地球温暖化問題で米国の足元を見る中国(3月20日)
中国に対して人権問題、台湾問題、香港問題などで強い姿勢を示す米国バイデン政権だが、一方では地球温暖化問題で世界と連携していく姿勢を示し、中国と話し合う姿勢をみせている。
バイデン政権の政策の中心である環境問題を進めるにあたり中国は米国より優位にあるため、バイデン政権は中国に対し強く出れない。何がそうさせているのか。
まず、EV製造の際やカーボンニュートラルのためのグリーンテクノロジーには欠かせないレアアースを中国に握られていることが大きい。...
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中国に対して人権問題、台湾問題、香港問題などで強い姿勢を示す米国バイデン政権だが、一方では地球温暖化問題で世界と連携していく姿勢を示し、中国と話し合う姿勢をみせている。
バイデン政権の政策の中心である環境問題を進めるにあたり中国は米国より優位にあるため、バイデン政権は中国に対し強く出れない。何がそうさせているのか。
まず、EV製造の際やカーボンニュートラルのためのグリーンテクノロジーには欠かせないレアアースを中国に握られていることが大きい。
レアアースは中国にとってハイテク戦略物資であり、日本も尖閣問題の際、輸出を止められた経緯があり大きな被害を受けた。
驚くべきことに中国では自国で採掘されたものを含めて、世界のおよそ6割のレアアースを握っている。実はレアアース自体は例えば米国でも採掘されているが、先進国では自国でレアアースを採掘したにも関わらず、有害な放射性物質(ウラン、トリウム)を除去するために一旦中国にレアアースを送り、そこで除去してから自国に再度輸入しているのである。
もうひとつは太陽光発電で重要な役割を果たす部品ポリシリコンである。皮肉なことに人権問題で有名な新疆ウイグル自治区で、ポリシリコンの世界における供給量の50%を生産している。
バイデン大統領は「米国は(ウイグルの問題は)人権問題だと捉えているが、中国にとっては国家の分断を防ぐ国内の治安問題だ」と発言する等、弱腰に見えるが問題はこの辺りに潜んでいると思われる。
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今後の鍵を握る水素エネルギー(3月20日)
各国のリーダーたちが、カーボンニュートラル社会の実現に向けての決意を相次いで表明した。日本も脱化石燃料シフトに転じることを余儀なくされ、2020年9月、菅首相は「2050年までに日本をカーボンニュートラルにする」との宣言を行った。原発と火力発電が基幹エネルギーである日本にとって、この目標達成は簡単なことではない。
70年前に、日本は原発を基幹エネルギーと定め、54基の原発を持つ原発大国としてやってきた。...
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各国のリーダーたちが、カーボンニュートラル社会の実現に向けての決意を相次いで表明した。日本も脱化石燃料シフトに転じることを余儀なくされ、2020年9月、菅首相は「2050年までに日本をカーボンニュートラルにする」との宣言を行った。原発と火力発電が基幹エネルギーである日本にとって、この目標達成は簡単なことではない。
70年前に、日本は原発を基幹エネルギーと定め、54基の原発を持つ原発大国としてやってきた。ところが2011年の福島原発事故で、原発への夢は断たれ、現在稼働している原発は僅か9基である。
この事故が化石燃料への依存度をより高める結果につながり、2018年の段階で日本の原油海外依存度は99.7%、LNG依存度は97.7%、石炭への依存度は99.5%となっていて、紛れもない化石燃料輸入大国になっている。2019年には国連気候変動枠組条約第25回締約国会議において、化石賞という有難くない賞まで受賞させられてしまった。
日本のエネルギー自給率はわずか11.8%(2018年)に過ぎない。国際情勢などに左右されて安定的なエネルギー源を確保できずに高値でエネルギーを買わされているのが現在の日本の姿である。
日本は原発と火力発電所という両手を縛られた状態にある。ただ、菅首相の国際公約を実現するためには、禁じ手である原発や火力発電をうまく組み合わせつつ、風力発電や太陽光発電などの再生可能性エネルギーの数を増やし自動車の電動化を進めていくしか、道がないのかもしれない。
そんな中、注目が集まっているのが、水素発電である。海外でも火力発電所を100%水素燃料にするプロジェクトが進んでいて、世界では水素をめぐる覇権争いが起きている。
実は水素エネルギーで一番技術を持っているのは日本で、1973年のオイルショックの時代から水素エネルギー協会というのを立ち上げて、50年近くになる。その間にいろいろな研究者が水素の研究をしてきたため、水素の基礎技術や装置の技術が非常に進んでいる。要素技術は非常に持っているがシステムにするとなると海外の方が強いため、一刻も早く日本の水素技術をシステム化し世界標準にし、日本の成長産業につなげていく戦略が求められている。
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持続可能な社会を達成するために(3月13日)
東日本大震災、福島原発事故から10年が過ぎたが、未だにその爪痕は消えていない。特に福島原発の対策がこれからという状態で、汚染水や取り出したデブリ、それに汚染土をどこに持っていきどう処理するかなど、根本的な対策にも手がつけられていない。
ここから見えてくるものは、脱化石燃料、脱原子力というエネルギーの流れの中で①「これからのエネルギーをどうするのか」という問題と②「災害対応のシステム」である。...
