イタリア:パンデミック以来精神疾患患う人が急増。政府が治療費代を支援。(2022/02/16)
新型コロナウイルスの影響による精神疾患の急増を受け、イタリア政府は、年齢に関係なくすべてのイタリア人が精神衛生の専門家の治療を受けられるよう、500ユーロ(約6万5千円)の支援金を準備する方針を示した。
仏誌
『レクスプレス』によると、イタリアは11日から全国的に屋外でのマスク着用義務を解除し、クラブも再開される。パンデミック前の生活を取り戻そうとしている。一方で、仏誌
『レゼコー』は、イタリア政府はパンデミックに対処するための様々な支援金に新たなものを加えようとしていると伝えている。今回のものは500ユーロ相当で、国の経済的健康を保つためではなく、心理的なサポートを提供することで住民の精神的健康を保つことを目的としている。...
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仏誌
『レクスプレス』によると、イタリアは11日から全国的に屋外でのマスク着用義務を解除し、クラブも再開される。パンデミック前の生活を取り戻そうとしている。一方で、仏誌
『レゼコー』は、イタリア政府はパンデミックに対処するための様々な支援金に新たなものを加えようとしていると伝えている。今回のものは500ユーロ相当で、国の経済的健康を保つためではなく、心理的なサポートを提供することで住民の精神的健康を保つことを目的としている。
イタリア神経精神薬理学会によると、パンデミックの期間中、患者は26%増加し、不安障害は28%急増した。同会長で、精神科医のクラウディオ・メンカッチ氏は、「貧困と孤立がもたらす影響を最も受けるのは、人口の中で最も脆弱な部分を占める女性、若者、高齢者である」と述べている。
病院では、自殺願望や自傷行為に関連した来院が爆発的に増加しているという。また、他の暴力事件もかつてないほど増加している。2021年1月時点、心理的な理由でローマのバンビーノ・ジェス病院を訪れた患者の63%が自殺念慮を持っている、あるいは自殺未遂をしたことがあった。その1年前は39%程度であった。そして同期間中、こうした患者による入院は17%から45%に増加した。
専門家たちは、こうした状況に対応できるための投資が十分に行われておらず、環境が整っていないことを非難している。公的な精神保健サービスによってケアされている80万人の患者は、約2千人の心理学者だけで対応しているという。また、国内13万人の心理学者のうち、公的機関に勤務しているのはわずか5%であり、心理的援助を必要とする人の約4分の1が、財源不足のために途中で治療をやめたり、治療を受けること自体を諦めたりしているという。
そこでイタリア政府は、年齢に関係なく、すべてのイタリア人が心理的サポートを受けられるよう、年間5000万ユーロ(約66億円)の「メンタルヘルス基金」を創設することを決定した。
ベルギーに拠点を置く欧州ニュースメディア『ユーラクティブ』によると、集められた資金は2回に分けて分配され、1回目は地方の保健所や診療所など、公的な精神科医療ネットワークの強化に使われる予定だという。2回目は、経済的に困難な状況にありながらも治療を必要としている個人に割り当てられる。
イタリアの心理学者協議会は、近年10人中8人が多かれ少なかれ深刻な心理的な問題を抱えるようになったことを指摘しており、この点を考慮するよう呼びかけている。スペランツァ保健相は「単純な支援金がすべてを解決するわけではない」と警告している。一方で、「メンタルヘルスを扱う公衆衛生サービスを強化する必要がある。地域に根付いた心理的支援のための資源を増やしながら、全国的な包括的な対策を取っていくことが必要だ。支援金は最初の一歩に過ぎない」と述べている。
こうした取り組みは、最近、イタリアの国家復旧・復興計画にこのような措置がないことが世間から批判されたことを受けたものである。
いくつかの地域では自律的に行動を起こしている。イタリア中部のラツィオ州は、学校などでの心理的支援の展開に1100万ユーロ(約14億円)を投じる。ロンバルディア州、カンパニア州、エミリア=ロマーニャ州も追随を表明している。心理学者協議会は、「私たちは精神病のパンデミックに直面している。18歳以下の年齢層だけでも、2人に1人が心理的な不調を訴え、10%が精神疾患を患っているという。」と主張している。
