中国人民解放軍が整備を進めてきた、共産党中央軍事委員会直轄の「統合作戦指揮センター」が北京市西部に完成し、習近平(シー・チンピン)国家主席が同センターの総指揮に就任したという。これで習氏は、共産党総書記、国家主席、中央軍事委主席に加えて4つの肩書を持つことになるが、南シナ海での海洋活動含めて、習氏の指揮の下での富国強兵策が益々強化されるとみられる。
4月28日付
『ロイター通信米国版』の報道記事「習氏、中国は朝鮮半島の紛争化を許さじと言明」:
「・習主席は4月28日、北京で開かれた“アジア相互協力信頼醸成措置会議(CICA、注後記)”において、朝鮮半島の紛争化は、どの国にも利益をもたらすことはないため、中国として断固として阻止すると言明。
・北朝鮮は直近で、5月6日に党大会を開催すると発表したが、それまでに再度の核実験等を行うと見込まれることから、これら軽挙妄動を諌めるとともに、韓国に常駐する約3万人の米軍を牽制する意図と推測。...
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4月28日付
『ロイター通信米国版』の報道記事「習氏、中国は朝鮮半島の紛争化を許さじと言明」:
「・習主席は4月28日、北京で開かれた“アジア相互協力信頼醸成措置会議(CICA、注後記)”において、朝鮮半島の紛争化は、どの国にも利益をもたらすことはないため、中国として断固として阻止すると言明。
・北朝鮮は直近で、5月6日に党大会を開催すると発表したが、それまでに再度の核実験等を行うと見込まれることから、これら軽挙妄動を諌めるとともに、韓国に常駐する約3万人の米軍を牽制する意図と推測。
・なお、南シナ海において、中国は主権の範囲内のこととして人工島に様々な施設を建設しているが、米国の“航行の自由作戦”について、同海域における軍事的緊張を高めていると非難。」
同日付
『ピッツバーグ・ポスト・ガゼット』紙の報道記事「南シナ海の緊張高揚」:
「・米太平洋軍司令官は4月26日、中国の一方的な海洋活動を警戒して、先週に続いて南シナ海のスカボロー岩礁に戦闘機を派遣したと発表。
・フィリピンが提訴した国際仲裁裁判所の審理について、中国側に不利となる結果が間もなく出ると見込まれることから、それまでに更に施設建設などを進ませてしまおうと中国が考えていると懸念しての対応。」
一方、同日付
『ユーラシア・レビュー通信』の報道記事「中国、核弾頭装着可能な超高速
ミサイル発射実験成功」:
「・米国防総省の高官が同省のウェブサイト上で、中国が4月22日、同国中央部の五寨(ウーザイ)から核弾頭装着可能なDF-ZF超高速ミサイルを発射と言及。
・米国の衛星が捉えた映像によると、同ミサイルは時速数千キロメーターで飛行。
・中国の同ミサイルの発射実験は7度目で、2014~2015年に実施された過去6度の実験も全て成功。
・なお、同ウェブサイトによると、同ミサイルの最高速度は時速1万1,000キロメーター以上に達し、目下の米軍のミサイル防衛システムで追尾は不可能。」
(注)CICA:1993年に発足した多国間協力組織。1992年10月の第47回国連総会において、カザフスタン大統領が、アジア全域の相互協力と信頼醸成を目的とする地域フォーラムとして設立を提唱したことに始まる。正規加盟は28ヵ国・地域、オブザーバーは日米を含む8ヵ国であり、西アジア、中央アジア、南アジア、東アジアだけでなく、ロシアのような北アジアまで及ぶ。カザフスタンのアルマトイに常設事務局を設置。欧州安全保障協力機構のアジア版。
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フィリピンは、南シナ海における中国との領有権問題について国際仲裁裁判所に提起しており、今年半ばに出るとされる同審理結果について期待を持って待っている。一方、その結果如何にもよるが、今後同盟国の米国と、経済連携の深い中国とそれぞれどう付き合っていくのか、その方向性を決定する同国大統領選がいよいよ2週間後に迫っている。
4月23日付米
『ユーラシア・レビュー通信』の報道記事「米国と中国の狭間で揺れる2016年のフィリピン」:
「・これまでのフィリピン大統領選では、経済・雇用・福祉が主な争点であったが、今年の大統領選の争点は、海外及び国内の安全保障であり、また貿易規模の大きい中国との関係をどうするかに係っている。
・大統領選をリードするロドリゴ・ドゥテルテ候補(71歳、同国南端のダバオ市長)は、南シナ海における領有権争いについて中国と協調を図り、中国と経済連携を更に強化すべきと発言。...
