今日、大統領選投票日を迎えた韓国。世論調査では、保守派のユン・ソクヨル氏が、進歩系左派のイ・ジェミョン氏よりわずかに優勢である。しかしフランスメディアは、韓国の有権者たちは、本質的な問題には触れることのなかった、誹謗中傷キャンペーンを中心に繰り広げられた選挙戦に悩まされた、と報じている。
仏誌
『レゼコー』は、韓国の大統領選挙は終了直前まで激しかったと伝えている。7日にソウルで行われた与党民主党による最後の遊説で、70歳の男が党の代表の頭をハンマーで殴った。幸い重傷は負わなかった。犯人は取り押さえられる前に反米のスローガンを叫んでいたという。
今回の大統領選は、候補者同士の罵倒合戦、汚職の告発、それぞれの妻にまつわる一連のスキャンダルなどが相次ぎ、有権者を幻滅させた。与党民主党の大統領候補の妻は夫の会社のクレジットカードを悪用したことが報じられ、野党大統領候補者の妻は、霊能者に相談していた過去が報じられた。...
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仏誌
『レゼコー』は、韓国の大統領選挙は終了直前まで激しかったと伝えている。7日にソウルで行われた与党民主党による最後の遊説で、70歳の男が党の代表の頭をハンマーで殴った。幸い重傷は負わなかった。犯人は取り押さえられる前に反米のスローガンを叫んでいたという。
今回の大統領選は、候補者同士の罵倒合戦、汚職の告発、それぞれの妻にまつわる一連のスキャンダルなどが相次ぎ、有権者を幻滅させた。与党民主党の大統領候補の妻は夫の会社のクレジットカードを悪用したことが報じられ、野党大統領候補者の妻は、霊能者に相談していた過去が報じられた。
『レゼコー』は、脆弱な景気回復、若者の絶望を招いている不動産価格の高騰、北朝鮮との緊張関係など、根本的な問題についての議論はほとんど行われなかったと伝えている。ソーシャルネットワーク上では、一部のネットユーザーが、人々が何としても一攫千金を得るために死闘を繰り広げる韓国のテレビドラマ「イカゲーム」にちなんで、「イカゲーム選挙」と揶揄しているという。
仏ラジオ放送局『RFI』は、「イ・ジェミョン、ユン・ソクヨル両候補の選挙戦は、本人や妻にまつわるスキャンダルに彩られていた。これが、最高権力者の主要な候補者たちの唯一の共通点であろう。」と報じている。
ただし、北朝鮮に対しては、双方が真逆の政策を提案している。左派のイ・ジェミョン氏は、現政権が北朝鮮との対話に意欲的であったその姿勢を継続し、非核化と引き換えに制裁の軽減、また対話の道を追求する方針を明らかにしている。一方、保守のユン・ソクヨル氏は、北朝鮮からの攻撃の危険が差し迫った場合の「予防攻撃」に賛成しており、「断絶」の声を代表している。「力」と「抑止力」によって平和を実現したいと述べている。
北朝鮮だけでなく韓国の主要な経済パートナーである中国に対しても、両陣営は正反対の政策を掲げている。約3万人の兵士を駐留させ、韓国の安全を保証している米国に対して、ユン・ソクヨル氏は、米国との関係改善を望んでいる。一方イ・ジェミョン氏は、中国との友好関係の継続を推奨している。経済関係の発展を継続させるためだけでなく、北朝鮮問題で中国政府から前向きな介入を得ることを願っているためだ。
韓国は、欧米に比べてパンデミックによる死亡者数をうまく抑えることができた反面、国民が規制の影響を受けている。特に、労働者の4分の1を占める自営業者は大きな犠牲を強いられた。レストランやカフェの多くは、感染防止対策で活動が制限され、閉店を余儀なくされた。それに加えて、不動産価格が爆発的に上昇した。ソウルでは、100平方メートルのアパートの価格が5年間でほぼ2倍に跳ね上がった。この問題は、多くの韓国国民にとって繊細な問題であり、候補者たちが衝突している問題でもある。イ・ジェミョン氏は、消費活性化のため、社会住宅建設と最弱者への基本所得の導入を訴えている。しかし、ユン・ソクヨル氏は住宅戸数を増やすことには賛成でありながら、不動産にかかる税金を減らして価格を下げたいと考えている。
今回の選挙戦では、フェミニズム運動に対する姿勢も問われている。韓国の若者のフェミニズム思想への著しい反発(2018年の国民日報の調査によると、20代男性の76%がフェミニズムに反対と回答)に後押しされ、ユン・ソクヨル氏はこの省庁の廃止を望んでいる。ユン氏は、韓国がOECD加盟国で最低の出生率であることの一因としてフェミニズムをあげており、性的暴行の中傷証言に対する罰則を強化することを提案している。これに対して民主党のイ・ジェミョン氏は、性暴力反対集会に参加するなどしてきたものの、フェミニストを支持する姿勢はあまり出してこなかったため、活動家たちの懸念の的となっている。
ここ数日の世論調査では、どちらの候補者を選ぶかという質問に対して、「どちらともいえない」という回答が異常に多いことが指摘されており、両候補者は拮抗している。成均館大学の政治学者、イ・スクジョン氏は「極めて異例な雰囲気の選挙戦だ」と指摘している。政治アナリストのパク・スンミン氏は「希望をもたらすような選挙ではない大統領選は初めてであり、憂鬱な有権者による投票になる」と述べている。
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ワーキンググループでは、米朝対話の早期再開を促すために、南北協力について協議するというもので、韓国政府が提案している北朝鮮への個人旅行等の具体的な協力構想も話し合われる予定。
韓国政府は北朝鮮への個人旅行それ自体は北朝鮮への制裁決議違反にはあたらないとしているが、旅行客が携帯する外貨や物品を持ち込むことについては問題が生じる可能性があるとして、米側と意見を交換したいと考えている模様。...
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ワーキンググループでは、米朝対話の早期再開を促すために、南北協力について協議するというもので、韓国政府が提案している北朝鮮への個人旅行等の具体的な協力構想も話し合われる予定。
韓国政府は北朝鮮への個人旅行それ自体は北朝鮮への制裁決議違反にはあたらないとしているが、旅行客が携帯する外貨や物品を持ち込むことについては問題が生じる可能性があるとして、米側と意見を交換したいと考えている模様。
一方韓国の『国民日報』が政府の消息筋の話として、「北朝鮮への個人旅行について、北朝鮮が先月“もう少し回答を待ってくれ”と言ってきた」という記事を掲載したが、これについては、7日韓国統一部の副報道官がはっきりと否定した。
現在北朝鮮は、新型肺炎対策として国境をすっかり閉鎖しているが、たとえ新型肺炎が終息しても、北朝鮮が韓国からの個人旅行を受け入れることは難しそうである。まして南北朝鮮の協力が米朝の対話を促すことにはなりそうにないが、文在寅大統領の任期も折り返しを過ぎ、レームダック化が始まらないうちに、なんとかレガシー作りをしたいということなのだろうか。
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