2030年46%削減・脱炭素社会への道筋は(4月28日)
まず急ぐべきなのは再生可能エネルギー、中でも太陽光発電の大量導入である。
政府はメガソーラーなど大規模施設の導入を加速するため、国会に温暖化対策推進法の改正案を提出し、住宅用太陽光パネルとEVのセット導入を後押しする補助金も設けている。
新築住宅用の太陽光パネルの義務化なども検討し、石炭火力発電をいつ止めるのか、原子力はどうするかなど、エネルギー基本計画で新目標に整合する議論を急ぐ必要がある。...
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まず急ぐべきなのは再生可能エネルギー、中でも太陽光発電の大量導入である。
政府はメガソーラーなど大規模施設の導入を加速するため、国会に温暖化対策推進法の改正案を提出し、住宅用太陽光パネルとEVのセット導入を後押しする補助金も設けている。
新築住宅用の太陽光パネルの義務化なども検討し、石炭火力発電をいつ止めるのか、原子力はどうするかなど、エネルギー基本計画で新目標に整合する議論を急ぐ必要がある。
脱炭素化で最大の課題がコストであるカーボンプライシングの検討が進んでいるが、産業界は国際競争力の低下に繋がると反対している。
欧米で検討されている炭素国境調整措置も考える必要がある。
公平な負担についての国際ルール作りに日本は積極的に関与すべきであるが、
世界的に産業構造転換の主導権争いが激化しているともいえる状況にある。
国はどんな未来像を描き新たな目標をどう実現しようとしているか、具体的道筋を示す必要がある。
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注目を集める小型原発(4月24日)
脱炭素社会に向け菅総理は2030年までに2013年度比46%の地球温暖化ガスの削減を国際社会に約束した。
あと9年でこの目標の達成が可能なのか疑問視する声もある。
目標達成のためには再生可能エネルギーを増やすことが大前提ではあるが、ボラティリティが大きい再生可能エネルギーに省エネを加えたとしても目標に達することはなかなか難しい。
こうした中、注目されているのが従来の出力100万キロワット超の原発と比べると、1基当たりの出力が小さい、低コストの小型原発(小型モジュール炉)である。...
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脱炭素社会に向け菅総理は2030年までに2013年度比46%の地球温暖化ガスの削減を国際社会に約束した。
あと9年でこの目標の達成が可能なのか疑問視する声もある。
目標達成のためには再生可能エネルギーを増やすことが大前提ではあるが、ボラティリティが大きい再生可能エネルギーに省エネを加えたとしても目標に達することはなかなか難しい。
こうした中、注目されているのが従来の出力100万キロワット超の原発と比べると、1基当たりの出力が小さい、低コストの小型原発(小型モジュール炉)である。
原発は温暖化ガスをほぼ出さないが、小型原発は規模が小さいため、いくつかのシミュレーションでは、ほぼすべての緊急事態に対してメルトダウンを起こさずに対処できるということが実証されている。
大型原発には使えない冷却や安全性確保のメカニズムを活用でき、福島原発事故のような重大事故を引き起こす可能性は、ほぼゼロだという。
小型原発の計画が進んでいる米国では早ければ2026年にもアイダホで稼働される予定である。小型原発にはモジュール型の炉以外にもマイクロ原子炉という炉もあるが、問題は使用済み燃料の廃棄場所が未だに見つからない等、まだまだ実現までのハードルは多いようだ。
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日本の脱炭素社会に向けた課題と展望(4月24日)
小泉進次郎環境大臣はBS「プライムニュース」に出演し、「再エネをもはやコストで語る時代は終わり、雇用で語る時代になっている」と表現した。再エネを前提としなければビジネスが成り立たないという再エネ経済圏のグローバル新時代が到来したと語った。
今の産業を変えずに続けていく場合、失われるものは多い。例えばEUはグリーンなものはこれだという定義を作って、そこに資金が流れるルールを作っている。ついて行けない日本企業はEUとの取り引きにも影響が及び、資金調達も難しくなる。...
