猛威を振るう新型コロナウィルス(COVID-19)については、米国を筆頭に、初期段階での中国政府及び世界保健機関(WHO)の対応のまずさが感染流行をもたらしたと責任追及している。これに対して中国側は、問題が深刻化している国々への医療品等の提供、また、医療従事者の派遣等で追及の矛先を逸らそうとしている。そしてこの程、最初にCOVID-19の危険性について警鐘を鳴らした武漢市の呼吸器専門医(後に省政府から勲功賞受賞)が、初期段階からの地元政府や中央政府保健局の対応について称賛していると中国メディアが報じた。ただ、最初に警鐘を鳴らして懲罰を受けた医師(後に死亡)や、担当病院の隠蔽を告発した医師が所在不明になっていること等から、当該呼吸器専門医の証言をどこまで信じてよいか疑問は残る。
4月20日付
『ニューズウィーク』誌:「COVID-19の危険性を最初に発信した武漢市専門医、初期段階での政府の対応は“大変迅速”だったと擁護」
COVID-19に関し、国際社会が中国当局の隠蔽等について非難の声を上げているが、最初に同ウィルスの危険性について警鐘を鳴らした地元医師が、初期段階からの政府関係者の対応に問題はなかったと擁護する発言をしている。
湖北省立中国・西洋医療統合病院の呼吸器専門の張集賢(チャン・シーチャン)医師が、中国国営メディア『CGTN(中央テレビ国際版)』の4月18日番組でコメントしたもので、12月26日の段階でCOVID-19の危険性を疑って関係当局にはたらきかけた同医師は、初期段階での地元政府関係者の対応は迅速だったと証言した。...
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4月20日付
『ニューズウィーク』誌:「COVID-19の危険性を最初に発信した武漢市専門医、初期段階での政府の対応は“大変迅速”だったと擁護」
COVID-19に関し、国際社会が中国当局の隠蔽等について非難の声を上げているが、最初に同ウィルスの危険性について警鐘を鳴らした地元医師が、初期段階からの政府関係者の対応に問題はなかったと擁護する発言をしている。
湖北省立中国・西洋医療統合病院の呼吸器専門の張集賢(チャン・シーチャン)医師が、中国国営メディア『CGTN(中央テレビ国際版)』の4月18日番組でコメントしたもので、12月26日の段階でCOVID-19の危険性を疑って関係当局にはたらきかけた同医師は、初期段階での地元政府関係者の対応は迅速だったと証言した。
同医師は、診断した患者の病状から重い感染症を疑い、武漢疾病予防管理センターに事態報告したところ、即座に調査チームが12月27~29日に派遣され、集団感染の可能性等につき綿密な調査が始められたと言及した。
国際社会から、初期段階での中国当局の隠蔽等の嫌疑がかけられている件について、同医師は、患者の病状、ウィルスの特定、感染の度合等々、詳細な知見が得られる前に、悪戯に公表することは、必ずしも適当ではないとも付言している。
更に同医師は、2003年時に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の際も担当したが、“今回のCOVID-19について、初めはここまで感染力が強く、あっという間に感染流行となるウィルスだとは思いもしなかった”とも証言している。
なお、武漢市がCOVID-19による死者数を少なく報告していると国際社会から非難されていたためか、同市当局は先週、死者数を50%も上積みした数値を公表した。
また、ドナルド・トランプ大統領およびマイク・ポンペオ国務長官が、中国当局の透明性に欠ける対応を非難し、その結果世界流行をもたらしたと責任追及しているが、中国国営メディアも当局高官も、米国こそが自身の流行食い止めに失敗した責任逃れをしていると反論している。
一方、同日付中国『チャイナ・デイリィ』:「中国は根拠のない非難で国際社会に誤解されることを望まず」
中国はCOVID-19に関し、米国が目下悲惨な目に遭っていることを十分理解し、同情もしている。
従って、中国での感染再燃の恐れや医療用品の国内での必要性が高いにも拘らず、米国はもとより世界の国々へ、できる限り支援の手を差し伸べようと努めている。
かかる状況下、中国としては、根拠のない誹謗中傷によって、国際社会に誤解されることがないよう切望する。
今は、政治闘争とか誰かに責任転嫁をする場合ではなく、国際社会が一致してCOVID-19根絶に向けて協同すべきときである。
従って、COVID-19が中国で最初に見つかったからと言って、中国発症だと決めつけるべきではなく、あくまでも、科学的調査の結果に委ねるべきである。
今日現在、COVID-19がどこから来たのか、科学的研究による結論は出ていない。
にも拘らず、“中国ウィルス”と、全く不適切な呼称が用いられることは容認できない。
例えば、AIDS(後天性免疫不全症候群、1981年以降に流行)が初めて米国で報告された際、“米国エイズ”と呼んだ人はいるだろうか?
また、H1N1ウィルス(豚インフルエンザ)が2009年に北米で発症し、世界流行になった際、“米国ウィルス”と呼ばれただろうか?
今年になって、米国におけるインフルエンザの感染率及び死亡率は大変高かった。
従って、世界のメディアは、米国においてはインフルエンザとCOVID-19の違いをよく理解されていないのではとの疑問の声を上げていた。
また、『ニューヨーク・タイムズ』紙の4月8日報道によると、2月中旬頃にニューヨークで流行していたウィルスは、遺伝子分析の結果、欧州由来のものだとされている。
以上より、今は誰かをヒステリックに責めるのではなく、多くの人の命を救うために世界がひとつになって、COVID-19根絶に最善を尽くすべきときである。
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4月20日付
『ロイター通信』:「ベトナム、中国による南シナ海占有強化に反対」
ベトナム政府は4月19日、中国が南シナ海の島嶼に新たな行政区を設置したことに対して、自国の領有権が侵害されるとして断固反対する旨表明した。
中国国営メディア『CGTN(中央テレビ国際版)』によると、中国政府は4月18日、南シナ海のパラセル諸島(西沙諸島、中国が全島実効支配)及びスプラトリー諸島(南沙諸島、中国が人工島を建設して占有)に、海南省三沙市(サンシャ)傘下の行政区を新たに設置したと発表している。
ベトナム外務省のル・ティトゥ・ハン報道官は声明で、“パラセル諸島内島嶼への三沙市行政区設置は、ベトナムの主権を侵害する”と非難した。
今月初め、ベトナム政府は中国に対して、パラセル諸島周辺海域で自国漁船が中国海警艦に追突されて沈没したとして、外交ルートを通じて公式抗議を行っている。
一方、中国探査船が先週初めから、南シナ海スプラトリー諸島海域のマレーシア沖の同国国営石油企業ペトロナスが石油掘削海域に張り付き、4月19日現在も居座って無言の圧力を加えている。
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