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東日本大震災、福島原発事故から10年が過ぎたが、未だにその爪痕は消えていない。特に福島原発の対策がこれからという状態で、汚染水や取り出したデブリ、それに汚染土をどこに持っていきどう処理するかなど、根本的な対策にも手がつけられていない。
ここから見えてくるものは、脱化石燃料、脱原子力というエネルギーの流れの中で①「これからのエネルギーをどうするのか」という問題と②「災害対応のシステム」である。
②に関して、自民党・石破氏は災害や事故に対応する防災省の設置の必要性を提唱している。一部からは「防災省は平時は暇であり、税金の垂れ流しになる」と批判的な見方があるが、石破氏はむしろ平時において災害への準備を不断に行うことこそが重要であると反論している。
防災省として省庁に組み込むよりは、むしろ機動的なシステムにして、災害や緊急時対応で蓄積されたノウハウや知見をパッケージで困っている国に売っていけるような日本の成長産業につなげていくぐらいのシステムが今の日本には必要とされているかも知れない。
一方、持続可能な社会を達成するためには、①「これからのエネルギー」をどうするのかの議論が必要不可欠である。今、化石燃料、原発の代わりとして注目されているのが再生可能エネルギーであることは議論を待たない。特に注目されているのが風力発電と太陽光発電である。
注目される風力発電については、日本でも浮体式、着床式風力発電の建設が進行中であるが、1980年代、新規の風力発電には1キロワット時52.44円かかっていた。10年後の2030年までには風力発電の1キロワット時0.92円時代が到来すると言われている。太陽光発電の方もこの40年間で製造コストが3000分の1に圧縮されるなど、大幅に安くなってきている。
今、風力発電と太陽光発電を1つの送電線に統合するなど組み合わせを模索する動きが出てきている。風は太陽が照っていない間に吹く傾向があり、うまく組み合わせれば両者が補い合う形で使用できる可能性もある。再生可能エネルギー普及のための鍵となるのが蓄電池で、イーロンマスクはリチウムイオン電池をスケール化し年間20ギガワットの電池を生み出す計画をたてている。マスクは100か所にこのギガワットファクトリーを作れば地球上に必要とされるエネルギーを全て貯蔵することができるようになると試算している。リチウムイオン電池に強い日本はこの業界をけん引しているだけの可能性を持っている。
更に新たに期待を集めている、全個体電池の開発も一定の段階を迎えている。まだまだ新たな挑戦は続いてゆくと期待されている。
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自工会会長・福島で「水素事業に参加」(3月12日)
10年前の原発事故の後、福島県浪江町では再生可能エネルギーで水素を作る事業が進められている。
日本自動車工業会・豊田章男会長は、これに業界として参加する考えを示した。
また豊田会長は「脱炭素」目標に関して、“これからは二酸化炭素の排出が少ない国にシフトしていく可能性もある。
国は自動車を真ん中にしてエネルギー政策を考えてほしい”と述べた。
電力会社買い取り“1兆円前後増”・国民負担のあり方検討(3月2日)
経済産業省は、再生可能エネルギーの導入が目標どおりに進んだ場合、2030年度には電力会社による買い取り費用が、昨年度より1兆円前後膨らむという試算をまとめた。
再生可能エネルギーの電力は大手電力会社が買い取ることが義務づけられ、その費用の多くは電気料金に上乗せされて国民が負担する仕組みになっている。
再生可能エネルギーの拡大には、送電網の整備なども必要で経済産業省は、国の中長期的なエネルギー政策の方針であるエネルギー基本計画の改定に向けて、再生可能エネルギーの導入拡大と国民負担の在り方について検討を進めることにしている。
脱炭素・燃料電池車の発電システム・トヨタが販売・水素利用促す(2月27日)
脱炭素社会に向けて重要なエネルギーとされる水素の利用を広げようとトヨタ自動車が燃料電池車「MIRAI」に搭載しているものと同じ発電システムをことしの春以降、ほかの企業向けに販売することになった。
水素と酸素を反応させ発電する装置やコンバーターなど長方形の箱にまとめていて、トラックやバス、鉄道などの乗り物や発電設備への利用を想定している。
トヨタは燃料電池車の開発で培った技術を社外にも提供し水素の利用を促し、ゆくゆくは水素ステーションなどインフラの拡充にもつなげる狙いである。
気候変動・バイデン政権の対策・国内では反発の声も(2月20日)
米国・バイデン大統領は「新型コロナのように気候危機についても国をあげた対策が必要、気候危機は現実だ」と発言し、気候変動問題について「安全保障上の脅威」と位置付けており、化石燃料に依存しない社会を目指すとしている。
バイデン政権発足初日に決定したのは、トランプ前政権が進めていた原油パイプライン「キーストーンXL」建設許可の取り消しだ。
カナダで採掘した原油を南部テキサス州まで運ぶエネルギー網を拡張する建設費9000億円規模の大型プロジェクトだが、計画は二転三転し長年政治対立の象徴となってきた。...
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米国・バイデン大統領は「新型コロナのように気候危機についても国をあげた対策が必要、気候危機は現実だ」と発言し、気候変動問題について「安全保障上の脅威」と位置付けており、化石燃料に依存しない社会を目指すとしている。
バイデン政権発足初日に決定したのは、トランプ前政権が進めていた原油パイプライン「キーストーンXL」建設許可の取り消しだ。
カナダで採掘した原油を南部テキサス州まで運ぶエネルギー網を拡張する建設費9000億円規模の大型プロジェクトだが、計画は二転三転し長年政治対立の象徴となってきた。
自然保護を訴える活動をしてきたランスフォースターは「次世代の子どもたちのための行動は間違っていない」と建設許可の取り消しを歓迎している。
しかし、バイデン大統領の決定には反発も広がっている。工事中止で仕事を失った男性は次の仕事が見つかっておらず「大統領は建設中止による影響をもっと調べるべきだ。影響を受けるのは地域社会全体だ」と主張する。
共和党はこのプロジェクトの中止で4万人以上の雇用機会を奪われると批判した。
バイデン大統領は再生可能エネルギーの普及へ投資や税制改革を進める方針だが、実現には共和党の協力が必要で反発にどう対応するかが課題となる。
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米国「パリ協定」復帰で指導力・回復へ(2月19日)
バイデン大統領は就任初日に、トランプ前大統領が離脱した地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に復帰する為の文書を国連に提出し19日、米国は協定に復帰する。
バイデン政権は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指し、削減目標を4月までに国連に提出する方針である。
途上国の排出削減を支援する資金計画の検討を進める他、4月には主要な排出国の首脳級によるサミットを開催し、対策を加速させる。
国務省の報道担当者は、各国に対し温室効果ガスの削減目標を引き上げるよう求めていく考えを示した。
バイデン大統領は、気候変動対策を外交や安全保障の中心的な課題としており、パリ協定に復帰し対策を主導することで、国際社会での指導力の回復に繋げたい考えである。
脱炭素へ・切り札になるか・洋上風力発電(2月13日)
今世界は“脱炭素社会”に向け動き始めている。太陽光や陸上風力による再生エネルギーだけで脱炭素化は難しいというのが現状である。
切り札として「洋上風力発電」に注目が集まりその可能性について伝える。政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標を達成のため、2040年までに3000~4500万kWを作ろうとしている。
大型火力発電所に換算すると30~45基分となる。...
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今世界は“脱炭素社会”に向け動き始めている。太陽光や陸上風力による再生エネルギーだけで脱炭素化は難しいというのが現状である。
切り札として「洋上風力発電」に注目が集まりその可能性について伝える。政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標を達成のため、2040年までに3000~4500万kWを作ろうとしている。
大型火力発電所に換算すると30~45基分となる。英国の洋上風力発電は2200基以上、ドイツでも約1500基などヨーロッパでは先行して取り組み成果を上げている。
日本の取り組みはこれからで、風車は1基で約2000世帯分の電気を賄うことができる。
洋上風力発電を手掛ける・東京電力リニューアブルパワー・福本幸成は「(日本は)洋上の風エネルギーを使うための好条件がそろっている。われわれば技術開発のフロンティアにいま立っている」と話した。
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2050年・脱炭素社会の実現は(2月3日)
温室効果ガスの排出が増えれば金銭的にマイナスと見なす考え方が“カーボンプライシング”だ。
東京・千代田区・三井物産ではガス田開発や発電への投資などを検討する際、温室効果ガスの排出量もコストとして計算する独自のカーボンプライシングを導入している。
三井物産グローバル環境室・西川淳也室長は「環境への影響の大きさを金額に置き換えて読み解く必要がある」と話す。
三菱総合研究所・井上裕史首席研究員は「カーボンニュートラルに向けたビジョンを打ち出す業界、企業も増えているが、具体のアクションはこれから。...
