12月4日付米国
『CNBC』(AP通信引用)は「トランプの電話で台湾には期待感、中国は懸念」との見出しで次のように報道している。
トランプ次期大統領による10分の電話と2つのツイートがニュースとなり、台湾には米国との関係強化への期待感が高まる一方、米台の複雑な関係に、台湾を中国の一部と見なす大陸、中国は懸念を示した。トランプ氏が中国と台湾との対立軸に介入する意図があったかは不明だが、1979年に正式に国交が絶たれて以来どの大統領もやらなかった台湾総統との電話で米国の外交方針を打ち破った。台湾の新聞はトランプが葵氏を「台湾の大統領」と呼んだと報道。この言葉に中国は穏やかでない。
台湾総督府によると、両者はアジアの問題や米国との今後の関係について話をしたという。また、葵氏が台湾の国際関係進展への米国の支援を懇願したという。総督府報道官は、中国との関係を保ちつつ米国とのよい関係を築くことは両立可能だと述べたという。
一方、中国外相が台湾を批判した後、米国への抗議の意向を示しており、今後中国は、台湾との公式な関係を持つ22州に圧力をかける事が予想されるなど今後の出方が注目される。
12月5日付米国
『ワシントンポスト』(AP通信引用)は「不用意か周到か、トランプが中国に強硬姿勢」との見出しで次のように報道している。
次期大統領ドナルド・トランプ氏は偶然か必然にか、中国への強硬な外交姿勢を示す結果となり、オバマ政権と中国側両者から警告される事態となった。
先週慣例をやぶり直接台湾の葵総統と電話会談したトランプ氏はツイッター上に中国の貿易と軍事政策を批判。アーネスト報道官は中国との関係が「損なわれる」恐れがあり、「(トランプ氏の)戦略的意図が不明。説明を求めたい」とコメントした。
現時点ではトランプ氏の顧問が、葵氏との会話が今後の外交政策に関連が或るのか単に祝辞を述べただけなのかの説明に奔走しており、次期政権の首席補佐官ラインス・プリーバス氏は、十分意図をもって行ったものとするが、マイク・ペンス次期副大統領は「単なる祝辞の挨拶」だったとの見解である。
トランプ氏は外交上「意外性」を追及し、オバマ大統領の周到で政策が丸見えなやり方と一線を課すと宣言していたが、その意外性は、同盟諸国も敵対諸国も緊張させ、外交初心者であるトランプ氏が計画的戦略を持っているのか衝動的に行動しているのかが疑問視される。中国は外交上、特に米国関係では形式を踏まえた上での交渉を好む。
12月3日付台湾
『台北タイムズ』は「葵とトランプが電話会談の予定」との見出しで次のように報道している。
今回の電話会談は親台湾派のトランプ陣スタッフを通して実現したという。トランプ米次期大統領はTPP脱退表明や同盟国の軍事負担増を迫るなどアジア太平洋地域外交政策に不透明感があり、大統領選挙中は台湾企業も米国内の雇用を奪っていると批判していた。米国との直接外交が実現すれば、米国との関係が進展するとの期待感がある。
また、元副大統領ディック・チェイニー氏の副補佐官スティーブン・イェーツ氏が今週から1週間訪台し、総統や国家安全局長らと面会予定。イェーツ氏は、今期の共和党大綱起草を担当しており、トランプ次期政権の首席補佐官に任命されたラインス・プリーバスの友人で、米政府筋によるとトランプ政権発足後に入閣予定だとのこと。
12月5日付中国
『シナ』は「中国のネット市民はトランプのツイートを批判」との見出しで次のように報道している。
トランプ次期大統領の外交知識のなさに批判が上がる。台湾の葵総統と電話会談し、通貨切り下げや南シナ海での軍事施設建設の建設を批判しているが、中国のネットユーザーからは、トランプ氏が向こう見ずに中国に指図することへの怒りの声があがっている。
ルカン中国外交部報道官は、「中国はトランプ次期政権側の意図を重視しない、両国は良好な経済関係を今後も維持する。「米次期大統領が中国に強硬路線を敷かない限りは挑発するつもりはない」」とコメント。
トランプ氏はこれまでの外交手段を打ち破り、選挙中からソーシャルメディアを使いこなし、批評には個人的にツイッターで自由に言い返し、フェイスブックとツイッター合わせて1670万人ものフォロワーがいる。フェイスブックは1600万の「いいね」が付き、選挙中にも大きく活用された。ツイッターも選挙中は常に炎上。
