フランスのフラッグ・キャリアであるエールフランス航空(AF、1933年設立、2004年KLMオランダ航空と経営統合して民営化)が、目下スキャンダルに見舞われている。スイス・ジュネーブ空港離陸後のコックピット内で、あろうことか機長と副操縦士が掴み合いの喧嘩をしたことが判明した。当該飛行機は安全にパリ/シャルルドゴール空港に到着したものの、両パイロットとも職務停止処分を受けている。しかし、問題はこれに止まらず、過去にAFで安全基準を疎かにした事例が発生しており、フランス当局による調査が進められている。
8月28日付米
『AP通信』は、「AFの2人のパイロット、コックピット内での喧嘩が原因で職務停止処分」と題して、離陸後のコックピット内で掴み合いの喧嘩をした機長と副操縦士が職務停止処分にされたが、このニュースを契機にAFの安全軽視の事案について詳報している。
AFの2人のパイロットが、よりによって離陸後のコックピット内で殴り合いを始めてしまった。
AFが8月28日に発表したところによると、今年の6月、ジュネーブ発パリ行きの航空便の機長と副操縦士が離陸後のコックピット内で喧嘩を始めたことを咎めて、両パイロットを職務停止処分にしたとする。...
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8月28日付米
『AP通信』は、「AFの2人のパイロット、コックピット内での喧嘩が原因で職務停止処分」と題して、離陸後のコックピット内で掴み合いの喧嘩をした機長と副操縦士が職務停止処分にされたが、このニュースを契機にAFの安全軽視の事案について詳報している。
AFの2人のパイロットが、よりによって離陸後のコックピット内で殴り合いを始めてしまった。
AFが8月28日に発表したところによると、今年の6月、ジュネーブ発パリ行きの航空便の機長と副操縦士が離陸後のコックピット内で喧嘩を始めたことを咎めて、両パイロットを職務停止処分にしたとする。
ただ、同機は安全に就航し、シャルルドゴール空港に無事到着したとし、AFが安全第一としていることを強調している。
ジュネーブの地元紙『ラ・トリビューン』(LT、1879年創刊のフランス語新聞)報道によると、喧嘩に気付いた搭乗クルーが割って入り、飛行中もコックピット内に留まって喧嘩を再開しないよう見張っていたという。
フランス航空事故調査局(BEA)が8月24日に、過去に発生した事案に絡み、AFの何人かのパイロットが安全に関わる事態が発生した場合に取るべき手順について、基準を厳格に守ることに欠落している、とする調査報告をリリースしたことから、本事案に関わるニュースが拡散している。
同調査報告によると、2020年12月、ブラザビル(コンゴ共和国首都)発パリ行きのAF飛行便に燃料漏れの事態が発生した際、搭乗パイロットらは、安全基準に基づいてエンジンを止めるか、可及的速やかに着陸しなければならないのに、経路変更をしただけに止めたとする。
同機は無事にチャド(コンゴ北方のアフリカ中央部)に緊急着陸したが、BEA報告によれば、エンジンから出火する恐れもあったと非難している。
更に、BEA報告によれば、2017~2022年間に似たような事案が3度発生しているが、いずれも搭乗パイロットが安全手順ではなく独自判断で行動していたという。
これに対してAFは、BEAの勧告に基づいて、安全基準徹底に努めるとし、パイロットの再訓練や安全手順に関わる厳しいマニュアル遵守等指導していくとする。
ただ、AFは、毎日数千便を運航している中にあって、BEAに指摘された安全に関わる事態は僅か4件に過ぎないとも言及している。
なお、BEAはまた、今年4月、ニューヨーク発パリ行きのAF航空便が、シャルルドゴール空港着陸時に技術的トラブルを起こしていた事態についても調査を行っている。
同日付英国『メール・オンライン』は、「ファイトorフライト? 運航中にコックピット内で喧嘩した2人のパイロットに停職処分」として、経緯を報じている。
スイス地元紙『LT』が、6月にジュネーブ発パリ行き国際便の2人のパイロットが、離陸後にコックピット内で喧嘩を始めたとし、後に2人とも停職処分とされたと報じた。
喧嘩に気が付いたクルーが止めに入ったことで、以降喧嘩が再発することはなく、1時間15分のフライトを無事に終えたという。
AF広報担当は『LT』のインタビューに答えて、“全く不適切な事態だ”とし、厳正な処分を科したとしている。
しかし、BEAがリリースした調査報告書によると、AFの約4千人のパイロットのうち何人かに、“安全手順を厳正に遵守するという点について軽視する傾向”が認められたとしていることから、本事案についても大きく取り上げられることになった。
なお、AFパイロット組合は、全てのパイロットにとって安全第一は最優先であるとした上で、(2020年12月発生の燃料漏れ事故等に関し)関係パイロットが取った緊急対応措置について擁護していくと主張している。
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