昨年末、オハイオ州の警察官(男性)がアラブ首長国連邦出身のロースクールの学生を射殺した事件を伝えた。発砲事件のほとんどは男性警官が関係している。「より多くの女性警察官を採用することは警察の残虐行為を減少させるのか」というタイトルで以前にも記事が出ている。そこでは、ノース・フロリダ大学犯罪学のEllen Glasser教授が、女性警察官の中には攻撃的な人もいると指摘しながらも、より多くの女性警察官を雇用することは有益であるだろうと述べている。女性は肉体的な力にそれほど頼ることができないので、一般的に女性は、人と話しその関係性に頼ることになる。女性警察官が増えれば、発砲件数は少なくなるだろうし、今までとは異なるかたちのコミュニティ警備ができるのではないだろうか、と述べている。
今回は、「Chicago Tribune」
によるシカゴ警察の発砲に関わる調査結果を
『ABAジャーナル』より紹介する。シカゴのような犯罪件数の多い場所かつ、相手も銃を携帯しているような大都市においては、警察官が自らの身を守るために発砲するのは仕方がないことなのかもしれない。
シカゴ警察は過去6年間に435件の発砲事件に関わり、92人を射殺し、170人に傷を負わせた。シカゴ警察官に撃たれた5人のうち4人はアフリカン・アメリカンの男性であった。これらはシカゴ・トリビューン(Chicago Tribune)が行った調査により分かった。トリビューンによれば、2010年以降、平均して5日に1回の割合で警察官による発砲事件が起きていたという。警察はトータルで2,623発の弾を発射していた。...
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シカゴ警察は過去6年間に435件の発砲事件に関わり、92人を射殺し、170人に傷を負わせた。シカゴ警察官に撃たれた5人のうち4人はアフリカン・アメリカンの男性であった。これらはシカゴ・トリビューン(Chicago Tribune)が行った調査により分かった。トリビューンによれば、2010年以降、平均して5日に1回の割合で警察官による発砲事件が起きていたという。警察はトータルで2,623発の弾を発射していた。
トリビューンの調査の中でも重要な点は、発砲事件による犠牲者の人種的差異の広がりである。シカゴ警察に発砲された人のうち、80.2%がアフリカン・アメリカン、13.4%がヒスパニック、5.3%が白人であったということである。
シカゴの警察官は平均的には非常に経験豊富であり、10年あるいはそれ以上の勤務経験がある。銃を発砲した警察官は520人にものぼる。内、60人以上が1度以上の発砲に関わっている。発砲した520人の警察官の内、324人の警察官は人に命中している。発砲しそれが人に命中した警察官のおおよそ46%はアフリカン・アメリカンかあるいはヒスパニックであった。また、警察官による発砲数(ミスも含めて)はここ数年間で減少していることも分かった。たとえば、2011年の100件から2015年の44件のように。それでも、シカゴ警察が、ロサンジェルス、ニュー・ヨーク、ヒューストン、フィラデルフィアといった大都市の中で発砲率が高いことは際立っている。
「警察官として、自分の方向に銃弾が飛んでくるのを待っていることは出来ない。二度と撃ち返すチャンスがないかもしれないのだから」と、シカゴ警察友愛会代表のディーン・アンジェロ(Dean Angelo)はトリビューンに語った。アンジェロは更に続ける。これらの発砲の多くは、もし被害者が警察官の命令に従っていれば避けることが出来たものである。「もし命令に従っていたらそこで終わりだった。しかし、腰のバンド付近を触ろうとしたりナイフを離さなかったり銃を発砲するのをやめなかったり私に向かって銃を向けたりするなら、私は武器で応戦するだろう。時にはそれらのことが数秒間で起きる。いや数秒もないかもしれない」
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Lambda Legal(注)の弁護士は、裁判官全員出席の米連邦控訴裁判所で、職場における性的志向を基にした差別は、性差別を禁じている連邦法により禁止されるべきであると主張した。
弁護士グレッグ・ネヴィンズ(Greg Nevins)はキンバリー・ハイヴリー(Kimberly Hively)の代理人である。ハイヴリーは、インディアナ州アイビー・テック・コミュニティ大学(Ivy Tech Community College)の数学講師であるが、彼女はレズビアンであるという理由で、昇進を拒否され、解雇されたと主張している。...
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Lambda Legal(注)の弁護士は、裁判官全員出席の米連邦控訴裁判所で、職場における性的志向を基にした差別は、性差別を禁じている連邦法により禁止されるべきであると主張した。
弁護士グレッグ・ネヴィンズ(Greg Nevins)はキンバリー・ハイヴリー(Kimberly Hively)の代理人である。ハイヴリーは、インディアナ州アイビー・テック・コミュニティ大学(Ivy Tech Community College)の数学講師であるが、彼女はレズビアンであるという理由で、昇進を拒否され、解雇されたと主張している。
『Chicago Tribune』、
『South Bend Tribune』、
『Associated Press』、
『Courthouse News Service』が伝えている。
公民権法(Civil Rights Act)タイトルVIIをもとに保護を求めるハイヴリーのケースは、第7巡回区シカゴ控訴裁判所において審理されている。
ハイヴリー判決は、タイトルVIIが性的志向に対する差別を含んでいるかどうかを連邦控訴裁判所が審理する最初のケースとなる。
性差別を禁止するタイトルVIIはジェンダー規範に一致しない人々に対する差別も含む、とした1989年の最高裁判決(Price Waterhouse v. Hopkins)の解釈を広げるべきであるとネヴィンズは言う。女性は男性にだけ魅力的であるべきだという考えそのものが基本的なジェンダーのステレオタイプであるが、それはタイトルVIIに含まれるべきである、とネヴィンズは主張している。
バーンズ&ソーンバーグ法律事務所(Barnes & Thornburg)のジョン・マレー(John Maley)はアイビー・テック側の代理人であるが、彼は、公民権法に関するいかなる拡大解釈も法廷ではなく議会によって決定されなければならないと主張している。
以下、Courthouse News Serviceより、ポズナー(Richard Posner)裁判官とマレーとのやりとりを紹介しよう。
ポズナー:レズビアンである理由は何であるか?
マレー:ホモセクシュアリティはある種の人々にとっては変わらない性質である。
ポズナー:では、なぜ異なる性としないのか?もしレズビアンということが遺伝的構成であるならば、レズビアンでない女性と何かが非常に違っているわけだ。しかし、ストレートの女性もレズビアンの女性も両方女性なのである。ただ非常に異なるタイプというだけだ。
マレー:公民権法が成立したとき、議会はレズビアンを保護することは意図していなかった。
ポズナー:では、われわれは1964年に人々が考えていたことに拘束されるべきだと思うのか?職場でゲイやレズビアンがほんの少しより保護を受けたからって、一体だれが傷つくというのか?
マレー:誰も思いつかない。
ポズナー:だったら、何をそんなに大騒ぎしているのだ?
(注)Lambda Legal:市民権運動を行っている組織。特に、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーやHIV/AIDS患者に力を入れている。
(注)公民権法第7編(タイトルVII):雇用差別の禁止を規定した連邦法。人種、皮膚の色、宗教、性、出身国にもとづく一切の差別を禁止。
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