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小泉進次郎環境大臣はBS「プライムニュース」に出演し、「再エネをもはやコストで語る時代は終わり、雇用で語る時代になっている」と表現した。再エネを前提としなければビジネスが成り立たないという再エネ経済圏のグローバル新時代が到来したと語った。
今の産業を変えずに続けていく場合、失われるものは多い。例えばEUはグリーンなものはこれだという定義を作って、そこに資金が流れるルールを作っている。ついて行けない日本企業はEUとの取り引きにも影響が及び、資金調達も難しくなる。
アップルは「2030年までに100%再エネでやらないと下請けや孫請けやサプライチェーンの中小企業を含めてビジネスの取引はしない」とまで言い切っている。再エネができなければこれからの時代、ビジネスチャンスを失うことを意味している。
現在、北欧ノルウエーでは約55%が電動車になっているが、日本でも2035年以降は新車販売は100%電動車になるとみられる。
そもそも日本は自国内での内需と市場だけではやっていけない国である。世界経済の中で持続可能な成長をしていく必要があるが、少なくとも脱炭素市場は今後数十年、もしくはその先まで永続的にビジネスが発生し続ける市場である。
この中でいかに技術の主導権をとり市場をとっていくかに日本の将来が懸かっている。日本は再生可能エネルギーの特許数は世界1位であるが、残念ながら市場を握っていない。技術開発は得意だが、技術普及は不得手ともいえる有様である。このため技術普及が得意な中国や台湾メーカーに追い抜かれ先にシェアを取られてしまうという結果をもたらしている。
小泉大臣は「9年の中でどこまで再生可能エネルギーを入れることができるかが重要だ」と指摘し、9年間でできることとして、一般住宅やため池、耕作放棄地、処分場などへの太陽光設置の義務化、陸上風力、バイオマスなどの普及を掲げた。
日本は技術普及を得意分野にし、今はまだ脱炭素の需要が大きくない国々に日本の先端技術を輸出していくことが日本の成長産業になっていく可能性があると小泉大臣は強調した。
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あと9年で温室効果ガス46%削減は可能か(4月24日)
40の国と地域が参加し、気候変動サミットがオンライン形式で開催された。
この中で4番目に演説した菅総理は2013年度比で温室効果ガスを46%削減すると表明した。
この野心的な削減目標は6年前に決めた2013年度比26%削減から大幅に引き上げられた形である。
この数字を打ち出した背景には日米が野心的な目標を示すことで、世界最大の温室効果ガス排出国・中国に圧力をかけていきたい米国の思惑があった。...
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40の国と地域が参加し、気候変動サミットがオンライン形式で開催された。
この中で4番目に演説した菅総理は2013年度比で温室効果ガスを46%削減すると表明した。
この野心的な削減目標は6年前に決めた2013年度比26%削減から大幅に引き上げられた形である。
この数字を打ち出した背景には日米が野心的な目標を示すことで、世界最大の温室効果ガス排出国・中国に圧力をかけていきたい米国の思惑があった。ちなみに米国は2005年度比50%~52%の削減目標を打ち出し、欧州は1990年度比55%削減を打ち出した。中国は2030年までに徐々に減らしていくと数値目標を出さなかった。
2030年まであと9年しかない中で、日本にとって46%削減という目標は現実的に達成可能なものなのか。経産省は試算の結果、達成可能であるとしているが、どういう内訳で可能なのかは現時点では明らかにされていない。
日本が今後、行っていく手段として考えられるのは、省エネやEVの推進を徹底的に押し進め、住宅やビルなどに太陽光パネルの設置を義務付けるなど太陽光発電を拡大していくことや、地上風力発電、洋上風力発電などを可能な限り推進していくことなどが挙げられる。この他、原発の再稼働、CO2を地中に封じ込めるCCS(カーボンキャプチャーストレージ)、水素技術などの新技術の開発や採用、CO2を吸収する森林や海草を増やしていくことなどである。
市場ではすでにESGに沿ったグリーンシフトが進んでおり、環境や社会、ガバナンスを考慮に入れていない企業は淘汰されてしまう流れになってきている。このため、日本企業もそれぞれ2030年度までの削減目標を打ち出している。例えば富士フィルムHDは2013年度比45%削減、積水ハウスは2013年度比50%削減、日立製作所、アスクルは100%削減、キリンHDは2019年度比50%削減を表明している。
日本の環境関連技術の特許出願数は世界一だが、製品化し普及させる部分が弱いと言われている。これらの弱点を克服することができれば、これからの国際社会をけん引し、日本の成長産業につなげていくことも可能となるであろう。
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開幕・気候変動サミット・首脳らが演説(4月23日)
米国・バイデン大統領は自らが主催する気候変動サミットで、自国の温室効果ガスの排出量を2030年までに半減させる新たな目標を表明し、各国にさらなる行動を求めた。
菅総理大臣は2030年に向けた削減目標について「2013年度に比べて46%削減することを目指す」と表明した。
2日間で40の国と機関の代表らが参加するサミットだが、開幕にあたって米国・バイデン大統領が演説し「この危機は1国だけでは解決できない。...
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米国・バイデン大統領は自らが主催する気候変動サミットで、自国の温室効果ガスの排出量を2030年までに半減させる新たな目標を表明し、各国にさらなる行動を求めた。
菅総理大臣は2030年に向けた削減目標について「2013年度に比べて46%削減することを目指す」と表明した。
2日間で40の国と機関の代表らが参加するサミットだが、開幕にあたって米国・バイデン大統領が演説し「この危機は1国だけでは解決できない。対処するためには迅速に動く必要がある」と発言した。
そのうえで、再生可能エネルギーの普及などによって、自国の温室効果ガスの排出量を2030年までに2005年に比べて50%から52%削減する新たな目標を表明した。
2025年までに26%から28%削減するとしてこれまでの目標から大幅に引き上げた。
また、温室効果ガスの世界最大の排出国である中国の習近平国家主席は「取り組みに全力を挙げている」と強調した。
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