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温室効果ガスの排出が増えれば金銭的にマイナスと見なす考え方が“カーボンプライシング”だ。
東京・千代田区・三井物産ではガス田開発や発電への投資などを検討する際、温室効果ガスの排出量もコストとして計算する独自のカーボンプライシングを導入している。
三井物産グローバル環境室・西川淳也室長は「環境への影響の大きさを金額に置き換えて読み解く必要がある」と話す。
三菱総合研究所・井上裕史首席研究員は「カーボンニュートラルに向けたビジョンを打ち出す業界、企業も増えているが、具体のアクションはこれから。具体のアクションまで経営層が覚悟を持って取り組めるかというところがまず大きなポイント」と話す。
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2011年~2020年・観測史上最も暑い10年に(1月15日)
世界の5つのも中央気象機関によると2020年は史上まれに見る暑い年になり2011年から2020年までは観測史上、最も暑い10年になった。
国連の事務総長は今世紀、地球の温度は壊滅的な上昇に向かっていることが示されたとしている。
インドネシアでは必死の救出作業が行われている。今週初め豪雨による土砂崩れが発生した。
世界はより暖かくなり、これからもさらに激しい豪雨があり得るとしている。...
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世界の5つのも中央気象機関によると2020年は史上まれに見る暑い年になり2011年から2020年までは観測史上、最も暑い10年になった。
国連の事務総長は今世紀、地球の温度は壊滅的な上昇に向かっていることが示されたとしている。
インドネシアでは必死の救出作業が行われている。今週初め豪雨による土砂崩れが発生した。
世界はより暖かくなり、これからもさらに激しい豪雨があり得るとしている。
より暑くより乾いた気候になしそうな国もある。昨年、オーストラリアで発生した山火事はそれ自体、新しいことではないが、人間の活動により二酸化炭素が増え大気が温められるとより激しい災害が起きるリスクが高まる。
パンデミックによりロックダウンとなり交通量は減ったものの大気に排出される二酸化炭素の量に対した変化はない。
過去170年の気温が英国、米国などの科学者チームにより調べられた。年ごとに違いがあるものの最近のトレンドは極めて劇的で地球は暑くなってきており結果、この10年は観測史上最も暑くなっている。
また世界的に危険とされている平均気温の上昇限度の1.5度に近づいている。
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脱炭素・温室効果ガス中期目標・削減引き上げ焦点に(1月2日)
2050年までの脱炭素社会の実現に向けて政府は今年必要となる政策やロードマップの検討を急ぐことにしている。
この中では温室効果ガスの排出量を2030年度に2013年度と比べ26%削減するという中期的な目標を見直す方針となっている。
世界的に見ると2050年までの脱炭素社会の実現を表明する国が相次ぐ中、中間的な位置づけとなる2030年までの削減目標も見直しの動きが進み、英国が先月“1990年度比で少なくとも68%削減する”と踏み込んだ目標を発表した他、EUヨーロッパ連合も“1990年比で少なくとも55%削減する”と目標を引き上げた。...
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2050年までの脱炭素社会の実現に向けて政府は今年必要となる政策やロードマップの検討を急ぐことにしている。
この中では温室効果ガスの排出量を2030年度に2013年度と比べ26%削減するという中期的な目標を見直す方針となっている。
世界的に見ると2050年までの脱炭素社会の実現を表明する国が相次ぐ中、中間的な位置づけとなる2030年までの削減目標も見直しの動きが進み、英国が先月“1990年度比で少なくとも68%削減する”と踏み込んだ目標を発表した他、EUヨーロッパ連合も“1990年比で少なくとも55%削減する”と目標を引き上げた。
日本政府も中期的な目標を今年秋ごろまでに見直す方針で政策を総動員し削減幅をどれだけ引き上げられるかが焦点となる。
政府はあらたな数値目標を具体的な政策とともに国連で提出し11月に英国で開催予定の「COP26」で発信したい考えである。
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脱炭素2050年へ政府計画(12月24日)
2050年の脱炭素社会の実現に向けた計画の原案が明らかになった。グリーン成長戦略としてあすにも発表する。
政府が掲げる2050年の温暖化ガスの排出量実質ゼロに向けた工程表と位置づけ洋上風力や水素など14の重点分野を設定する。
EV電気自動車は課題となるコストでガソリン車並みをめざすほか、原子力発電は小型新型炉の開発を進める。
政府が明確に目標や支援策を示すことで、民間企業が投資を進めやすい環境を整える。...
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2050年の脱炭素社会の実現に向けた計画の原案が明らかになった。グリーン成長戦略としてあすにも発表する。
政府が掲げる2050年の温暖化ガスの排出量実質ゼロに向けた工程表と位置づけ洋上風力や水素など14の重点分野を設定する。
EV電気自動車は課題となるコストでガソリン車並みをめざすほか、原子力発電は小型新型炉の開発を進める。
政府が明確に目標や支援策を示すことで、民間企業が投資を進めやすい環境を整える。
きょうのキーワードは「温暖化ガス排出量実質ゼロ」となる。
政府は10月に、2050年までに温暖化ガス排出量実質ゼロにすると掲げた。目玉の洋上風力は原発45基分にあたる電力になる。
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「脱炭素社会」実現へ・2050年の発電量・再エネを5~6割(12月22日)
政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標を掲げている。
実現の鍵の一つが再生可能エネルギーである。
電源構成に占める割合は、昨年度は速報値で全体の18%になっているが、2050年に主力電源として最大限の導入を目指すとして、5割から6割まで拡大することを目安とするとしている。
また、原子力発電は安全性の確保を前提に、一定規模の活用を目指すとしている。
さらに火力発電と、そこから排出される二酸化炭素を吸収する技術を組み合わせることで、全体の3割から4割を賄うとしている。...