中国国民は米大統領選挙中、トランプ氏の異色さ、率直さとエンターテイナーとしての個性に強い関心を寄せ、3月の「グローバルタイムズ」の調査によると、54%がトランプ(候補)を支持していたという結果もあるが、次期大統領となった今、国民の思いは一転。ネット上では「南シナ海問題での(米国との)対立に拍車を掛けた、ただの愚かな人」、「残念なことに大統領就任前に中国人全員を敵に回した」、「トランプ氏のツイートは報道官のものに代わらないか。トランプの言葉はうのみにできない」などの投稿があった。
閉じる
アジアで初めて台湾(中華民国)で同性婚に関する法案の一部が可決する見込みで、同性カップルの社会保障拡大に期待が高まっている。世界では欧州や北米、南米の数十か国や一部地域で同性婚を異性間の婚姻と同等と扱っているという。台湾では、今年5月女性初総統に就任した葵英文総統が同性婚賛成の立場をとっており、与党民進党内の同性婚支持議員らが推進してきた。国内の調査では8割の若者が同性婚を支持しているという。しかし先週の世論調査では葵政権の支持率は過半数を割ったという。
11月10日付
『AP通信』は「アジアで初、台湾が同性婚合法化へ」との見出しで以下の様に報道している。
台湾(中華民国)ではこれまで乳幼児を持つ女性カップルがいると、そのうち1人が生物学上の母親で同居人は他人扱いであったが、同性婚が合法化されることで法的にも医療や教育でも決定権を持てるように変わる事となる。立法院は婚姻の平等実現のための3つの法案を審議中でそのうち1つはすぐにも可決される見込み。同性婚は初の女性総統の蔡英文氏が積極的に押し進めた。ある調査では20~29歳で同性婚を支持する人は約8割だそうで、4年前は5割強だった。
ここに台湾の多党制民主主義等への寛容さや、仏教徒に性別への厳格な規律が無いのが見て取れる。1990年代にフェミニズムの拡大により、ゲイやレズビアンが広く世に知られ始め、エリートは「性における平等」を支持するようになっていったが、台湾の有名人ではケビン・ツァイがゲイを公言しているくらいでそれほど多くない。
台湾も既に同性婚が合法であるカナダ、コロンビア、アイルランド、米国などの16か国の仲間入りをするだろう。しかし、アジアや中東の20か国では同性婚禁止は続くとみられる。
国内では合法化が進み歓迎の声がある一方で、厳格な原理主義のキリスト教教会や保守派議員からの反対もある。同性婚合法化で社会保障費が膨らみ児童へのしわ寄せがあるとの懸念を指摘する声もある。多くは老年期に支援をあてにできる子を持たないため、配偶者が死亡した場合残された方は政府からの支援を必要とするという。
同日付米
『ABCニュース』は「台湾が同性婚を合法化へ」との見出しで次のように報道している。
アジアで初めて台湾が同性婚合法化する方針。議会は婚姻の平等を推進する3つの法案を審議中で、そのうち一つが1月以内に可決する見通しとなった。葵総統は先月同性婚支持を表明。与党民進党内の同性婚支持者が議会での意見調整を図っており、これは人権における躍進だとする。
LGBT提唱団体によると、大学の調査結果では、台湾の8割の若者は同性婚に賛成しているという。過去2012年の調査では5.5割が賛成、4割弱が反対していた。
11月11日付台湾
『台北タイムズ』は「葵氏”不支持”が”支持”を上回る」との見出しで以下のように報道している。
蔡英文総統の支持率は5月の就任後初めて過半数を割った。シンクタンクにより先週行われた5回目の電話調査では、政権を「支持する」が前回8月の調査より約8%下がり40.6%、「支持しない」が(前回の)38%から42%に上昇し、初めて葵政権を支持しない人が支持する人を上回った結果となった。
過半数の6割強が政策には満足していると回答。一方では、中国人学生への国民皆保険(NHI)加入対象拡大法案や、同性婚を合法化する民法改正法案では意見が分かれた。約47%が「一つの中国」を進めるいわゆる「92年合意」を政府が受け入れる必要がないと回答。3割弱は必要と回答した。
閉じる