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英国、EU離脱後を睨んでTPP加盟を検討か【米・フランス・中国メディア】(2018/01/05)
英国のテリーザ・メイ首相と欧州連合(EU)のジャン=クロード・ユンケル委員長は昨年12月初め、英国がEU離脱(Brexit)にあたり支払う「清算金」など離脱条件でようやく合意した。これで英国とEUとの通商協議など第2段階の交渉に入れることになったが、2018年10月までのわずか10カ月間で難交渉がまとまる保証はない。交渉が不調に終われば、2019年3月末に「サドンデス離脱」の危険もある。そして、交渉の行方次第では、外資流出によるポンド危機など、英国経済は致命的な打撃を受けかねない。そこで、溺れる者は藁をも掴もうとしてか、英国は、米国の離脱で苦境にあえぐ環太平洋経済連携協定(TPP)グループが、域内外関係なく差し出してきた手を握ろうとしていると報じられている。
1月3日付米
『CNBCニュース』:「英国、Brexit後を睨みTPP加盟を検討か」
英
『フィナンシャル・タイムズ』紙の1月2日報道によると、英国はBrexit後を睨んで、TPP加盟を検討しているという。
英国のグレッグ・ハンズ貿易相(編注;閣外国務大臣)は同紙のインタビューに答えて、全く可能性がない訳ではないとコメントした。
TPPグループは昨年初め、米国のドナルド・トランプ大統領の同グループ離脱宣言を受けて崩壊寸前にあったが、残った11ヵ国が継続交渉を続け、11月に米国抜きのTPP成立を目指すことで合意している。...
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1月3日付米
『CNBCニュース』:「英国、Brexit後を睨みTPP加盟を検討か」
英
『フィナンシャル・タイムズ』紙の1月2日報道によると、英国はBrexit後を睨んで、TPP加盟を検討しているという。
英国のグレッグ・ハンズ貿易相(編注;閣外国務大臣)は同紙のインタビューに答えて、全く可能性がない訳ではないとコメントした。
TPPグループは昨年初め、米国のドナルド・トランプ大統領の同グループ離脱宣言を受けて崩壊寸前にあったが、残った11ヵ国が継続交渉を続け、11月に米国抜きのTPP成立を目指すことで合意している。
なお、もし英国がTPPに加盟するとなると、太平洋にも南シナ海にも面していない域外国として初の参加となる。
同日付フランス『欧州ニュース』:「英国、TPPに注目」
英国のリアム・フォックス国際貿易相(編注;閣内大臣)は、Brexit後の通商体制堅持のため、TPPへの加盟を検討する等様々な検討を進める意向であると表明した。
2日間の中国訪問中の同相は、『ロイター通信』のインタビューに答えて、Brexit後の英国の貿易を拡大させるための手段として、TPP加盟がどれ程有益となるか、TPPグループ代表と非公式に協議していると明かした。
なお、同相の中国訪問は、英国にとって5番目に大きい貿易相手国としての中国と、Brexit後の二国間貿易協定締結に向けての事前交渉だと言われている。
また同相は、Brexit後の世界貿易機関(WTO)における貿易協定について見直す意向であるとも表明した。
一方、1月5日付中国『チャイナ・デイリィ』:「英国は依然EU加盟国であることを自覚すべき」
英国メディア報道によると、英国はBrexit後を睨んで、今や11ヵ国となったTPPへの加盟の可能性について非公式協議を始めたという。
しかし、ここで注意すべきは、2019年3月29日にBrexitが完了するまでの移行期間において、依然EU加盟国である英国は、EU規程に基づいて域外国・グループとの協議をすることは許されないということである。
米国抜きで全く迫力のなくなったTPPグループは、英国の加盟検討を評価するかも知れない。しかし、Brexit前に英国がEUと協議せねばならない新たな通商協議は非常に困難を伴うとみられ、TPPグループと正式協議が可能となる2019年4月には、英国自身が疲労困憊してしまっている可能性がある。
ともかく、Brexit後にはEUとの関係が悪化すること必至な英国にとって、TPPは渡りに船であろうが、穿った見方をすれば“溺れる者は藁をも掴む”と言えなくもない。
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