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政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標を掲げている。
実現の鍵の一つが再生可能エネルギーである。
電源構成に占める割合は、昨年度は速報値で全体の18%になっているが、2050年に主力電源として最大限の導入を目指すとして、5割から6割まで拡大することを目安とするとしている。
また、原子力発電は安全性の確保を前提に、一定規模の活用を目指すとしている。
さらに火力発電と、そこから排出される二酸化炭素を吸収する技術を組み合わせることで、全体の3割から4割を賄うとしている。
ただ、再生可能エネルギーを大規模に導入するには、自然条件の制約や、発電量が不安定なことなど、課題も多く、技術革新やコストの低減が課題となる。
二酸化炭素に価格をつけ、企業や家庭に排出量に応じてコストを負担してもらう仕組み、カーボンプライシングの具体的な制度としては、炭素税や排出量取引制度などが挙げられるが、産業界からは慎重な声が根強く、本格的な導入には至っていない。
環境省の有識者会議は、2050年までに脱炭素社会を実現する目標を法律に盛り込むことを検討するべきなどとする報告書の案を公表した。
環境省は、最終的な報告書の内容を、来年の通常国会に提出する予定の地球温暖化対策推進法の改正案に反映させる方針である。
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洋上風力発電“次世代産業に”政府・導入計画を決定(12月16日)
脱炭素社会の実現に向け、政府は洋上風力発電の導入計画を決定した。
2040年までに発電能力を大型火力発電所に換算して30基分以上に拡大するとしている。
産業界も、着床式風力発電のコストを火力発電より低く大幅に引き下げるとしている。
梶山経済産業相は「全力で応援していきたい」と述べた。
環境省「カーボンプライシング」議論再開へ(12月11日)
脱炭素社会の実現に向けて環境省は二酸化炭素に価格をつけて排出量に応じたコストを負担してもらうカーボンプライシングの導入の可能性を検討する有識者などによる委員会を年明けにもおよそ1年半ぶりに開催することを決めた。
カーボンプライシングは二酸化炭素に価格をつけ、企業や家庭に排出量に応じてコストを負担してもらう仕組みである。
中央環境審議会にはおととしカーボンプライシングの活用を検討する有識者などによる小委員会が設けられ、議論が始まったが、産業界から導入に否定的な意見が相次ぎ、去年8月以降、新型コロナウイルスの感染拡大もあって委員会は一度も開催されていなかった。
2030年までに脱ガソリン車に・東京都内で販売の新車(12月9日)
東京都・小池知事は都内で販売される新車について乗用車は2030年までに、二輪車は2035年までにガソリンエンジンだけの車をなくし、すべてを全電気自動車や燃料電池車、ハイブリッド車などにする目標を掲げると表明した。
電動車に舵を切る日本(12月5日)
経済産業省は今月10日にも国内自動車大手や有識者が集まる会議で「電動車比率100%」に舵を切る、より具体的には2030年代半ばに販売されるすべての新車をEVやFCVなどの電動車に移行させるという方針を表明する。
政府はこの新たな目標設定に合わせ、モーターを動かす心臓部となる蓄電池の開発や、充電インフラの整備を支援していく予定で、FCVに必要な水素の供給拠点の設置も今後、加速させていく考えである。...
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経済産業省は今月10日にも国内自動車大手や有識者が集まる会議で「電動車比率100%」に舵を切る、より具体的には2030年代半ばに販売されるすべての新車をEVやFCVなどの電動車に移行させるという方針を表明する。
政府はこの新たな目標設定に合わせ、モーターを動かす心臓部となる蓄電池の開発や、充電インフラの整備を支援していく予定で、FCVに必要な水素の供給拠点の設置も今後、加速させていく考えである。
電動車に舵を切る背景には2つの考えがある。一つは自動車による二酸化炭素排出量の大幅な削減につなげる環境保護の考えである。もう一つは脱ガソリン車の動きが世界的に加速し、日本の自動車産業が世界での競争力を失なってしまうという危機感である。
EVに切り替えた場合、最大20万人が失業すると言われている。英国やカルフォルニアのように日本が得意なハイブリッド車を電動車に含めないとする国や州も出ており、日本に有利な状況とはいえない。将来を見据えた場合、ハイブリッドという選択肢を外さないとただでさえ出遅れている日本がますます出遅れてしまう事態にもなりかねない。
世界のEV市場で戦うため、今後、日本とってのカギになってくるのがサプライチェーンの構築と業界再編成だということだ。EV化に成功した中国は既に国内にEVサプライチェーンを構築している。
バッテリー最大手にはCATLという会社を持っており、ここから中国製バッテリーが欧州に輸出されるような流れになっている。中国は、かって日本の自動車産業が構築していた産業ピラミッドをEV市場で築きつつあり、日本は後手に回っている。
コロナ禍で忘れがちだが、日本人はこれから、どうやって飯を食っていくのかというシビアな局面に立たされているという危機感は共有するべきである。
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新車2030年代に全て電動車(12月4日)
自動車業界が大きな方向転換となりそうだ。
2030年代半ばをめどに新車市場でガソリン車が消える。キーワードは「電動車」で、電動車は電気で動く車だ。
「電気自動車」「EV」「ハイブリッド車、プラブインハイブリッド車」「燃料電池車」がある。
英国は2035年までにハイブリッドを含めて停止する。電動車にハイブリッドを入れない国や地域がある。大きいのは雇用に対する影響する。
日本が競争力を維持している自動車産業はピラミッド構造になっている。...
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自動車業界が大きな方向転換となりそうだ。
2030年代半ばをめどに新車市場でガソリン車が消える。キーワードは「電動車」で、電動車は電気で動く車だ。
「電気自動車」「EV」「ハイブリッド車、プラブインハイブリッド車」「燃料電池車」がある。
英国は2035年までにハイブリッドを含めて停止する。電動車にハイブリッドを入れない国や地域がある。大きいのは雇用に対する影響する。
日本が競争力を維持している自動車産業はピラミッド構造になっている。
EVに切り替えると、最大20万人の雇用が減ると言われている。
将来の脱ハイブリッドの時代を見据えた研究開発がかかせない。
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二酸化炭素の回収・技術普及で協力へ(11月21日)
ASEAN(東南アジア諸国連合)の加盟国と日本や米国、中国などが参加する東アジアサミットのエネルギー大臣会合が開かれ、排出された二酸化炭素を地中に埋めたり、再利用したりする技術の普及に向けて各国が協力して取り組んでいくことで一致した。
二酸化炭素を回収して地中に埋めたり、燃料や化学品として再利用したりする技術は「CCUS」と呼ばれている。
米国などではすでに実用化されているほか、国内でも北海道苫小牧市で実証試験が行われているが、コストの高さや土地の確保などが課題となっている。...
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ASEAN(東南アジア諸国連合)の加盟国と日本や米国、中国などが参加する東アジアサミットのエネルギー大臣会合が開かれ、排出された二酸化炭素を地中に埋めたり、再利用したりする技術の普及に向けて各国が協力して取り組んでいくことで一致した。
二酸化炭素を回収して地中に埋めたり、燃料や化学品として再利用したりする技術は「CCUS」と呼ばれている。
米国などではすでに実用化されているほか、国内でも北海道苫小牧市で実証試験が行われているが、コストの高さや土地の確保などが課題となっている。
会議では、この技術の普及に向けて各国が協力して取り組んでいくことで一致し、インドネシアの油田などで共同調査などを行っていくことになった。
日本としては、2050年までに二酸化炭素の排出を全体としてゼロにする目標の実現に向け、国際的な連携を主導していきたい考えである。
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世界はグリーンニューディールに舵を切った(11月21日)
バイデン政権になった米国はグリーンニューディールを前面に立て、二酸化炭素の排出削減へ向けて大きく舵を切った。
菅首相も2050年までに日本の温室効果ガスの排出を実質ゼロにする事を打ち出している。EUも2050年までに排出を実質ゼロにすると宣言した。中国も2060年までに実質ゼロにするとしている。
そんな中で、中国が温室効果ガス削減の切り札と位置付けているのが電気自動車(EV)である。EVは再生可能エネルギーの蓄電池としての役割も期待されており、中国は補助金をつけるなどして、国を挙げてEVの普及に力を入れている。...
