1月29日に日本銀行が決定・発表した、史上初の「マイナス金利政策」導入のニュースが驚異的だったため、この結果に少なからぬ影響を与えた12月指標データの話がかすんでしまったように思われる。各国メディアも端の方で以下のように伝えている。
1月29日付米
『NBCニュース』(
『AP通信』記事引用)は、「アベノミクス頓挫で、日本のCPI・家計支出ともつまずき」との見出しで、次のように報じた。
「・1月29日に政府が公表したデータによると、安倍首相の消費者物価指数(CPI)上昇
の掛け声も空しく、2015年通年のCPI(価格変動の大きい生鮮食品を除く)は+0.5%
に止まる。
・中国経済の減速と、引き続いての原油安の影響。
・12月の家計の消費支出も前年同月比▼4.4%減。
・12月の完全失業率は3.3%で、有効求人倍率も高く労働市場は強含みであるが、企業が先行き不安を抱え、給与アップに踏み切れないためか、平均収入は前年同月比▼2.9%減少。
・12月のCPI(生鮮食品除く)は前年同月比+0.1%とほぼ横ばい。
・ただ、生鮮食品及び石油・ガソリン等のエネルギー消費額を除いた場合、12月のCPIは+0.8%、また2015年通年では+1.0%にはなる。」
同日付中国
『シナ(新浪)オンラインニュース』は、「日本の2015年CPIは+0.5%、
失業率は3.4%に減少」との見出しで、以下のように伝えた。
「・12月も含めて、家計支出は前年同月を4ヵ月連続で下回る。
・デフレ脱却を掛け声に始まったアベノミクスの後押しで、株高・円安が進み、輸出産業の収益改善や海外投資のリターン増額があったはずだが、企業側の追加投資や給与引上げ措置が遅延していると分析。
・2015年平均の完全失業率は3.4%まで下がり、労働市場も安定しているが、消費者は、原油安に伴い浮いた分を消費ではなく貯蓄に回している結果。」
一方、同日付米
『タイム米国版』は、「米景気、2015年最後の月で急減速」との見出し
で、次のように報じた。
「・好調な米景気も、2015年の最後の3ヵ月は僅か+0.7%の低成長に終わる。
・世界的景気後退及び米ドル高の影響で米輸出産業が伸び悩み、投資も減退したことから、消費支出が抑えられたと分析。
・6年半続いた好景気がそろそろ終焉を迎えるのかとの懸念があるが、ほとんどのエコノミストは、今年の1~3月期に反動が出ると期待を以て予測。
・2015年の経済成長率は2014年に続き+2.4%と、2013年の+1.5%より底堅く、継続的な経済成長は2009年6月に世界金融危機が去って以来のこと。
・2016年の経済成長について、エコノミストは少々成長率が落ちるも2%レベルは可能と予想。」
また、同日付英
『メール・オンライン(デイリィ・メール電子版)』(
『ロイター通信』
記事引用)は、「経済成長率低下を理由に次の利上げ時期が遅れると期待し、ニューヨーク
株式市場が上昇」との見出しで、以下のように伝えた。
「・米連邦制度理事会(FRB)は、3月の政策決定会合での追加利上げについて明言していないが、2015年10~12月期が僅か+0.7%成長に終わったことから、市場は利上げ時期が6月まで遅れる可能性大と好感。
・ニューヨーク・ダウ工業株価平均は1月29日朝方、前日比+124.3ドル(+0.77%)の16,193.94ドルで取引。
・ただ、世界同時株安で始まった2016年の下落分はまだ回復できていない状況。」
なお、1月29日のニューヨーク・ダウ工業株価平均の終値は、日銀の異例なマイナス
金利政策導入などを受けて、前日比+396.66ドル(+2.47%)の16,466.30ドル値上りし
た。この上げ幅は、中国経済の減速懸念を背景にした世界的な株安の反動で大きく買い戻
しが入った、2015年8月26日(+619ドル)以来、5ヵ月振りの大きさである。
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