韓国の国家情報院(NIS)は2日、NATOサイバー防衛協力センター(CCDCOE)に正式に会員となったことを発表した。防衛同盟へのアジア初の加入国となった。一方でこの動きは、地域の大国である中国との緊張を煽る危険性がある。
米ニュースサイト
『ブライトバート』によると、韓国のNISは、「CCDCOEに派遣するスタッフの数を増やし、共同訓練の範囲を拡大することで、サイバー対応能力を世界トップクラスに強化する計画だ」と述べている。
CCDCOEは、エストニアがロシアによる大規模なサイバー攻撃を受けたことを機に、2008年5月に設立された多国籍機関である。サイバー攻撃は、エストニアが第二次世界大戦中のロシア軍兵士の銅像を移設したことに対する報復としてロシアが行ったもので、数週間にわたり、エストニアの銀行、メディア、政府機関が機能不全に陥った。...
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『ブライトバート』によると、韓国のNISは、「CCDCOEに派遣するスタッフの数を増やし、共同訓練の範囲を拡大することで、サイバー対応能力を世界トップクラスに強化する計画だ」と述べている。
CCDCOEは、エストニアがロシアによる大規模なサイバー攻撃を受けたことを機に、2008年5月に設立された多国籍機関である。サイバー攻撃は、エストニアが第二次世界大戦中のロシア軍兵士の銅像を移設したことに対する報復としてロシアが行ったもので、数週間にわたり、エストニアの銀行、メディア、政府機関が機能不全に陥った。
CCDCOEは、エストニアのタリンに本部を置き、2009年からサイバーセキュリティ会議の開催を開始し、研究拠点として重要な役割を果たすようになった。今回の韓国の加入により、CCDCOEの正会員は32カ国となり、そのうち27カ国はNATO加盟国である。
韓国のNISは2019年に加盟申請書を提出し、2020年と2021年には大規模なサイバー防衛演習「ロックド・シールズ」に参加している。「ロックド・シールズ」は、実弾を使用する軍事訓練に類似し、大規模なサイバー攻撃をシミュレートし、参加国の防御力をテストするものである。「ロック・シールズ2022」には、ウクライナも、「貢献参加国」として参加した。
韓国は、金融、学術、軍事などにおいて莫大なコンピューター・ネットワークを構築しており、サイバーテロや犯罪者にとっては魅力的なターゲットになっている。韓国の防衛アナリストたちは、韓国軍が作戦や兵站をコンピューター・ネットワークに大きく依存していることに特に懸念を示してきた。
米誌『タイム』によると、韓国がCCDCOEに正式に加入したことを受けて、中国共産党機関紙「環球時報」の編集長は、この動きは中国政府への侮辱であり、アジアでの戦争の下地作りであるとツイートした。そして、「韓国が近隣諸国と敵対する道を歩むなら、その行き着く先はウクライナと同じかもしれない」と警告した。
釜山にある東西大学の政治学者であるショーン・オマリー教授は、韓国の加入はサイバーセキュリティを深刻な脅威として認識させるための、「過去10年間に及ぶ、時間をかけた働きの集大成」だと説明している。加入を受けて、米国とその同盟国らがさらに緊密になる反面「中国は韓国ができるだけ自立していることを望んでいる」はずだと述べている。
韓国は、LGやサムスンといった世界トップクラスのハイテク企業を擁しているにもかかわらず、サイバー犯罪対策に関しては遅れをとり、2018年にようやく文在寅政権下で国家サイバーセキュリティ戦略が打ち出された。ソウルの韓国自由民主主義研究所によると、6800人もの北朝鮮工作員が詐欺、恐喝、オンラインギャンブルに従事しており、多くの攻撃は中国国内から発信されているという。
英『インフォセキュリティ・マガジン』によると、CCDCOEは3月に、スウェーデン、フィンランド、スイス、といった非NATO諸国に加えて、ウクライナを「貢献参加国」として承認しており、それに続く今回の韓国の動きに対し、ロシアは怒りに満ちていることだろう、と伝えている。
なお、先月開催された「ロック・シールズ2022」ではフィンランドが優勝しており、フィンランドは、ロシアのウクライナに対する侵攻を受けて、今月末にNATOへの加盟を申請する可能性が伝えられている。
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