9月15日付
『AP通信』他:「9月15日に発生した出来事」
●1776年
・米独立戦争(1775~1783年)の最中、英国軍がニューヨーク市を占拠。
●1789年
・米外務省が国務省に名称変更。当時、同省に対して、外交以外に造幣局の運営・国璽(外交文書に押す印章)の管理・統計調査等の内政任務も割り当てられたための変更。但し、これらの内政の大半が19世紀に設立された他省に移管されたため、現在は外交に関する任務に特化。
●1857年
・第27代大統領(1909~1913年)及び第10代最高裁長官(1921~1930年)を歴任したウィリアム・ハワード・タフト(1857~1930年)がシンシナティ(オハイオ州)で生誕。米国において行政府と司法府双方の長を務めた唯一の人物。
●1890年
・英国の推理作家アガサ・クリスティー(1890~1976年)が英国南西端トーキー(デボン州)で生誕。発表された推理小説の多くが世界的なベストセラーとなり、「ミステリーの女王」と呼ばれた。
●1935年
・ドイツ在のユダヤ人から公民権を奪い取った「ニュルンベルク法(「ドイツ人の血と名誉を守るための法律」と「帝国市民法」の総称)」が、国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)政権下のドイツで制定。当時の完全ユダヤ人は約78万人、混血ユダヤ人(法律上ドイツ人扱い)は約75万人で、併せて全人口の約2%。
●1959年
・ソ連共産党のニキータ・フルシチョフ第一書記(最高指導者、1894~1971年、1953~1964年在位)がソ連トップとして初めて訪米。ドワイト・アイゼンハワー第34代大統領(1890~1969年、1953~1961年在位)との友好的な関係を築くことで、冷戦下(1945~1989年)の世界に一時的な雪解けをもたらした。
●1963年
・バーミンハム市(アラバマ州)の16丁目バプティスト教会(プロテスタントの一教派)の日曜礼拝時に爆弾が爆発し、4人の黒人少女が犠牲。クー・クラックス・クラン(KKK、1865年設立の秘密結社・白人至上主義団体)所属の3名を起訴。
●1972年
・ワシントンD.C.連邦地裁大陪審が、ウォーターゲート事件(注1後記)に関わる不法侵入容疑で7人を起訴相当と決定。
●1981年
・米上院司法委員会(共和党が多数派)が、米国最高裁初の女性判事候補サンドラ・ディ・オコナー(当時40歳、現在91歳)の判事就任を承認。同判事は2006年まで在職。
●1985年
・スポーツ用品メーカーのナイキ社(1964年設立)がスニーカー「エア・ジョーダン(注2後記)」を発売。
●2008年
・ニューヨーク市場のダウ・ジョーンズ工業株価指数が▼504.48(▼4.42%)減の10,917.51まで急落し、原油市場も半年ぶりに1バレル当り100ドル(約1万1千円)を割り込む。大手投資銀行グループのリーマン・ブラザース(1850年創業)が連邦倒産法第11章(日本の民事再生法に相当)の適用を連邦裁判所に申請して破綻したこと、及び米国三大投資銀行の一つのメリル・リンチ(1914年創業)がバンク・オブ・アメリカ(1928年設立)に救済買収されたことが原因。
●2011年
・第44代大統領バラク・オバマ(当時50歳、2009~2017年在位)が、海兵隊所属のダコタ・メイヤー軍曹(当時23歳)に名誉勲章を授与。同軍曹が2009年9月、上官の命令に逆らって、命を賭してアフガニスタンの激戦区(敵兵が待ち受けるキル・ゾーン)に何度も突進し、結果米兵等36人を救い出した勇気と栄誉を称えるもの。
●2015年
・東欧ハンガリーが、セルビアとの国境に鉄条網を張り巡らせて、北アフリカ・中東諸国からの難民・移民の不法侵入を阻止。西欧に向かって押し寄せる難民を押し留める政策。結果、セルビア側に数千人の亡命希望の難民が滞留。なお、欧州司法裁判所は2020年4月、ハンガリー・チェコ・ポーランド3ヵ国の難民受け入れ拒否政策に対して、欧州連合(EU)法違反との判決。
●2016年
・下院情報委員会(共和党が多数派)が、国家安全保障局(NSA)の元局員エドワード・スノーデン容疑者(当時33歳、2013年にNSAによる国際的監視網の実在を告発)は内部告発者などではなく、単に国防上の機密文書を盗み出した犯罪者に過ぎないと糾弾する報告書をリリース。これに対して、同容疑者の代理人弁護士は、“米国の本物の英雄”の信用を貶めるための策謀だと非難。
●2020年
・イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)・バーレーンとの国交正常化合意文書への署名式がホワイトハウスで挙行。ドナルド・トランプ大統領(当時74歳)は、“新しい中東の夜明け”だと自賛。一方、ガザ地区では、パレスチナ武装勢力がイスラエルにロケット弾2発を撃ち込んで不満表明。
・ルイビル市(ケンタッキー州)で3月に発生した、白人警官による黒人女性ブリオナ・テイラーさん(享年26)射殺事件(注3後記)に関し、同市が遺族に慰謝料1,200万ドル(約13億2千万円)を支払うとともに、市警の改革を実行するとの条件で和解成立。