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バイデン政権になった米国はグリーンニューディールを前面に立て、二酸化炭素の排出削減へ向けて大きく舵を切った。
菅首相も2050年までに日本の温室効果ガスの排出を実質ゼロにする事を打ち出している。EUも2050年までに排出を実質ゼロにすると宣言した。中国も2060年までに実質ゼロにするとしている。
そんな中で、中国が温室効果ガス削減の切り札と位置付けているのが電気自動車(EV)である。EVは再生可能エネルギーの蓄電池としての役割も期待されており、中国は補助金をつけるなどして、国を挙げてEVの普及に力を入れている。
中国は、日本の自動車産業と同じピラミッド構造を中国国内で作り上げ、世界におけるEVの輸出拠点となりつつある。世界のEV生産台数66万台のうち、およそ40%が中国製EVであり、世界の自動車産業の勢力構造は日米欧から中国に塗り替えられつつある。
米国・テスラ社、ドイツ・BMW、フランス・ルノーも中国で生産したEVを欧州に輸出するなどしている。
この波に乗り遅れまいと日産やホンダも中国企業と合弁でEV生産に乗り出している。
中国で拡大するEV生産の恩恵は日本の部品・素材企業にも及んでおり、EVの駆動モーターには日本電産のモーターが使われている他、旭化成や住友化学なども現地生産でリチウム電池の構成素材を提供している。
自動車産業という基盤事業を失いつつある日本勢は振り切られることがないように、この大きな波についていくことが肝心であり、その上で自らの立ち位置を探していく必要がある。
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船舶の温室効果ガス削減義務づけ議論(11月17日)
IMOの海洋環境保護委員会は約110か国が参加しきのうから5日間の日程でオンラインで行われた。
世界の船舶による輸送量はおととしまでの10年間で40%増加するなど対策が急務である。
会議では日本を中心とした19か国から新たなルールを提案されている。
提案されたルールは運航中の船は種類、大きさごとに一定の削減目標値、燃料消費量を減らすことを義務付けている。
監督官庁が1年間の燃費実績を調査を格付け、評価の低い船舶に改善計画を提出させることが盛り込まれている。...
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IMOの海洋環境保護委員会は約110か国が参加しきのうから5日間の日程でオンラインで行われた。
世界の船舶による輸送量はおととしまでの10年間で40%増加するなど対策が急務である。
会議では日本を中心とした19か国から新たなルールを提案されている。
提案されたルールは運航中の船は種類、大きさごとに一定の削減目標値、燃料消費量を減らすことを義務付けている。
監督官庁が1年間の燃費実績を調査を格付け、評価の低い船舶に改善計画を提出させることが盛り込まれている。
国土交通省は温室効果ガス削減につながる船舶の技術開発、排出量は少ない燃料を使う船の導入を促す制度を設けている。
このうち日本郵船は今月LNGで航行する大型貨物船を日本で初めて就航させた。海洋環境保護委員会課長・国土交通省海事局・斎藤英明技術審議官は「各国の思惑を乗り越えて合意できるように頑張っていきたい」とコメントした。
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東芝・石炭火力発電所建設工事の受注停止へ(11月11日)
炭素社会の実現に向けた機運が高まる中、大手電機メーカーの東芝はエネルギー事業を見直し、石炭火力発電所の建設工事の受注を停止する方針を決めた。
石炭火力発電所の建設は新たな二酸化炭素の排出につながるうえ、コストも高く採算が合わないためだ。
再生可能エネルギー事業への投資は強化し、2030年度に売り上げの規模を昨年度の3倍を超える6500億円に拡大することを目指す。
政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指していて、脱炭素社会の実現に向けて機運が高まっている。...
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炭素社会の実現に向けた機運が高まる中、大手電機メーカーの東芝はエネルギー事業を見直し、石炭火力発電所の建設工事の受注を停止する方針を決めた。
石炭火力発電所の建設は新たな二酸化炭素の排出につながるうえ、コストも高く採算が合わないためだ。
再生可能エネルギー事業への投資は強化し、2030年度に売り上げの規模を昨年度の3倍を超える6500億円に拡大することを目指す。
政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指していて、脱炭素社会の実現に向けて機運が高まっている。
こうした中で東芝も再生可能エネルギーの市場が拡大することを見込んで事業の見直しに踏み切った形で、日本企業の間で脱炭素の動きが加速している。
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菅総理の2050温室効果ガスゼロ宣言(10月31日)
世界的にも地球温暖化問題に関心が高まる中、菅総理は所信表明演説の目玉として「日本は2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにし、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言する」と世界に向けてメッセージを発信した。
これは事実上の国際公約であり、海外からは称賛の声が相次いでいる。カーボンニュートラルはCO2やメタンなどの温暖化ガス排出量を、森林吸収や排出量取引などで吸収される量を差し引き、全体としてゼロにする考え方である。...
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世界的にも地球温暖化問題に関心が高まる中、菅総理は所信表明演説の目玉として「日本は2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにし、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言する」と世界に向けてメッセージを発信した。
これは事実上の国際公約であり、海外からは称賛の声が相次いでいる。カーボンニュートラルはCO2やメタンなどの温暖化ガス排出量を、森林吸収や排出量取引などで吸収される量を差し引き、全体としてゼロにする考え方である。
現実問題として、この目標の達成は可能なのだろうか。原発の力を借りない限り、今の再生可能エネルギー能力ではこれを達成することはとてもできないようにみえるが、政府はできることから着実に動きを進めて行くとみられる。
例えば今のままでの送電線では太陽光や風力などの電気を送ることができないという問題がある。これを解決するために送電線を複線化して増強する方針を菅政権は早くも打ち出している。
今後は広域ネットワークを活用する一方で地産地消による再生可能エネルギーも復旧させていく。地熱発電、電気自動車やリチウム蓄電池、水素電池の普及の動きも早まるとみられる。
新しい技術も出てきている。特に注目されるのはCCS(Carbon dioxide Capture and Storage:二酸化炭素分離回収・貯留)という技術である。CCSは、発電をはじめ、様々な産業が大気中に放出するCO2を分離回収し、地中に埋め戻すことにより、CO2の大気中濃度を一定量に保持することができる。
さらにCO2を出さない「水素発電」や有害物質を排出しない「人工光合成」などの新技術も2050年までには出来ている可能性が高く、こうした技術を援用していけば2050年CO2ゼロも可能性が見えてくる。これに備えて日本はグリーン投資やグリーン基金をどんどん進めて行く必要がある。
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国連・日韓方針に「後押し望む」(10月29日)
国連は世界の平均気温の上昇を1.5度以内に抑えるには2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることが必要だとしている。
日本政府が2050年までに温室効果ガス排出を全体としてゼロにする方針を表明し、韓国も同様の方針を示したことについて、国連の報道官は記者会見で「正しい方向への力強い一歩」と歓迎したうえで、各国にさらなる地球温暖化対策を呼びかけ「両国が手本となり、主要な排出国を後押しすることを期待する」と述べた。
クラレ海洋汚染を防ぐ漁具(10月13日)
日本に漂着する海洋プラスティックのうち、最も多いのは漁具で全体の4割を占めている。
クラレは水産商社と手を組み牡蠣の養殖に使うパイプを環境負荷の少ない生分解性プラスティック性に替える実験を行っている。
クラレは生分解性プラスティック事業の売上高を2026年に1億ドル(約108億円)と去年に比べて5倍に引き上げる計画で将来は環境意識の高い欧米などでの展開も視野に入れる。
英国ウィリアム王子・気候危機の解決に向けた地球環境賞を創設(10月8日)
英ウィリアム王子の王立財団は8日、史上最も権威のある環境賞「アースショット賞」を創設したと発表した。2021年秋に環境問題解決のために顕著な活躍をした人や団体などが表彰される。
詳細はGlobali「
イギリスのウィリアム王子、気候危機の解決に向けた地球環境賞を創設」を参照してください。
モーリシャス重油流出・生態系を守ために(10月8日)
JICA国際協力専門員・阪口法明が解説。7月、インド洋のモーリシャスのサンゴ礁に日本の船会社所有の貨物船「WAKASHIO」が座礁し約1000トンの燃料重油が流出。海岸線約32kmの範囲にオイルが漂着したとされている。
座礁地点付近のサンゴ礁と海岸には、自然保護区、ラムサール条約登録湿地、国立公園など重要な保護地域が存在する。
日本は3回に渡り緊急援助隊、専門家をチームを派遣した。調査地点12か所すべてでサンゴ礁は生存したが、座礁船がサンゴ礁を破砕して生じる浮遊物があったり、ロープがサンゴを破壊していた。...