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4月23日付米
『ユーラシア・レビュー通信』の報道記事「米国と中国の狭間で揺れる2016年のフィリピン」:
「・これまでのフィリピン大統領選では、経済・雇用・福祉が主な争点であったが、今年の大統領選の争点は、海外及び国内の安全保障であり、また貿易規模の大きい中国との関係をどうするかに係っている。
・大統領選をリードするロドリゴ・ドゥテルテ候補(71歳、同国南端のダバオ市長)は、南シナ海における領有権争いについて中国と協調を図り、中国と経済連携を更に強化すべきと発言。
・更に、米国がどこまでフィリピン国防を支援するか疑問ともコメント。
・ドゥテルテ候補は長期にわたるダバオ市長任期中、多くの犯罪者を極刑にしたり、依然女性の保護や人権を無視する発言を繰り返すこともあって、米国は特に同候補を強硬に非難。
・ただ、ベニグノ・アキノ大統領とアルベルト・デル・ロザリオ外相が中国との領有権争いに傾注したことから、フィリピン・中国間関係がギクシャクしていることに憂慮。
・更に、米国のみに肩入れすることは、中国関係に影響を与えるだけでなく、フィリピン南部で暴れ回るイスラム過激派を勢い付かせるとの懸念。
・従って、中国関係の修復、例えば中国主導のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)の融資を仰いで、国内インフラ開発を促進すべきとの声。」
4月25日付米
『タイム』誌の報道記事「フィリピン大統領選のトップ候補、麻薬に侵されたら自身の子供であろうと極刑にすると発言」:
「・フィリピン大統領選のトップ候補であるドゥテルテ氏は4月24日のテレビ討論会で、もし自分の子供であろうと違法な麻薬に手を出したら、極刑に処すると過激発言。
・彼は4月半ばにも、1989年に豪州の宣教師の女性が暴漢に強姦され、殺された事件に関し、自身もその場にいたら、その美しい宣教師を最初に強姦したかも知れないと暴言を吐いて、米国・豪州両大使から非難。
・しかし、5月9日に迫った大統領選に向けて、依然33%の支持率を誇り、2位のグレース・ポー上院議員(47歳)の24%を引き離している。」
同日付シンガポール
『アジア・ワン』オンラインニュース(
『AFP通信』記事引用)の報道記事「フィリピン大統領選候補、強姦発言にも拘らずリード広げる」:
「・ドゥテルテ候補の強姦発言後の4月18~20日に行われた世論調査の結果でも、同候補の支持率は33%と、3月時の27%から更に上昇。
・支持者は、同候補の強姦発言は冗談と捉えており、むしろ凶悪犯罪及び違法麻薬を許さないという厳しい態度を評価。
・政治評論家のフランシスコ・マグノ氏は、ドゥテルテ候補の支持率の高さは、国民が今、女性の保護や人権よりも、強いリーダーを求めていること、及び、他3候補が支持を取り合っていて、結果としてドゥテルテ候補を利してしまっていると分析。
・また別の評論家は、ドゥテルテ候補がトップの支持率を得ているのは、今のアキノ大統領の下、大層な経済発展を成し遂げたものの、依然フィリピン人の4人に1人が貧困に喘いでいることから、資産家や特権階級出身の大統領はいらないという気持ちの表れ。」
同日付フィリピン
『マニラ・ブルティン』紙(
『AP通信』記事引用)の報道記事「現職市長、5月9日投票の大統領選に向けてリード広げる」:
「・フィリピンのパルス・アジア世論調査会社が4月24日に発表した結果では、ダバオ市長のドゥテルテ候補が34%の支持率で、2位のポー上院議員の22%と大きな差。
・但し、評論家の多くは、ドゥテルテ候補が、経済連携の強い米国に痛烈な批判を繰り返し、また、国内のイスラム過激派一掃の支援を仰いでいる豪州に対して、かつての強姦事件に関し、冗談を言って結果として豪州人を傷つける等々、両国を敵に回すような発言をしていることから、両国から疎遠にされる恐れがあると批判。」
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