現在、様々な国同士で合同軍事演習が行われている。毎年行われているインド・アメリカの軍事演習に日本の自衛隊がが初参加することになっているが、そこにオーストラリアも参加に強い意欲を抱いているという。その背景と狙いは何か。
9月3日付
『ヴォイス・オブ・アメリカ』はロイター通信の記事を引用し、オーストラリアはインド洋で行われるインド・アメリカ・日本の合同軍事演習への参加に強い意欲を示していると伝えた。オーストラリア国防省のケビン・アンドュース氏は、軍事演習への参加は領有権が争われている地域での「軍事的なアクシデント」を回避するのに役立つだろうと述べたという。インドとオーストラリアは貿易上、海運の確保という点で利害を共にしている。
このインド・アメリカ間の軍事演習はマラバール演習と呼ばれ、インド洋で毎年開催されている。以前は「招待」という形だった日本も初の参加となる。この軍事演習はインド洋での中国の動きを念頭に置いたものである。同紙は中国の南シナ海での動きは独断的で、近隣諸国そしてアメリカや日本の怒りを招いているとする。昨年インドの隣国であるスリランカの近辺で、中国の潜水艦が現れた出来事はインドに衝撃を与えた。このような南シナ海やインド洋での高まる軍事的緊張関係に、オーストラリアは強い懸念を抱いているという。
9月3日付
『デイプロマット』によると、インドは2007年に多国間の合同軍事演習を開催しており、当時アメリカに加えて日本、オーストラリア、シンガポールを招待していた。しかしながら、これが中国の怒りを買い、中国への挑発行為になりかねないとしてオーストラリアは合同軍事演習への参加を見送ったのだ。このことについて記者から質問を受けたアンドリュース氏は、この判断は当時のケビン・ラッド元首相の「間違った」判断だったと述べたという。同首相は軍事演習の翌年に控えていた外務大臣レベルでの中国との会談に備えて、中国の機嫌をとったのではないかとも言われている。アンドリュース氏は次に招待があれば、オーストラリアは喜んで合同軍事演習に参加する意向であるいうことだ。
『ヴォイス・オブ・アメリカ』は、現在アンドリュース氏は来月に行われるインドとの初の海軍合同軍事演習のために訪印中であると伝えている。合同軍事演習では、対潜水艦対策の演習も披露される予定だという。同氏は「両国間での合同軍事演習の範囲を拡大する方針で、ここ1,2年のうちに海軍、陸軍にも広げていきたい」と語ったという。またインドは、オーストラリアの機甲歩兵装甲車購入に大変興味を示しているという。
アジア・オセアニアの勢力分布図も日々少しずつ動いているといえよう。
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