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JICA国際協力専門員・阪口法明が解説。7月、インド洋のモーリシャスのサンゴ礁に日本の船会社所有の貨物船「WAKASHIO」が座礁し約1000トンの燃料重油が流出。海岸線約32kmの範囲にオイルが漂着したとされている。
座礁地点付近のサンゴ礁と海岸には、自然保護区、ラムサール条約登録湿地、国立公園など重要な保護地域が存在する。
日本は3回に渡り緊急援助隊、専門家をチームを派遣した。調査地点12か所すべてでサンゴ礁は生存したが、座礁船がサンゴ礁を破砕して生じる浮遊物があったり、ロープがサンゴを破壊していた。
最初にサンゴの座礁モニタリングポイントで、次にマングローブへのオイルの影響調査を行った。
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アフターコロナとSDGs・持続可能な復興へ(9月28日)
日本は、デジタル化への集中投資を中核として新たな日常を構築するといった方針は示されているが、グリーンリカバリーの視点は乏しいと言わざるをえない。
これに対し国の有識者会議のメンバーはこの夏、当時の安倍総理大臣に「新型コロナからの復興は気候変動を含む新たな災害リスク軽減などのためにも、SDGsを軸に経済再生計画を」と求める緊急提言を出しており、新たな政権がどう対応するか問われている。
有識者会議のメンバーでもある慶應大学の蟹江憲史教授は、「持続可能な社会が実現すれば、仮に感染症が広がっても影響を最小限にしたり、元に戻る力が備わるはずだ」と持続可能な復興の重要性を訴えている。...
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日本は、デジタル化への集中投資を中核として新たな日常を構築するといった方針は示されているが、グリーンリカバリーの視点は乏しいと言わざるをえない。
これに対し国の有識者会議のメンバーはこの夏、当時の安倍総理大臣に「新型コロナからの復興は気候変動を含む新たな災害リスク軽減などのためにも、SDGsを軸に経済再生計画を」と求める緊急提言を出しており、新たな政権がどう対応するか問われている。
有識者会議のメンバーでもある慶應大学の蟹江憲史教授は、「持続可能な社会が実現すれば、仮に感染症が広がっても影響を最小限にしたり、元に戻る力が備わるはずだ」と持続可能な復興の重要性を訴えている。
そして、SDGsへの取り組みは国だけでなく地域、企業、市民のさまざまな可能性がある。過疎化が進む地域でSDGsを重視した取り組みもある。林業の衰退で未利用になった木材をバイオマス燃料として活用し、雇用の創出とCO2削減などを両立しようとしているケースがある。
こうして生み出される再生エネルギーは、災害時には地域分散型の電源として利用可能で、未利用の木材が資源として循環するようになれば、山の手入れが進み水害や土砂災害に強い地域作りにもつながる。
どのようにすれば新型コロナからのよりよい持続可能な復興につながるのか。ちょうど5年前のきょう生まれたSDGsはそのヒントを与えてくれる。
政権が変わり、新たなビジョンが求められる今、幅広く英知を集め取り組みを進めるときではないか。
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抗議・“地球温暖化への対策を”世界各地で若者訴え(9月26日)
若者たちの活動にも新型コロナウイルスの影響が出ておりフランス西部・レンヌでは約100人がマスクをしながら市内の大通りでデモ行進を行った。
日本ではデモ行進はおこなわず靴やプラカードを置いてアピールした。東京・国会議事堂前の路上には約120人が姿を見せた他、国内の75か所で実施された。
参加者は「世界的に見ても日本の意識の低さを痛感する。早急な気候変動対策が必要か伝えたい」と力説する。
今年は街頭での参加者は大幅に減ったとみられる今年の活動だがインターネット上では共通のハッシュタグをつけて活動の様子を投稿するよう呼び掛けられている。...
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若者たちの活動にも新型コロナウイルスの影響が出ておりフランス西部・レンヌでは約100人がマスクをしながら市内の大通りでデモ行進を行った。
日本ではデモ行進はおこなわず靴やプラカードを置いてアピールした。東京・国会議事堂前の路上には約120人が姿を見せた他、国内の75か所で実施された。
参加者は「世界的に見ても日本の意識の低さを痛感する。早急な気候変動対策が必要か伝えたい」と力説する。
今年は街頭での参加者は大幅に減ったとみられる今年の活動だがインターネット上では共通のハッシュタグをつけて活動の様子を投稿するよう呼び掛けられている。
その結果世界各国ではSNSに写真が相次いで投稿されている。こうした抗議活動について活動を呼びかける運動を立ち上げたスウェーデンの17歳の環境活動家・グレタトゥーンベリは「一番の期待は人々の意識や世論に影響を与えること。気候変動の危機を知って欲しい」と話した。
気候変動対策をめぐっては国連もグテーレス事務総長が国連総会の会合で“世界経済の脱炭素化を加速する必要がある”として各国政府に対し化石燃料を生産する産業へ補助金をやめ貧しい人々の雇用創出に資金を充てるよう呼び掛けている。
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国連・グテーレス事務総長“脱炭素化・加速の必要”(9月25日)
国連総会で開かれた気候変動対策に関する会合だが、国連総会の首脳演説が行われている機会を利用して、24日、グテーレス事務総長が主催したオンライン会合には英国のジョンソン首相など各国の首脳らが参加した。
この中で国連のグテーレス事務総長は、国連が提唱する温室効果ガスの排出量を2030年までに半減、2050年までに実質ゼロにする目標を実現するため、すべての国が新たな行動計画を年内に提案することに期待を示した。...
