある。CDCの報告では、2ミリグラムが致命的な量になり得る。ペンの先端に収まるような量である。」と説明している。
長官はまた、カルテルが大規模なソーシャルメディアキャンペーンを通じて、フェンタニル製品を実際の処方薬として偽って宣伝していると強調した。「スナップチャット、ティックトック、フェイスブックなどのソーシャルメディアサイトで毎日、麻薬が売られていることがわかっている。スマートフォンを使えば、子供部屋でも、車の中でも、どこにいても、密売人もそこにいる。」と警告している。
ニューメキシコ州メディア『KRQE』 によると、テキサス州とメキシコの国境で建設される予定の壁の着工が本格的に始まるのを記念して、テキサス州知事グレッグ・アボットは18日にリオグランデシティで式典に参加した。式典でアボット知事は、「テキサス、カリフォルニア、ニューヨーク、イリノイ、フロリダを合わせたすべての男性、女性、子供を殺すのに十分なフェンタニルが発見された」と述べ、「バイデン大統領は、テキサスで開かれた国境政策を取っていることによって、人々の死を助長してきた。」と批判した。そして、「テキサス州は、州として、また米国の主権を確保し保護するために、国境に壁を建設するという前代未聞の行動に出ている。この前代未聞の行動を取る必要があるのは、たった一つの理由からだ。それは、アメリカ合衆国の移民法を執行するために、バイデン政権が、憲法が要求する、また議会が可決してきた法律が要求する仕事をしてこなかったからだ。」と糾弾した。
テキサス州公有地管理局のブッシュ局長も式典で、「我が州はかつてないほどの国境の危機に直面している。テキサス州民の命が危険にさらされ、財産が損なわれ、記録的な量の有害な薬物が地域社会に流入しているにもかかわらず、政府はこの危機を無視し続けている。壁が建設され、国境が安全になるまで、私たちは立ち止まらない。」と述べた。
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米ウィスコンシン州クリスマスパレード事件、犯人は1週間前に保釈されていた(2021/11/24)
アメリカ・ウィスコンシン州のクリスマスパレードの参加者にSUV車で突っ込んだ疑いのある男が第一級殺人容疑で訴追された。22日、当局はダレル・ブルックス・ジュニアが単独で行動し、事件がテロと関連している証拠はないと発表していた。
米メディア
『OANN』 と
『ミルウォーキー・ジャーナル・センティネル』 によると、ブルックス・ジュニア容疑者には、20年前まで遡る長い犯罪歴の持ち主であり、裁判所の書類によると、ネバダ州では性犯罪者として登録されている。数日前にはガソリンスタンドで自分の子供の母親を車でひいたとされた後、保釈されたばかりだった。
ブルックス・ジュニア容疑者は39歳で、ウィスコンシン州ミルウォーキー市の北部に住み、女性と子供をもうけていたが、その後彼らとはほぼ関係を切っていた。...
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米メディア
『OANN』 と
『ミルウォーキー・ジャーナル・センティネル』 によると、ブルックス・ジュニア容疑者には、20年前まで遡る長い犯罪歴の持ち主であり、裁判所の書類によると、ネバダ州では性犯罪者として登録されている。数日前にはガソリンスタンドで自分の子供の母親を車でひいたとされた後、保釈されたばかりだった。
ブルックス・ジュニア容疑者は39歳で、ウィスコンシン州ミルウォーキー市の北部に住み、女性と子供をもうけていたが、その後彼らとはほぼ関係を切っていた。
今回の事件が起きたウォーケシャの警察署長ダン・トンプソンによると、ブルックス・ジュニア容疑者は直前に「家庭内の騒動」に巻き込まれていたという。しかし、車がパレード参加者の群れに突っ込む前に警察が追跡したことはなく、この出来事がテロ行為であった可能性も低いとしている。
ブルックス・ジュニア容疑者は、他人の安全を脅かした罪でこの2年以内に3回起訴されており、最近では家庭内暴力事件の一環として11月5日に起訴され、警官への抵抗または妨害の罪でも起訴されていた。容疑者の子供の母親である女性が警察に語ったところによると、事件の前、ブルックス容疑者は女性と喧嘩した後に女性を尾行し、ガソリンスタンドの駐車場を歩いていた女性を、わざと「車で轢いた」と証言している。その女性は怪我をして入院したと裁判記録に残っている。
ミルウォーキー郡保安官事務所によると、容疑者は直近の事件で11月11日に1千ドル(約12万円)の保釈金を支払い、11月16日にミルウォーキー郡拘置所から釈放された。また、2020年7月には、危険な武器を使用して他人の安全を脅かした第2級の重罪2件で起訴されていた。しかし、この時もたった500ドル(約5万8千円)の保釈金で釈放されていた。
ミルウォーキー郡の地方検事は、保釈金は、罪の重さから見て「不適切に低い」と述べ、「今後の方針を決定するために、現在、最近の保釈金設定について内部調査している」との声明を発表した。今回のパレード事件では、保釈金は500万ドル(約5億8千万円)に設定された。
『フォックスニュース』 によると、当日、事件が起こったパレードに見物客として来ていたスコット・アレン州議会議員は、「保釈金の条件を守れないなら、次の保釈金の条件も守るとは思えない。保釈の目的は何なのか、正直に話し合う必要がある」と述べている。
ウィスコンシン州の現行法では、裁判官は被告人が裁判所に出頭することを保証する金額でしか保釈金を設定できない。しかし、23日に急遽新しい法律が発表された。新しい法律の下では、裁判官は犯罪者の公共安全のリスクも考慮することができるようになる。「もし誰かが潜在的に暴力的であると考えられる場合、保釈金は高額であるべきだ」とアレン議員は述べている。
保釈金の議論は以前からあったものの、今回の悲劇が起きた後、新たな注目を集めている。新しい法律は、より多くの犯罪者、特に最も危険な犯罪者を裁判前に拘束することを目的としているが、多くの州では逆に、貧困層に対する差別だとして、金銭による保釈の使用を制限している。今年初め、イリノイ州は、現金による保釈制度を完全に廃止した最初の州となった。
ウィスコンシン州のパレード事件では、6人が死亡、60人以上が負傷した。
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