【Globali】
中国が見るアフリカ開発会議(TICAD)(2016/08/30)
中国は以前よりアフリカ開発に力を入れてきているが、8月27日、28日に日本政府と国連、世界銀行共催で開催されたアフリカ開発会議(TICAD)に対して懐疑的な目を向けている。中国のメディアのTICADに対する報道ぶりを紹介したい。
8月29日付
『新華社通信』は、「論評:安倍首相、再び国際会議の議題に利己的優先事項を詰め込む」という見出しで、安倍首相は外交的努力なしに大きな国際会議を自己の政治的優先事項のために利用したと論評した。東シナ海や南シナ海での緊張が高まっているときに、安倍首相はTICADにおいて、日本が法による海洋秩序の維持と国際協力による海上安全保障の強化に責任を持つと自慢げに発言したが、これは首脳会議を政治化させ、自己の利益のために利用するもので、他の地域の紛争をアフリカに紹介することはアフリカの誰も望んでいないことを忘れている。...
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8月29日付
『新華社通信』は、「論評:安倍首相、再び国際会議の議題に利己的優先事項を詰め込む」という見出しで、安倍首相は外交的努力なしに大きな国際会議を自己の政治的優先事項のために利用したと論評した。東シナ海や南シナ海での緊張が高まっているときに、安倍首相はTICADにおいて、日本が法による海洋秩序の維持と国際協力による海上安全保障の強化に責任を持つと自慢げに発言したが、これは首脳会議を政治化させ、自己の利益のために利用するもので、他の地域の紛争をアフリカに紹介することはアフリカの誰も望んでいないことを忘れている。
アフリカ諸国に今一番必要なことは経済成長と人々の生活の向上であり、そこに他の地域の紛争を持ち出すのは場違いで極めて利己的な行為である。二国間、多国間会議で他者の関心を顧みずに利己的優先事項を議題に詰め込む安倍首相のいつものやり方は多くの批判を受けている。中国はアフリカの最大の貿易相手国であり、アフリカとの国際協力では主導的立場にある。アフリカとの協力会議では、スローガンを謳い目標を掲げるだけでは全く不十分であり、成果を出し実利を伴うものでなければならない。アフリカは沢山の開発パートナーを必要としており、中国はアフリカの経済成長を促進し、アフリカと互いにウィン・ウィンの関係を作るためなら他のパートナーと共に働く用意がある、と結んでいる。
8月29日付英文版
『中国国際ラジオ放送』は、「中国、中国とアフリカの間に紛争の種をまいたと日本を非難」という見出しで、中国外務省華春瑩報道官が月曜日定例記者会見で、日本はアフリカ諸国に自分の主張を売り込んで、中国とアフリカの間に紛争の種をまこうとしていると語ったと報じた。日本はアフリカの開発支援のための会議で、国連安全保障理事会改革や海洋安全保障問題を議題に出し、アフリカ各国首脳の顰蹙を買った。アフリカ諸国はTICADを政治化することには断固反対で、日本が自分の意図をアフリカに押し付けることにも反対している。ナイロビ宣言ではアフリカ諸国の主張がとおり、アフリカでの海洋安全保障と2015年のTICADで合意された安全保障理事会改革に従うことになったと語ったと報じている。
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中国メディア;中国はCOP21でCO2削減を訴える前に、まず北京市民を救え!(2015/11/30)
11月30日~12月11日の間にパリで開催される、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)には、中国の習主席も出席して、世界各国による2020年以降の新しい温暖化対策の枠組み合意に向けて、積極的な役割を果たそうとしている。そのCOP21会議開催の直前、中国の環境保護部長(環境保護相に相当)が、中国が当初掲げた目標より早く大気汚染減少を達成したと発表した。しかし、皮肉にもその発表前日から4日間ほど、北京周辺のスモッグが危険レベルに達している。相変わらず中国メディアは、前者のような良いニュースは大々的に流すが、後者のような悪いニュースは(隠せるものは隠すが)淡々と報道するのみで、決して政府のやり方を批判する記事を掲載することはない。
11月29日付
『中国中央テレビ』は、「中国環境保護部長、大気汚染減少目標を前倒しで達成と発表」との見出しで、「陳吉寧(チェン・ジーニン)環境保護部長(51歳)は11月29日、第12次5ヵ年計画(2010~2015年)で掲げた大気汚染減少目標を、計画より半年早く達成したと発表した。2014年までの二酸化硫黄(亜硫酸ガス)の排出量は2010年比で12.9%減少(目標値は9.8%)し、また、水質検査の指標である化学的酸素要求量(COD、注後記)も10.1%減少(同8.6%)したという。...
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11月29日付
『中国中央テレビ』は、「中国環境保護部長、大気汚染減少目標を前倒しで達成と発表」との見出しで、「陳吉寧(チェン・ジーニン)環境保護部長(51歳)は11月29日、第12次5ヵ年計画(2010~2015年)で掲げた大気汚染減少目標を、計画より半年早く達成したと発表した。2014年までの二酸化硫黄(亜硫酸ガス)の排出量は2010年比で12.9%減少(目標値は9.8%)し、また、水質検査の指標である化学的酸素要求量(COD、注後記)も10.1%減少(同8.6%)したという。ただ、中央や東部の大都市周辺の市民は、依然大気汚染に悩まされている。」と報じた。
同日付
『中国国際ラジオニュース』は、「北京市当局、今年最大のスモッグ注意報発令」との見出しで、「北京市当局は11月29日、直近2日間の黄色信号の警戒レベルから今年初めて橙信号まで引き上げた。橙信号は最も危険とされる赤信号の手前の段階である。市気象センターによると、風が凪いでいるため、このスモッグは12月1日まで居座る見込みという。首都のほとんどの場所で、PM2.5(微小粒子状物質、髪の毛の太さの30分の1程度で花粉より微小)が1立方メーター当り274マイクログラムに達している(編注;日本では、70マイクログラム超の場合で不要な外出を控えるよう注意喚起)。」と伝えた。
また、11月30日付
『上海日報』紙は、「北京のスモッグが今年最悪に」との見出しで、「北京市の環境保護活動家は、石炭火力発電所の煤煙や、野外バーベキューなどを厳しくチェックするよう要求した。なお、国家気象センターによると、北京市の他、天津、河北省、河南省、山東省、山西省、陝西省でもひどいスモッグが発生しているという。当局は、外出の際はマスクなど防護策を取るようにし、呼吸器疾病の人の外出は控えるように呼びかけている。」と報じた。
(注)COD;水中の被酸化性物質を酸化するために必要とする酸素量。酸素消費量とも呼ばれ、単位はppm。
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