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国連総会で開かれた気候変動対策に関する会合だが、国連総会の首脳演説が行われている機会を利用して、24日、グテーレス事務総長が主催したオンライン会合には英国のジョンソン首相など各国の首脳らが参加した。
この中で国連のグテーレス事務総長は、国連が提唱する温室効果ガスの排出量を2030年までに半減、2050年までに実質ゼロにする目標を実現するため、すべての国が新たな行動計画を年内に提案することに期待を示した。
国連・グテーレス事務総長は「新型コロナウイルスからの復興計画も、脱炭素化を加速する必要がある」と述べ、各国政府に対して、化石燃料を生産する産業に対する補助金をやめて、貧しい人々の雇用の創出に資金を充てるよう呼びかけた。
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森林火災・1万5000件余・世界最大湿原・パンタナール(9月23日)
南米のブラジルとパラグアイ、ボリビアの3か国にまたがる世界最大の湿原・パンタナールで、今年1月~今月中旬までに森林火災が約1万5000件発生している。
ブラジル国内では、すでにパンタナール全体の12%以上にあたる、約1万9000平方kmが焼失している。
火災の原因は、農家が雑草を処理する際の野焼きなどとみられている。
ブラジル政府は、軍を投入するなどして消火活動にあたっているが、鎮火のめどはたっていない。...
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南米のブラジルとパラグアイ、ボリビアの3か国にまたがる世界最大の湿原・パンタナールで、今年1月~今月中旬までに森林火災が約1万5000件発生している。
ブラジル国内では、すでにパンタナール全体の12%以上にあたる、約1万9000平方kmが焼失している。
火災の原因は、農家が雑草を処理する際の野焼きなどとみられている。
ブラジル政府は、軍を投入するなどして消火活動にあたっているが、鎮火のめどはたっていない。
ジャガーなど希少な野生動物の生態系への影響も懸念されている。
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米国の西部火災の煙が、今やヨーロッパに到達する(9月18日)
『フランス24』TVチャンネルは、ヨーロッパ・地球モニタリング・サービスの9月16日付の発表を引用して、米国西部で続いている火災で生じた煙は、大西洋を横断してヨーロッパまで到達したと伝えている。
さらに、同サービスは、数週間前から米国西部地域を襲っている森林火災が、数日後に予想されているカリフォルニア州の強風により、その火災域をさらに広げるのではないかと危惧している。
続きはGlobali「
米国の西部火災の煙が、今やヨーロッパに到達する」を参照してください。
北半球のことしの夏“史上最も暑い”(9月17日)
北半球の今年の夏は、史上最も暑かったことがわかった。NOAA(米国海洋大気局)は北半球について、これまでの平均気温を1.17度上回り最も高かったと発表した。
北極海を覆う氷の平均面積は、先月過去3番目の小ささとなり1981年から2010年の30年間の平均値と比べると29.4%と小さかった。米国西部・カリフォルニア州などで続いている山火事についてNOAAは、暑さに加えて干ばつが影響しているとみられると指摘している。
EU・温室効果ガス55%削減を(9月17日)
EUのフォンデアライエン委員長は16日のヨーロッパ議会で、去年の就任以来初めてとなる施政方針演説を行い、地球温暖化について新型コロナウイルスによるロックダウンの影響で世界の活動は停滞しているが気温は上がり続けていると危機感を示した。
そのうえで、2030年にEU域内で排出される温室効果ガスの量を、1990年と比べて少なくとも55%削減することを提案し、地球温暖化対策で主導的な役割を果たす姿勢を改めて示した。...
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EUのフォンデアライエン委員長は16日のヨーロッパ議会で、去年の就任以来初めてとなる施政方針演説を行い、地球温暖化について新型コロナウイルスによるロックダウンの影響で世界の活動は停滞しているが気温は上がり続けていると危機感を示した。
そのうえで、2030年にEU域内で排出される温室効果ガスの量を、1990年と比べて少なくとも55%削減することを提案し、地球温暖化対策で主導的な役割を果たす姿勢を改めて示した。
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米国西部山火事・焼失面積・東京都の約5倍に(9月11日)
米国西部カリフォルニア州などでは山火事が続いていて、これまでに7人が死亡した。焼失面積は東京都の面積のおよそ5倍となり、さらなる被害の拡大が懸念されている。
インターネットに投稿された西海岸サンフランシスコの映像を紹介した。西部のオレゴン州やワシントン州でも山火事が起きている。
地球温暖化の影響も指摘されていて、オバマ前大統領はツイッターにオレンジ色に染まった街の写真とともに「気候変動が私たちの社会を変えている、地球を守るために投票しよう」と投稿し、大統領選挙に向けて温暖化対策に否定的なトランプ大統領を批判している。...
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米国西部カリフォルニア州などでは山火事が続いていて、これまでに7人が死亡した。焼失面積は東京都の面積のおよそ5倍となり、さらなる被害の拡大が懸念されている。
インターネットに投稿された西海岸サンフランシスコの映像を紹介した。西部のオレゴン州やワシントン州でも山火事が起きている。
地球温暖化の影響も指摘されていて、オバマ前大統領はツイッターにオレンジ色に染まった街の写真とともに「気候変動が私たちの社会を変えている、地球を守るために投票しよう」と投稿し、大統領選挙に向けて温暖化対策に否定的なトランプ大統領を批判している。
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油流出事故で商船三井が10億円支援へ(9月11日)
インド洋の島国・モーリシャスの沖合で貨物船「WAKASHIO」が座礁し、周辺に大量の油が流れ出た事故を受けて、船をチャーターしていた商船三井は総額10億円程度拠出して、被害を受けたサンゴ礁の回復を目指す民間のプロジェクトの支援などに取り組むと発表した。
“コロナ後の経済と温暖化対策”閣僚級会議(9月4日)
会議は日本政府の呼びかけで実現したが、70余りの国と地域から閣僚らが出席する。
小泉環境相はテレワークの拡大によって社会のIT化が加速するなか、日本では国が新たに建設を計画しているコンピューターのサーバーなどで集まる施設を再生可能エネルギーの電力だけで稼働させる予定だと説明した。
会議では感染拡大後の社会を持続可能なものにするため「脱炭素社会」「循環経済」「分散型社会」をキーワードにそれぞれの国と地域が取り組むことを確認した。...