(注1)ウォーターゲート事件:1972年6月17日にワシントンD.C.の民主党本部で起きた盗聴侵入事件に始まった米国の政治スキャンダル。1974年8月9日にリチャード・ニクソン大統領が辞任するまでの盗聴、侵入、裁判、もみ消し、司法妨害、証拠隠滅、事件報道、上院特別調査委員会、録音テープ、特別検察官解任、大統領弾劾発議、大統領辞任のすべての経過を総称して「ウォーターゲート事件」という。
(注2)エア・ジョーダン:名称中の「エア」はナイキ社が有するソール用のエアクッション技術を用いた運動靴シリーズであることを意味し、シリーズ名としての「ジョーダン」は全米プロバスケットボール(NBA)選手マイケル・ジョーダン(当時22歳)とのコラボレーションであることを意味。また、マイケル・ジョーダンのニックネームがもともと“エア”であった(ジャンプの滞空時間が長かったことによる)ことともかけている。
(注3)黒人女性ブリオナ・テイラーさん射殺事件:2020年3月13日、救急救命士のブリオナ・テイラーが自宅アパートで交際相手と過ごしていたところ、警官隊が玄関を押し破って突入。暴漢の侵入と勘違いした交際相手が発砲すると銃撃戦となり、8発の銃弾がブリオナ・テイラーに当たり落命。事件後、ブリオナ・テイラーと交際相手に特段の落ち度はなく、警察が警告なしにアパートへ踏み込んだこと、そもそも突入目標の住所の情報は誤りで、警察が行方を追っていた容疑者は既に拘束されていた等、警察側の重大なミスがあったことが判明。
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11月9日付
『CBSニュース』によると、ロシアとイランはミサイル防衛システムの輸出
をすることにつき合意に達したということである。ロソボロネクスポート社を含むロ
シア国営企業の代表であるチェメゾフ氏は「S-300ミサイル(ロシア軍のミサイルシ
ステム)の輸出契約が発効段階に入った」とロシアの報道関係者に語ったという。
ロシアは、2010年に、核問題に関して国連がイランに対して制裁を科したことに歩調
を合わせて、改良型のS-300の対イラン輸出計画を凍結していた。今年に入ってイラ
ンが世界主要6か国との間で核合意に入ったため、ミサイル輸出計画の凍結を解除し
たというものである。
イランはミサイル輸出計画が凍結されたことについてロシアに対し、ジェノバの国際
仲裁裁判所に訴訟を提起していたが、今回輸出計画の一部でも実行に移されれば訴え
は取り下げられるだろうとロシア側は見ているという。
チェメゾフ氏は輸出されるミサイルの型や、輸出の時期については明言を避けたもの
の、関係筋によれば前回の契約当時のS-300は現在製造されていないため、その改良
版を輸出することになるだろうと語ったという。
ロシアによるイランへのミサイル輸出は、地域の政情の不安定化を招くとしてこれま
で長い間アメリカやイスラエル、その他周辺国の懸念となってきたという。イスラエ
ルのミサイル防衛計画のトップであるヘルツォグ氏によると、今回の輸出が直ちに中
東地域での武器の装備合戦に結びつくとは考えていないが、目下の懸念は、イスラエ
ルのイランに対する空爆の潜在能力の低下だと語ったという。また同氏は、今回輸出
されたミサイルをイランの同盟国であるシリアが入手することになれば、イスラミッ
ク・ステイトの手に渡ってしまうかもしれないとの懸念を表したという。
ロシア側の言い分としては、今回輸出されるミサイルは純粋に防衛のためのものであ
り、周辺地域の平穏を乱すものではないという。
ただ、ロシアはイランに対してミサイルを輸出することにより利益を上げる一方で、
イランの最大の競争相手であるサウジアラビアにも商談を持ち掛けているという。前
出のチェメゾフ氏はロシアはサウジアラビアに対し、イランに輸出するミサイルより
も最新型のS-400ミサイルの輸出を交渉中であることを明かしたという。
11月9日付
『ダウ・ジョーンズ』は凍結されていたミサイルの輸出計画の時期や額に
ついても言及している。同期時によると、ミサイル輸出計画は2007年に締結され、お
よそ8億ドル(約984億円)だったが、2010年にはアメリカとイスラエルから批判を受
けたこともあり同計画は凍結されたとしている。
同記事によれば、イラン側は今年中のなるべく早い時期にミサイルを輸入したいと考
えているようだが、ロシア側は輸出の時期はもう少し遅くなると見ているという。ま
た、同記事はロシアとイランはシリアのアサド政権政権を支援すべく連携を強めてお
り、そのことがアメリカとの溝を深めているとも指摘している。
11月9日付
『ヴォイス・オブ・アメリカ』は今回話題になっているS-300の性能にも触
れ、高い高度にある場合でも、同時に複数の対象物の迎撃が可能であり、200キロの
範囲までカバーすると伝えている。
イランの核合意締結から、周辺でさまざまな変化が起きつつある。今後も各国の動き
から目が離せないと言えよう。
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