シカゴ郊外クック郡の裁判官ヴァレリー・ターナー(Valarie Turner)は、ロー・クラーク(law clerk:裁判官助手)のロンダ・クロフォード(Rhonda Crawford)に彼女の法衣を着せ、3件の交通事案に関しジョブシャドウイングのかたちで判決をさせた。イリノイ州裁判委員会(Illinois Courts Commission)に提出された告発文には、彼女には知的能力的にこれ以上司法判断をすることは不可能であると書かれている。
司法査問会議(Judicial Inquiry Board)による告発文には、Turner裁判官は最近アルツハイマー病と診断されており記憶障害があると書かれている。
『Chicago Tribune』、
『Chicago Sun-Times』も伝えている。
今回の件以降、ターナーは裁判官の職を辞し管理業務へと配置転換された。ターナーは、クロフォードが本当に裁判官だと思っていたと述べた。ターナーは配置転換後、病気療養休暇を取っている。
クロフォードは今秋に裁判官選挙に出馬している。彼女は、公務員職権乱用と詐称の罪に問われているにもかかわらず、裁判官選挙に勝利した。しかし、彼女の資格は保留になっており、現在、裁判官としての任務につくことはできていない。
ターナーの弁護人Gino DiVitoは、この件は裁判官退職制度によって取り扱われるべきものであって、裁判委員会に問う必要のない事案であったと述べた。ターナーは現在、障害者としての身分を申請している。以下に弁護人DiVitoがTribuneに語った話をまとめる。
ヴァレリー・ターナーはアルツハイマーと診断された。ターナーはいかなる職権乱用の罪にも問われていない(no accusation)。したがって、委員会によって科される制裁を受けるようなことは何もしていない。要するに、司法査問会議は、単に彼女がアルツハイマー病であるという理由で罪に問うたことになる。告発は、自分自身が招いたわけでもない不可抗力の病を負った、ターナーのような裁判官にとって、悲惨な先例となる。
ヴァレリー・ターナー: 1991年にイリノイ州裁判所で法律活動を始める。シカゴ大学ロースクール出身。元連邦検事。元Kirkland & Ellis法律事務所のアソシエイツ。2002年に裁判官となる。現在59歳。
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近頃「LGBT」(性的少数派の総称)という言葉を日本のメディアでもよく耳にするようになった。ジェンダー問題先進国アメリカでは今年6月、同性婚を認める判決も出た。またトランスジェンダー(性差異)用にトイレを設置したり、社会生活での差別を改善しようという動きが加速している。トランスジェンダーの児童・生徒の権利を保証する法律が成立した州もある。
昨日、以前から問題が浮上していたイリノイ州の高校でトランスジェンダーの学生(生来男性)の女子ロッカーの使用をめぐって、教育委員会の決定を下すべく大勢が学校に集まり会議が開かれ、結果大半の意見とは異なりロッカーの使用を許可する、との決定が下された。先駆的法律の適用と、現場の実情との間にLGBT先進国であるアメリカでも開きがあるようだ。
12月3日付け
『Chicago Tribune』
木曜早期、地域を二分し全米が見守る中、ホフマンエステートのコナント高校のカフェテリアに数百人の親等が集まり、211タウンシップ高校教育学区の委員会による評議会が行われ、結果、トランスジェンダーの学生が女子更衣室を使用を認める決定が下された。会場は何百人もの人々が詰めかけ立ち見も出た。この州一番のマンモス学区は、全米の注目を集めており、トランスジェンダーの学生をめぐる討論が繰り広げられており、前例のない動きの中、州政府は先月教育上の差別によりこれを州法違反だとした。ペナルティとして、州からの補助金数百万ドルの削減を回避するため、この学校はロッカーの使用を認める代わりに、カーテンで仕切られた、着替えやシャワーが出来るスペースを作る措置をとっていた。男性として生まれ、女性として認識される生徒に女子更衣室を使用する許可を与えることにほとんどの人は反対しており、決議は決裂した。”神は間違っていない。男女それぞれ神の創造物だ。”などという参加者の意見が聞かれた。今回のトランスジェンダーの学生を代理を務めるアメリカ自由人権協会のジョン・ナイト氏は、妥協策には納得だが、ロッカーの使用を認めないのは間違っている、と述べる。
だが、そのような生徒がロッカールームに入ることに嫌悪感を抱く女生徒もいる。
”(相手からみると)男性だと認識される人と着替えを共にするのは違和感がある”等の意見が聞かれた。
教育省の公民権次官補のキャサリン・ラモン氏は委員会が州の決定に従った事を称賛している。「個人を尊重することと生徒全員が学校行事や活動において平等に扱われるべきであることとのバランスを追及する合意がなされた。この合意事項が実行されるよう教育学区と連携していく」、と文書で述べた。
12月3日付け
『NewsOK』によれば、先月11月、米教育省はイリノイ州シカゴの当校に対し、トランスジェンダーの生徒が女子更衣室を使うことを全面的に認めるよう要請。30日以内に決定に従わなければ教育省第2編により数百万ドルにのぼる州の補助金を打ち切ると警告していた。匿名の生徒が2013年に市民権室に苦情を申し立てた後、市民権室と学区は2年にわたりこの問題について討議してきた。
州政府は今後17年6月まで当学区の決定履行と性差別の有無を監視している意向だ、と報じている。
12月3日付け
『NPR News』
ACLU(アメリカ自由人権協会)は2年前学区への抗議を州政府に申し出た。市民権室は学区がタイトルⅨ(政府の補助金を受けている教育機関において、男女の性別によって、教育や活動機会を差別してはいけないとする法)の違反にあたるとして、性差別の撤廃を要求した。この措置には訴えた側もやりすぎだとしていた。
今回、結果をかたずをのんで待っていた参加者からは落胆の声が聞かれた。
ほとんどの女生徒は今回のこの決定に不服があるという。親たちは「ただ子どもの権利、プライバシー、健康、を守りたいのだ」、という。一方、トランスジェンダーの子を持つ親は、「過剰に反応してるのは学区だという意見だ。プライバシーの問題ならば着替えの際分かれて着替えればよい」、と述べた。ある17歳の生徒からは、「この難問に対しては学区がどんな歴史を築きたいのかを考えるべき」、と委員会に意見した。
学校を統合したいのか、人種により隔離したいのか、、ゲイやレズビアンであると公言している人を差別やハラスメントから守り、受け入れるべきなのか。
211学区の教育長ダニエル・ケイト氏は「落胆は理解できる。決定は学区全体の方針ではない」と述べている。この合意は一人の生徒がかかわるものだったが、この措置により、学生達と共に一体となり前進する事に加え、他の学区で同様の問題が起きた際のためにも我々の方針を追及し、地域と委員会が一体となりこの”賛否両論”の事態に道を切り開いていく。州政府の干渉を受けるのは遺憾である、と述べている。
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