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会議は日本政府の呼びかけで実現したが、70余りの国と地域から閣僚らが出席する。
小泉環境相はテレワークの拡大によって社会のIT化が加速するなか、日本では国が新たに建設を計画しているコンピューターのサーバーなどで集まる施設を再生可能エネルギーの電力だけで稼働させる予定だと説明した。
会議では感染拡大後の社会を持続可能なものにするため「脱炭素社会」「循環経済」「分散型社会」をキーワードにそれぞれの国と地域が取り組むことを確認した。
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重油流出モーリシャスで大規模デモ(8月30日)
モーリシャスの沖合では先月25日、岡山・長鋪汽船が所有し、商船三井がチャーターしていた貨物船「WAKASHIO」が座礁し、燃料の重油などが大量に流出した。
この事故を巡って、首都・ポートルイスで29日、政府の対応に抗議するデモが行われ、現地の報道では数万人が参加して広場や通りが埋め尽くされた。
参加者は国旗やプラカードを掲げ、事故原因の早期究明のほか、事故の翌日以降に複数の死んだイルカが打ち上げられたことについて関連がないとした政府に詳しい説明を求めていた。...
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モーリシャスの沖合では先月25日、岡山・長鋪汽船が所有し、商船三井がチャーターしていた貨物船「WAKASHIO」が座礁し、燃料の重油などが大量に流出した。
この事故を巡って、首都・ポートルイスで29日、政府の対応に抗議するデモが行われ、現地の報道では数万人が参加して広場や通りが埋め尽くされた。
参加者は国旗やプラカードを掲げ、事故原因の早期究明のほか、事故の翌日以降に複数の死んだイルカが打ち上げられたことについて関連がないとした政府に詳しい説明を求めていた。
今回の事故で警察はインド人船長らを逮捕して捜査を続けているが、首相の対応が遅かったとして、野党を中心に批判の声が出ていた。
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モーリシャス・コロナと重油流出で観光業が苦境(8月28日)
インド洋の島国モーリシャスでは新型コロナウイルスの影響に加え先月起きた貨物船WAKASHIOの重油流出事故で主要産業の観光業がさらなる苦境に立たされるのではないかと不安が高まっている。
現場から10キロ北にあるホテルには油が漂着し年内の予約が入っていないという。
貨物船座礁事故から1か月・生態系への影響懸念(8月26日)
インド洋のモーリシャス沖で日本の貨物船が座礁した事故から1か月がたった。
専門家による調査で油の回収作業の難しさなど、現地の厳しい状況が明らかになっている。現地を調査している日本の緊急援助隊によると、事故現場に残されたままの貨物船「WAKASHIO」の船体後部が今も波にあおられるなどしてサンゴを傷つけているという。
現場近くの海中では砕けたサンゴの破片が海中を白く濁らせていて、専門家は「この状態が長く続くとサンゴが呼吸できなくなり死ぬ恐れがある」としている。...
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インド洋のモーリシャス沖で日本の貨物船が座礁した事故から1か月がたった。
専門家による調査で油の回収作業の難しさなど、現地の厳しい状況が明らかになっている。現地を調査している日本の緊急援助隊によると、事故現場に残されたままの貨物船「WAKASHIO」の船体後部が今も波にあおられるなどしてサンゴを傷つけているという。
現場近くの海中では砕けたサンゴの破片が海中を白く濁らせていて、専門家は「この状態が長く続くとサンゴが呼吸できなくなり死ぬ恐れがある」としている。
一方、最も難航しているのがマングローブ林の油の除去で、国際緊急援助隊は「マングローブは奥に行くと泥なので、ズボズボっといくので」と話していて、マングローブ林では人が泥地に足を踏み入れることで、油が地中深くに潜り込むことが懸念されている。泥に沈んだ油は分解されにくく、生態系に影響が出る可能性があるという。
マングローブ林に流れ着く海藻などに油が付着するため、それを回収する方法はあるが、根本的な解決策にはなっておらず、厳しい状況が続いている。
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中国・レジ袋をお先に有料化したけれど(8月20日)
2008年にレジ袋有料化を始めた中国は、その1年後中国政府は”レジ袋の消費量は70%近く減少した”と発表した。
しかし今、レジ袋は一律有料としながらも守らない店が増えている。
北京の環境団体が中国全土の1000近い店を調査したところ、レジ袋代をとっている店はわずか17%だった。
さらに、消費者がレジ袋代を負担に感じていないのも問題になっている。
また、急成長が続く宅配アプリでは、配達時にプラスチック製容器が使用されている。...
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2008年にレジ袋有料化を始めた中国は、その1年後中国政府は”レジ袋の消費量は70%近く減少した”と発表した。
しかし今、レジ袋は一律有料としながらも守らない店が増えている。
北京の環境団体が中国全土の1000近い店を調査したところ、レジ袋代をとっている店はわずか17%だった。
さらに、消費者がレジ袋代を負担に感じていないのも問題になっている。
また、急成長が続く宅配アプリでは、配達時にプラスチック製容器が使用されている。
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油流出・モーリシャス沖座礁事故・インド人船長ら2人逮捕(8月19日)
商船三井がチャーターした貨物船がインド洋の島国モーリシャスの沖合で座礁した事故で、日本政府はきょう国際緊急援助隊の専門家チームの第2陣を現地に派遣する。
先月25日、モーリシャスの沖合で座礁した貨物船「WAKASHIO」で、燃料の重油などが大量に流出し、モーリシャスの警察は18日、インド人の船長とスリランカ人の副船長を航行の安全を脅かした疑いで逮捕したことを明らかにした。
今回の事故で貨物船はおよそ2キロの沖合で針路をほぼ90度右に変え、大幅に減速したことが分かり、地元の一部メディアは、無線通信のWi-Fiに接続するため、島に近づいた可能性もあると報じている。...
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商船三井がチャーターした貨物船がインド洋の島国モーリシャスの沖合で座礁した事故で、日本政府はきょう国際緊急援助隊の専門家チームの第2陣を現地に派遣する。
先月25日、モーリシャスの沖合で座礁した貨物船「WAKASHIO」で、燃料の重油などが大量に流出し、モーリシャスの警察は18日、インド人の船長とスリランカ人の副船長を航行の安全を脅かした疑いで逮捕したことを明らかにした。
今回の事故で貨物船はおよそ2キロの沖合で針路をほぼ90度右に変え、大幅に減速したことが分かり、地元の一部メディアは、無線通信のWi-Fiに接続するため、島に近づいた可能性もあると報じている。
現地では、流れ出た油による影響が懸念されている。このため、政府はきょう、国立環境研究所の研究員や環境省の職員など7人を派遣する。
今月10日の海上保安庁などの職員の派遣に続く第2陣で生態系への影響の把握などを行う。
一方、現地で活動する専門家チームがきのうネット会見を開いた。流れ着いた油はおおむね除去されたものの、マングローブの林に入り込んだ油の除去が課題である。
現地の支援に日本の企業も乗り出した。現地に送るのは特殊な素材で、この繊維メーカーの油の吸着剤は油だけを吸い取ることができる特殊な繊維が使われ、きょう出発する専門家チームの第2陣が現地に届けることになっている。
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